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藤枝市立病院が保険不正請求、保険医療機関取り消しへ

2007-08-21 13:10:23 | Weblog
藤枝市立病院が保険不正請求、保険医療機関取り消しへ 2007年8月21日 
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070821i101.htm
毎日夕刊 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070821k0000e040032000c.html
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070821AT1G2100U21082007.html
 静岡県藤枝市の藤枝市立総合病院(病床数654)が、保険診療が認められていない一部の歯科治療で不正に保険請求していたとして、厚生労働省と静岡社会保険事務局は、健康保険法に基づき、同病院の保険医療機関の指定を10月1日から取り消す方針を固めた。
 今月28日に正式決定する。地域の中核公立病院が保険医療機関の指定取り消し処分を受けるのは、極めて異例。
 不正請求額は5年間で約1億2200万円に上り、病院側は「(保険制度の)勉強不足だった」と不正請求を認めている。
 取り消し期間は5年だが、影響が大きいため、厚労省などは処分後に改善計画を提出させたうえで、1か月での再指定も検討している。不正分の返還などは、市外や県外の患者分も含めて藤枝市が負担することになりかねないため、市民から批判が強まりそうだ。
 不正請求が行われていたのは、義歯を装着する「インプラント(人工歯根)治療」の前処置として行うあご骨の移植手術など。インプラント治療は保険の適用外。一方、あご骨の治療などは単独なら保険が適用されるが、保険適用外の治療と合わせて行う「混合診療」は原則禁止されており、インプラント治療を前提としたあご骨の移植手術なども保険適用外となる。
 ところが同病院では、あご骨の移植などに保険適用を申請。歯科口腔(こうくう)外科で過去5年間に少なくとも延べ約2500人分、総額約1億2200万円の不正請求をしていたという。
 不正分の返還にあたって、同病院は「当病院に重大な過失があった」と判断。患者には負担を求めず、健康保険組合などが同病院に支払う診療報酬と相殺する形で、すでに大半を自主返還したという。
 高齢者や子どもなどを除き、保険診療での患者自己負担は原則3割だが、保険医療機関の指定が取り消された場合、同病院の全23診療科で患者負担が10割になる。同病院の設置者である市は、すでに近隣病院に入院患者の受け入れなどを打診しているが、市が今後、患者の自己負担分以外を肩代わりせざるを得なくなるケースも懸念されるという。
 不正請求について、金丸仁院長は「インプラント治療とあごの前処置では時期が半年から数か月ずれるため、担当医師が『前処置は病気の治療に当たるから保険診療でいいはずだ』と判断していた。勉強不足だった」と話している。


 違法行為が原因で保険医療機関の指定が取り消しされた例はこれまでもありましたが、これだけ大きな規模の病院で、しかも地域の中核病院で、不正請求の事実が判明したのはおそらく初めてでしょうし、保険診療が出来ない間の入院・通院患者の転院受け入れ先探し一つとっても、市内の病院だけでは到底対応できないはず。保険医療機関としての指定が取り消されれば、患者は健康保険が使えなくなり、事実上再登録されるまでは、この病院は利用できないことになりますが、ホントとんでもないことをしでかしてくれたものです。
 ちなみに藤枝市は静岡市のベッドタウン化している人口13.2万人規模の都市ですが、主要な病院はこの藤枝市民病院(病床数654)を別にすれば、大きな病院は藤枝平成記念病院(一般病床は113)と内科・リハビリ科専門の誠和藤枝病院くらいのもので、小児・産科や救急を受け入れる余裕なんて市内の他の病院にはありませんし、こういった分野は当然静岡市内の病院に協力をお願いする形になると思いますが、もし新たなる不祥事が出てきて、状況改善後1ヶ月程度の特例での再指定が受けられなくなれば、藤枝市民だけでなく、患者が流れて来る静岡市の市民にも病院が混雑するという形でかなり迷惑をかけることになりそうです。
 もし不正診療が単なる事務手続きミスというのならば、(地域の医療を守るためにも)特例で1ヶ月程度の再指定を行うことで済ますと思いますが、別の案件で不祥事が出てこないか心配ですね。


1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-11-09 16:26:10
混合診療を禁止するのは違法だという判決が、東京地裁で出た。そうすると、藤枝市民病院のケースでは、国は、自らが違法行為をおこなっておきながら、合法的行為を行っていた病院を罰していることになる。

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