クロマチンタンパク質で癌抑制因子p53に結合するタンパク質を分離し、Cse1 (CAS)を発見した。この分子間相互作用が細胞死に必要であった。
Mainichi interactiveより
p53と結合するもんっていろいろと分離されたが、Cse1ってとこを読んだ時に吹き出してしまった。まあ、いろんなもんとくっつくんだよなー、p53。このスケベ!
Cse1はそもそも染色体の分配にかかわるものとして酵母で見つかった。そういう意味ではp53が結合しても良さそうだが、酵母はp53などというしゃれたものは持っていない。Cse1がいったいどのようにして染色体分配にかかわっているかははっきりしていないが、このタンパク質は後に核タンパク質を核内に輸送するimportinαが輸送のために核内に入ってくるとそれを核外に排出するタンパク質として分離された。核内輸送を研究している人たちには、今回のニュースはいやな気分だろ。生化学屋さんの悪い傾向なんだけども、核内輸送にかかわるタンパク質として分離したタンパク質は核内輸送だけに機能していると思いたがるところがある。他に機能があったらいかんのか?Q大時代はそういう連中の相手をしてて、ちょっと苦労した。
importinαが核内に入った時にクロマチンに結合するかどうかは諸説あるが、俺はくっつくと思っている。Cse1がクロマチンタンパク質なら、その情報はくっつく方の仮説を補強しているな。でも、まあ、勝負がつくのはまだ先だろう。
核と細胞質間の輸送にかかわる遺伝子が染色体の機能にかかわって分離された例は他にもある。CRM1だ。これは核外排出因子exportinと呼ばれているが、この名前も後から生化学屋さんに付けられた名前。最初の発見者が付けた名前を尊重すべきだ。CRM1でいいよ。ねえ、柳D先生。核外排出で働いているからって、それしかやってないということにはならないはずだよ。俺の実験でもクロマチン構造にかかわってるデータあるよ。
本日のお酒:KIRIN CLASSIC LAGAR