
先日、滋賀医科大学から依頼されていた改修設計の最終成果図書を大学に提出して来ました。それで・・その帰りに、県立近代美術館で開催されている「アール・ブリュット」展を訪れてきました・・・。
県立近代美術館は、滋賀医科大学のすぐ隣にある文化ゾーンの一角にあるので、大学から車で1~2分で行くことができます。(駐車場から美術館まで歩く時間のほうが長いかも・・。)、以前から興味のあった展覧会なので、滋賀医大に行った帰りに寄ろうと先週あたりから企ていたワケです・・。
「アール・ブリュット」という概念は、「加工されていない、生のままの芸術」を意味します・・。精神障害者や霊的能力にすぐれた幻視者など正規の美術教育を受けていない人たちが内発的な衝動の赴くままに製作した作品を高く評価し、既成の美術観念に毒されていない表現にこそ真の芸術性が宿っているという主張なのです・・。
展示作品を観ていると、芸術を創作するという意識とは関係なく、描かずにはいられなかった作品のパワーみたいなものがストレートに伝わってきます・・。目的があるわけではなく、ほとばしる思いを形にしただけだからこそ、その表現には力が満ち溢れています・・。何か忘れかけていた芸術の本質を改めて考えさせられる思いがしました。
また、今回の展覧会では、通常なら展示品の傍らに当然のようにある作家や作品についての説明パネルが一切ありませんでした・・。これは作家の経歴や肩書きにとらわれず、純粋に作品の力を感じ取るという本来の鑑賞のあり方までも問いかけている展覧会だったのでしょう・・・。
そういう意味において、私も久しぶりに既成概念から開放された(俗世界を忘れて・・)思考で、作家独自の世界を感じ取れたような気がします。(モノの本質を見つめるという当たり前の概念を思い起こすいい機会になりました・・。)
さらに、会場には作家の人生を伝える映像やインタビュー映像などのドキュメンタリー映画が作品より目立たないように配慮されて、全部で5編が上映されています。これらの映像も作品を考察するうえで、とても興味深いものがあります・・。(思わず2回連続して観てしまった映像もあります。)
この「アール・ブリュット」展は、11月30日まで開催されています・・。私たちの知らなかった角度から見たもう一つの人間の能力(超力)を体感する事で、時間に追われて過ごす日常の中で忘れかけている何かを思い起こしてみてはいかがでしょうか・・・。