9月10-13日にアメリカのサンディエゴで開催されたアメリカ歯周病学会学術大会に院長の市丸と2人で参加・ポスターによる症例報告をしてきました。
本学術大会は、アメリカ歯周病学会と日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会が共同開催するという長い歴史の中で初の企画ということもあり、日本からも普段の2倍近い人数(400名ほど)の日本人歯科医師・歯科衛生士が参加していました。わたくしにとって、国際学会参加ははじめての経験でしたが、日本の学術大会やセミナー等で顔なじみの先生方も多数参加されており、思っていたよりは肩に力が入りすぎず、リラックスできました。院長は初日に、骨造成に関する実習講義をうけ、大変刺激を受けていたようです。その他は、興味のある講演を片っ端から2人で聴いて回りました。日本の学会に比べ、講演の数が圧倒的に多く、2人で同じ講演を聴いていても間に合わず、時には、2人で手分けして別々の講演を聴く場面もありました。しかしながら、ほとんど英語を話せない・聴き取れないわたくしにとっては、スライドの文字を読み取り、追いつかない時は写メにとって後からじっくり復習するような作業が必要で、日本の学会参加時の2倍も3倍も大変でした。あらためて、英語力の大切さを実感させられました。当院の発表は、大会3日目に行われ、「Osteonecrosis of the jaw associated with oral bisphosphonate and implant」という題目で,院長がプレゼンターとしてかっこよく英語できめてくれました。
学会期間中、長崎大学歯周病学講座の大学院時代に同じ釜の飯をくった親しい後輩で、本学会にも参加していた、現在アメリカインディアナ大学の歯周病学講座に留学してアメリカ歯周病学会専門医の取得を目指している岸本先生と再会することができました。夕食を一緒にとる時間があり、最新の歯科学的な情報や日本と米国の歯科医療の在り方の違いについての話を聞くことができ、さらに後輩が並々ならぬ努力をしている現状を知って、わたくしはもちろんのこと、院長も大変刺激をうけて帰ってきました。
あっという間の4日間でしたが、今回の学会参加・発表・研修を振り返れば、世界の歯周病学をヨーロッパ歯周病学会とともに牽引するアメリカ歯周病学会の会場にいるという興奮と満足感に酔いしれていたように思います。会場には、世界のレジェンドともいうべき著名な歯周病家が普通に歩いており、その先生の講演を生で聴くことができました。講演の内容は、主にインプラント周囲炎と再生療法に関する内容が多かったように思えます。インプラント周囲炎に関しては、未解決なことが多く、ここ数年、世界でも新たな情報はアップデートできてないように思えました。一方で、再生療法に関しては、より長期的・確実に歯をレスキュー・保存するための研究や治験が進んでおり、近い将来、歯周病での歯の喪失はほとんどなくなるのではないかという期待がもてました。さらに再生医学の研究に関して、新潟大学歯周病学講座の吉江弘正教授が講演され、日本も決して欧米に引けをとっていないことを世界中に示されたと思います。一番の課題は、個人的な語学力の欠如であると思いました。スピーカーが時折かます、アメリカンジョークに対して、会場にいる人たちと一緒に笑えるくらいに語学力をマスターすることが目標です。
最後になりますが、今回の米国研修に全面的に支援・協力していただいた院長・事務長ならびに市丸歯科のスタッフ全員に、この記事の場をかりて深く感謝の意をのべ、今回の研修で得た知識や経験を患者様に還元することで恩返ししたいと思います。そして、今度は、自力で海外研修に参加できるように、これからも、努力を惜しまず頑張ります。
くらのうえ市丸歯科 新鳥栖インプラント歯周病センター(佐賀県鳥栖市)
副院長 山口 竜亮