先日、6月6日(金)に佐賀県保険医協会主催 斉藤充先生による 演目名「骨粗鬆症の治療の必要性から顎骨壊死まで~生活習慣病例は要注意~」を当院の歯科医師、歯科衛生士で受講させていただきました。
骨粗鬆症とは加齢に伴い男女に生じる疾患で、日本では男性で300万人、女性で1000万人の方が骨粗鬆症といわれています。しかし、治療を受けている方は男性で1%女性で5%と大変少ない数字となっております。何故、このように少ない数字になっているかといいますと、骨粗鬆症で最も多い背骨の骨折は10人中6人の方が痛みを感じず、骨折に気づくことが遅れ適切な処置が行われていないことが現状です。
痛くないのならば放置してもよいのでは?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実は背骨を骨折し適切な治療を受けないと1年以内に20~30%の方が新たに背骨を骨折されます。さらに、骨粗鬆症による骨折がある方は骨折がない方に比べ死亡のリスクが7~8倍高くなり骨粗鬆症骨折後の、5年間生存率は背骨で70%大腿骨近位部で50%となります。つまり、骨粗鬆症は早期に適切な診断を行い治療を受けることがとても大事なのです。
では、どのような方が骨粗鬆症になりやすいかと言いますと骨質を決める重要な因子である骨を過剰に硬くして陶器や枯れた枝のようにもろくする作用を持つ悪玉架橋(AGEs)が生活習慣病や加齢に伴い増えることにより骨が折れやすくなります。
現在は血液や尿を調べて悪玉架橋などの骨をもろくする物質を調べ骨を
①低骨密度型(骨密度も骨質もよい、人に比べて骨折リスク3.6倍)
②骨質劣化型(同1.5倍)
③低骨密度型(同7.2倍)各タイプの人数比①:②:③=5:3:2
に分類し骨の折れやすさを検査することができます。
このような骨粗鬆症の治療薬として主流なのがビスホスホネートです。ビスホスホネートは6ヶ月内服したら新しい新しい骨折を予防できると言われています。心筋梗塞のお薬であるスタチンが150人に1人予防できるのに対して、ビスホスホネート製剤の1つであるベネットは69%の方が反対側の骨折を予防できると言われておりますので大変効率のよいお薬です。
しかしビスホスホネートは骨の吸収を抑えるだけではなく骨の形成も抑制してしまいインプラントの骨の固着を遅らせたり顎骨壊死になってしまう可能性が高くなりますので抜歯、インプラントの植立などの外科的処置は禁忌となります。
ですが、現在では様々な治療薬が開発されており悪玉架橋を減らし骨の形成を促進しインプラントの固着を促進するお薬もありますので、ぜひ皆様かかりつけの病院などで定期的に検査をうけられてください.
今回は、診療時間を変更し皆様にご迷惑をおかけしましたが、今回学んだことを実際の診療に生かしより良い治療を行えるようにしていきたいと思います。
くらのうえ市丸歯科新鳥栖インプラント・歯周病センター(佐賀県鳥栖市)
TEL 0942-81-5410 歯科衛生士 吉冨友香