滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

龍安寺の石庭

2008年11月26日 | アート・文化
昨日の夜は、NHKハイビジョンで桂離宮の特集が放送されていました・・・。桂離宮は、ドイツの建築家ブルーノ・タウトが「実に泣きたくなるほどの美しさ」、「ここでは眼が思惟する」と最大級の賛辞を送ったように、日本が世界に誇る「美の極み」であることは周知のとおりです。
「月の桂」と呼ばれているように、桂はもともと月の名所として知られていました・・。桂離宮も離宮全体が月の出から明け方まで、さまざまな月の楽しみ方ができる大きな装置として造られています。
月の光に包まれた庭園や建物を観てみたいものですが、残念ながら桂離宮の参観には夜間はありませんので、昨日のようにTV放送で観るとか書籍でしか観ることができないのが現状です。(頭の中で想像してみる事はできますけどね・・。)

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前置きが長くなりましたが、「龍安寺の石庭」の話です・・。先日(と言っても3週間ほど前になるのかな・・。)、修学院離宮や曼殊院に行った同日に、実は龍安寺と仁和寺も訪れて来ました。(この日は、一日潰すつもりで朝早くから出掛けていましたので・・。)

龍安寺には一度も行った事がなく、以前スティーヴン・ホール(私の好きなアメリカの建築家です。)が、「龍安寺の石庭がことのほか好きで来日していたときには、よく京都を訪れていた。」と言っていた事もあって、以前より行ってみたいと思っていた場所だったのです・・。
ちょっと意外だったのは、龍安寺を建立したのが細川勝元(いわずと知れた応仁の乱の東軍総帥、ちなみに西軍の総帥は山名宗全です・・。)という事でした。皮肉なことに勝元が起した応仁の乱によって龍安寺は焼失し、勝元の息子である政元によって再建されたそうです・・。

龍安寺の石庭は、わずか75坪の白砂の空間に大小15個の石を配置しただけの極端なまでに抽象化された構成になっています。また驚かされることに、視覚的に奥行きを感じさせるため、土塀の高さに遠近法を利用した高度な設計(演出)手法が使われています・・。
15個の石は、庭のどこから眺めても必ず1個は他の石に隠れて見えないように設計されているそうです。ただ、中から1ヶ所だけ15個の石すべてが見える位置があるらしく、それは方丈(本堂)の間の中心であり、15個の石の配置はこの位置を根元とする二分岐構造になっているという説があるとの事です。

この石庭・・一般に「虎の子渡しの庭」、「七五三の庭」などと呼ばれていますが、いずれにしても作者の意図は今だ不明(作者自体が不明・・)なので、観る者の自由な解釈と連想にゆだねるしかないというところに大きな魅力と奥深さがあるのでしょうが、私の訪れたときは、観光シーズで多くの人、人、人だったので、石庭を前にゆっくり(ボーッと・・)瞑想に耽るという状態ではありませんでした。

もう一度シーズンオフ(あまり人のいないとき・・)に訪れて、スティーヴン・ホールがことのほか好きだと言っていた意味も含めて、ゆっくり瞑想に耽ってみたいものです・・・。








コメント (2)
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