ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

日々のニュースをFPの視点からチェックしてコメントします

武富士、東京地裁に会社更生手続き開始を申請

2010-09-29 05:14:32 | Weblog
武富士、東京地裁に会社更生手続き開始を申請 2010年09月28日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK044879820100928
 武富士は28日、会社更生手続き開始を東京地方裁判所に申し立て、受理されたと発表した。
 利用者による過払い利息返還請求の増加による引当金の大幅な積み増しで業績が圧迫され、自力で事業継続した場合、資金繰りが破綻して企業価値が著しくき損すると判断した。6月末の負債総額は4336億円。
 今後、スポンサーの選定を視野に入れながら、事業の再建を目指すとし「債権者に対し少しでも多くの弁済額を確保できるよう、全社一丸となり取り組む」としている。
 武富士は、経営責任を明確にするとして、清川昭社長と武井健晃副社長が退任する28日付人事も発表した。後任社長には吉田純一取締役兼執行役員が就く。

“武井商店”私物化のツケ 独立路線で孤立、支援なく 2010年9月28日 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100927/fnc1009272322024-n1.htm
 会社更生法適用を申請する見通しとなった武富士は、創業者の故武井保雄氏が一代で築き上げた。不祥事が相次ぎ、“武井商店”と揶揄された創業家による私物化が厳しい批判を受けたが、影響力を保持するため、「独立路線」に固執。他の消費者金融大手が次々と大手銀行グループの傘下に入る中、手を差しのべる支援先はなく、ついに経営に行き詰まった。
 更生法申請の報道で、多数の報道陣が詰めかけた東京都新宿区の武富士本社。玄関フロアには、巨大な武井氏の肖像画が掲げられている。
 ある幹部は「私が幸運だったのは、生前の武井氏に接する機会があったことだ」と、自慢げに言ってはばからない。
 武井氏が平成15年に同社に批判的な記事を書いたフリージャーナリストの自宅盗聴を指示したとして逮捕され、16年に懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた後も、社内には信奉者がいまなお多い。
 武富士は盗聴事件のほか、法令違反にあたる取り立てで金融庁から処分を受けるなど、不祥事が続出。社会的な批判を受け、平成16年6月に松井証券前専務の元久存氏を社長に招聘し、創業家の保有株を売却するなど改革に取り組んだ時期もあった。
 しかし、元久社長はわずか9カ月で退任。20年6月には武井氏の次男の健晃氏が副社長に就き、実権を握るなど、脱創業家は見せかけに終わる。
 消費者金融を取り巻く経営環境が悪化する中、アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の傘下に、プロミスも三井住友FGに入り、リストラなどによる生き残りを目指している。
 武富士をめぐっても、みずほFGなどによる買収観測が何度も浮上したが、「不祥事体質に二の足を踏んだ」(メガバンク関係者)という。何よりも、「創業家が“よそ者”の干渉を拒んだ」(業界関係者)とされる。
 結局、メーンバンクの後ろ盾もなく、資金調達で頼っていた外資系金融機関にも見放された。創業家の呪縛を明確に断ち切らない限り、再建に向けた支援スポンサーを探し出すのは難しそうだ。

武富士、過払い利息未請求200万人か 2010年9月28日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100928-OYT1T00002.htm
 会社更生法の適用を申請する方向で調整に入った消費者金融大手の武富士は27日、「事業再構築のため、現在、様々な方策を検討し、実施している」とのコメントを発表した。
 コメントでは「会社更生法の申請は決定していない」としたが、「新たに決定した事実が生じた場合にはただちに開示する」としており、早ければ一両日中にも東京地裁に適用申請を行う方向で詰めの作業を進めている。
 武富士が会社更生法の適用を申請した場合、利息を払い過ぎている顧客は、更生計画が認可される前の一定期間内に届けなければ、原則として返還を受けられない。過払い利息の未請求者は200万人に達し、総額は1・5兆円に達するとの見方もある。武富士は、更生法の申請により、過払い金の圧縮を図る狙いもあるとみられる。
 武富士は、過払い利息の算定などの複雑な実務を進めるために、経営陣の一部を残す「DIP型会社更生」の活用も検討している。

武富士:消費者の注意点は? 現在の債務と相殺可能 2010年9月28日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100928k0000m040103000c.html
 武富士が会社更生法を申請した場合、「過去の消費者金融の破綻を見ても、8割ほどはカットされるのでは」(滝康暢弁護士)との見方も出ている。
 また、グレーゾーン金利で武富士の融資を受けていて、過払い金請求をしていない場合、請求すれば現在の債務と相殺して、借入残高を減らすことができる。過払い金請求は、過去10年さかのぼっても請求できるとの司法判断もある。
 過払い金の返還請求も請け負っている司法書士の井口鈴子さんは「現段階では、どれだけの債権が保護されるかは分からないが、まずは契約内容や条件を確認し、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要だ」と説明している

武富士の社債発行残高は約895億円 2010年09月28日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK044525720100927
 武富士発行の社債発行残高は総額で約895億円になる。同社が2010年6月30日に提出した有価証券報告書およびロイターの集計で明らかになった。
  内訳は第8回無担保社債(償還2022年6月5日、発行残高300億円)、米貨建て無担保社債(償還2011年4月15日、発行残高6億4500万ドル=円換算で524億6200万円)、ユーロ円建て普通社債(償還2011年4月14日、発行残高約70億円)。
注)第8回無担保社債、米貨建て無担保社債は3月31日、ユーロ円建て普通社債は9月現在の数値。


武富士の破綻、消費者金融を傘下に持つメガバンクにリスクも 2010年09月28日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK044531920100927
 武富士が会社更生法適用の申請を選択することで、消費者金融会社を傘下に抱えるメガバンクのリスクが浮上してきた。大手の一角を占める武富士の経営破綻で、過去に利息を払い過ぎた利用者が他社に駆け込み的に返還請求を求める可能性がある上、ノンバンク業界へのリスクが高まれば資金調達にも支障を来たしかねず、メガバンクの傘下ノンバンクに対するエクスポージャーが膨らむリスクもある。

<浮上するメガバンクのリスク>
 メガバンク系の消費者金融会社は、三菱UFJフィナンシャル・グループ系のアコムと三井住友フィナンシャルグループ系のプロミス。2009年にADR(裁判外紛争解決手続き)が成立したアイフルと、武富士を加えて消費者金融業界は大手4社体制を構成していた。今回の武富士の破綻は消費者金融業界の苦境を改めて浮き彫りにしたかたちで、ある中堅ノンバンクの首脳は「他社の利用者からも過払い請求は一段と加速するだろう」と警戒する。法的整理に移行してしまうと、利用者が払いすぎた利息が全額返ってこない可能性があるからだ。
 こうした中で注目を集めるのが「銀行のダウンサイドリスク」(銀行アナリスト)だ。銀行は過去数年で、消費者金融向けの融資残高を徐々に落としてきたが、傘下に消費者金融を持つ大手行は支援の手を引くわけにはいかない。関係者によると、三菱UFJのアコムに対する貸出金残高は10年3月末で約2300億円。三井住友のプロミスに対する残高は2700億円。両グループとも、「グループ内だが、厳しく業況を判断している」としており、一定の貸倒引当金を計上しているもようだが、債務者区分が引き下げられた場合、「程度にもよるが500億円程度の引当金の積み増しもある」(同)と見られている。

<格下げで銀行への依存を強めるプロミス>
 銀行系2社のうち、資金調達面で銀行への依存度が高まりかねないのがプロミスだ。米格付け会社ムーディーズは5月、プロミスの格付けを「Baa2」から「Ba1」に2段階引き下げた。6月に「Baa2」から「Baa3」への1段階の格下げにとどまったアコムよりも低格付けとなり「起債による調達は難しい」(プロミスの久保健社長)情勢だ。
 両社の格付けの差が生じている要因の一つが、それぞれの金融グループのコミットメントの違いだ。三菱UFJのアコムに対する出資比率は約41%。これに対してプロミスに対する三井住友の出資比率は22%で持分法適用会社にとどまっている。あるクレジットアナリストは「三菱UFJはアコムを守るだろうが、三井住友はどこまで本気なのか市場が推し量っている」と分析する。
 久保社長は「メーン行の三井住友銀行と準メーンの住友信託銀行、新生銀行から協力の確約は得ている」と強調するが、3行で担っているのは銀行借入のうちの6割。残りの4割を占める下位行が借り換えに応じなくなると、主力行が肩代わりする「メーン寄せ」が生じかねない。「三井住友としてはこれ以上残高を増やしたくないはずだが、メーン寄せの懸念は高まっている」と下位行幹部は話す。三井住友は、プロミスの信用補完のために出資比率を引き上げるか、引当金積み増しの恐れのある融資先へのエクスポージャーをさらに高めるという選択を迫られている。



 で、月曜の日経朝刊にリークされてしまった武富士の会社更生法申請ですが、火曜日に正式に発表されました。
 まあ、利息のグレーゾーンが撤廃されてしまったことに加えて総量規制の導入の問題もあり、消費者金融大手4社の全てが生き残れるだけの市場規模は残されておらず(準大手の中では比較的財務内容が健全だった九州を中心に展開していた三洋信販は今年の10月1日にプロミスに吸収合併予定、元ダイエー系列で外資に売却されたディックファイナンスは2008年11月に撤退済)、三菱UFJの傘下に入ったのアコムと三井住友の傘下に入ったプロミスの2社は何とか生き残る?としても、2009年8月に既に私的整理となる事業再生ADRを一度経験しているアイフルと独立系で金融機関の全面支援を受けにくい武富士とのどちらが危ないかと言われれば、いわずもがな…のような気もしなくもありませんし、それでも破綻は予想よりも随分早かったな…という印象を受けざるを得なかったのですが、日経にスクープされたことで慌てて会社更生法申請の決断を下さざるを得なかったのかもしれません。

 それにしても、世間では過払い利息が満額戻ってこない可能性の方にばかり注目が集まっているようですが、実はこの会社は普通社債の発行額も結構多いんですよね…。
 もし融資の担保として金融機関に提出していたとしたら、担保の価値をなさないとして追加担保を求められ、社債保有者とトラブルになる可能性もなくもありませんし、一昔前までは消費者金融会社が発行する普通社債と言えば、会社のイメージが故に、信用格付けの割には高い支払い利息が得られるある意味お買い得商品だっただけに、過去のイメージのまま武富士社債を購入してしまい、売り逃げるタイミングを逸してしまい途方に暮れている(最新の経済情報からも疎くなっている高齢の)零細投資家もいそう…。
 こちらもおそらくはマイカルが経営破綻した時と同じ騒動になりそうな嫌な予感がしてなりませんが、あまり残っていないことが予想される武富士の残存資産のうち、どれだけを返還に回すことができるでしょうか…。
 今回は配慮しなければならない方だけでも、普通社債に投資していた零細個人投資家と資金繰りの厳しい小口債権者に加えて過払い返還を求める人も加わるだけに、資産分配をどう行うかは相当苦労することになりそうですね…。


コメントを投稿