石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

沖縄・北方問題特別委で次期沖縄振興策について枝野大臣と議論!

2011-08-10 23:47:14 | 活動レポート
お知らせしていた通り、今日の午後、参議院「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」で質問に立ちました。




何が起こってもおかしくない今の国会情勢の中で、ひょっとするとまた流れてしまうかも・・・と心配していたのですが、何とか無事に開催される運びに。昨年の秋から待ち続けた質問の機会、ようやく実現となりました!

与えられた質問時間は30分間。国会で質問に立つのはこれで5回目ですが、30分というのは今までで最長です。それでも限られた貴重な時間、質問したいことはそれこそ山ほどあって悩みに悩んだのですが、最終的に、私の思い入れが一番強い課題、そして、私らしい質問が出来る課題に絞って質問することにしました。それはもちろん、労働者や生活者の課題です。

焦点は、来年3月末に期限が来る現行の「沖縄振興特別措置法」と「沖縄振興計画」に代わる新たな沖縄振興策のあり方について。現在、政府は内閣府の沖縄部局を中心に次期振興法制を含む沖縄振興策の具体的内容について検討を進めているわけですが、策定にあたって、政府はどのような理念や目標を持って議論を進めているのか、具体的にどういう中身を考えているのか、これらのことを沖縄担当である枝野内閣府特命担当大臣に質したのです。




具体的な質問については、下記にその要旨を掲載しておきますのであらためてご一読下さい。主に、沖縄を「アジアにも開かれた窓口にする」という枝野大臣の考えについて、また、国際ハブ化構想のために最も重要な基盤となるべき情報通信戦略についてなど、次期振興策の中心的なテーマとなるべき課題についてとりあげていますが、先に述べたように、私が今日の質問で最も強調したかった点、それは、次期振興策は沖縄県民の皆さんの生活を第一に考えて策定すべきだという点です。

これまで国は、4次40年に及ぶ沖縄振興(開発)計画を実行し、10兆円以上の予算を投入してきたわけです。もちろん、返還時に他の都道府県に比べて相当に遅れていた沖縄の経済・社会インフラは、これら振興策によって大いに改善・充実されてきたことは間違いありません。

しかしその一方で、よく指摘されているように、沖縄の一人あたり県民所得は未だに全国最下位に留まっています。また、失業率も7%以上で高止まりしていて、特に、若年層の失業率は13%を越えています。経済的な成長が、社会の成長に結びついていないのです。

そして、私が一番の問題だと思っているのは、この10年~15年で、非正規雇用が大幅に拡大していることです。非正規雇用の蔓延は日本全体の問題であることは間違いありませんが、沖縄はその中でもとりわけ深刻な状態にあるのです。実際、統計の取り方によって差があるのですが、沖縄県が実施している労働実態調査報告によれば、非正規雇用労働者がすでに半数を越えています。そして、ここ10年で正規常用雇用の数が激減しているのです。

今日の私の狙いは、あらためて枝野担当大臣をはじめ政府の沖縄担当の皆さん、そして沖北特別委員会の委員の皆さんたちに、この沖縄の労働者の実態をしっかり認識してもらって、次期沖縄振興策ではその改善に向けた具体的方策を必ず入れ込んでいくような方向付けをすることでした。労働の質、雇用の中身を変えていく道筋を付けなければ、いくら産業の振興が図られて、経済的な指標が上向いていっても、それが沖縄県民の皆さん、労働者の皆さんの生活向上や安定にはつながっていかないのですから。




私の質問に対する枝野担当大臣の回答は、おおむね満足のできるものだったと思います。いや、いつもとっても慎重な枝野大臣のことですから、今後の政府内の議論や決定を縛ってしまうような踏み込んだ発言はなかったのですが、「雇用の質の改善に向けた具体的な施策を講じなければならない」など、ギリギリレベルの前進的答弁をいただきました。あとは、9月に政府案が発表になって以降、来年の通常国会への法案提出をにらみながら、引き続きしっかりと党内でも議論を進め、「沖縄県民の生活が第一」の次期振興策をしっかりと作り込んでいくこと、です。

なお、委員会では参考資料を配付しています。資料があった方が質問の内容が分かりやすいと思うので、下記にアップしておきました。ダウンロードしてご参照下さい。

 ・参考資料(PDF)

また、参議院のインターネットTVサイトで、今日の質問の模様を録画で見ることができます。ぜひ、臨場感ある動画で、私と枝野大臣とのやり取りをご覧下さい。

 ・参議院インターネット審議中継

それにしても、今日の枝野大臣とのやり取りは面白かったです。5回目にして、初めて大臣と実のあるやり取りが出来たな~という感じがしました。何と言っても、今日は質問している間にも、いつも応援してくれている沖縄の仲間たちの顔が思い出されました。今回もきっと、応援してくれていたことでしょう(質問に満足いただけたかどうかはまた別の話しでしょうけど・・・)。今後のためにも、ぜひ感想を聞かせて下さいね!



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 質問要旨
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1.次期沖縄振興特措法および沖縄振興計画の策定スケジュールについて

石橋みちひろ 大臣はこれまで、沖縄振興特別措置法後の次期法制を含めた沖縄振興のあり方について、沖縄政策協議会や沖縄振興審議会、さらには沖縄県からの要望も踏まえながら、「概算要求や税制改正要望の時期を考慮して、本年夏ごろまでに一定の取りまとめを行いたい」と述べてきた。もう夏も半ばを過ぎているが、政府としての取りまとめ公表の時期はいつになるのか?


枝野国務大臣 この夏ごろを目標に一定の取りまとめをすることで進めている。沖縄振興審議会からも七月に意見を提出をいただいた。
 その一方、来年度予算編成などとも直接かかわるところもあり、第三次補正予算の編成等、行政の実務上、来年度の概算要求等の日程や枠組み等もまだ決まっていない状況である。
こうした行政上の日程等を見据えて、概算要求等に遅れないように、政治状況によって遅れることがないようにしっかりと準備を進めてまいりたい。八月中というのは難しいが、その後の概算要求等の段取りを見ながら進めていきたい。



2.「沖縄県民の生活が第一」という視点で次期沖縄振興策が策定されるべきだという考え方について

石橋みちひろ つまり、次期沖縄振興策については今、政府内で急ピッチの作業が進められているということだと思うが、大臣はこの政府内の作業にどの程度関わっているのか? 大臣が直接関わって、指揮しているのか?

枝野国務大臣 この間、沖縄政策協議会や沖縄振興審議会等でも議論をいただいている。また、沖縄県からは知事を始めとしてかなり頻繁に要請、要望を含めた話をしているところだ。
 事務ベースでは、関係各省とも協議しながら作業を進めているところだが、ステップが進むごとに全部報告をいただき、指示を出して、事務レベルでの各省との協議、調整を進めている。県などとの相談も進めており、ここまでの振興については、私の指揮の下で進めていると認識している。

石橋みちひろ なぜこれを聞くかというと、次期振興策は、民主党政権の下で初めて策定する振興策となるわけで、その中にはもちろん、民主党政権の基本理念が政治主導の下で盛り込まれると期待しているからだが、枝野大臣の指揮の下で民主党の理念をしっかり盛り込んでいくということで良いか?

枝野国務大臣 行政の立場では、私の指揮の下で関係部局が作業を進めている。さらに、党の側でも岡田幹事長自らがトップで沖縄協議会が設置されている。そこと連携しながら対応しているところだ。
 沖縄振興のためには、民主党の理念と沖縄の皆さんの思い、声が重要だということを十分に踏まえながら、政治主導で進めていきたい。

石橋みちひろ 私は、次期振興策にぜひとも「国民の生活が第一」、つまり「沖縄県民の生活が第一」という民主党の理念を盛り込んで欲しいと思う。沖縄県民の暮らしを第一に考えて、それをこの振興策でどう良くしていくのかをしっかり示すことが重要だ。そしてその議論の出発点として重要なことは、今、沖縄県民の皆さんの生活がどのような状況にあるのかをきちんと認識することだと思っている。

 配布した資料は、沖縄県民の生活状況の一端を示すものである。

 4次40年に及ぶ振興策で、10兆円以上が投入されたにも拘わらず、沖縄の県民所得は未だに全国最下位で、失業率も最も悪い、これはよく指摘されていることだ。

 表-1とグラフ-1を見ると、沖縄の一人あたり県民所得はここ15年間、全然増えていないことが分かる。

 失業率については、2ページ目の上、グラフ-2を見て欲しい。失業率は最初から今のように高かったわけではない。特にここ20年で増加し、高止まりしている。

 そして最大の問題は、雇用の非正規化。表-3と表-4は、いずれも雇用形態別の労働者の割合を示しているが、表-3は総務省統計、表-4は沖縄県の実態調査報告。表-4に注目して欲しい。私もあらためて資料を作っていて衝撃を受けたが、実態調査によれば、沖縄の常用雇用労働者は5割を切っている。女性では、約3割です。男性の若年層でも常用雇用率が格段に下がっている。3ページのグラフ-3では、この10年で常用雇用が大幅に減少し、非正規雇用が増加している傾向が明らかだ。枝野大臣、これをご覧になってどういう感想をもたれるか?

枝野国務大臣 御指摘のとおり、沖縄の振興の最終的な目的は沖縄県民の皆さんの豊かな県民生活の実現である。その意味では、失業率や雇用形態などは大変重要なポイントになる。この十年、二十年という単位で見た場合は、日本全体としては非常に状況が悪化している中で、沖縄がある程度踏みとどまって、その結果相対的に縮まっていることについては、率直に前政権の政策も含めて一定の評価をすべきだろう。
 ただ、グラフ3でも顕著に出ているように、この5年ほど雇用の質が非常に不安定化している点では、沖縄がこれからいい方向に伸びていけるのか、それとも全国的に生じてきている雇用の不安定の中に元々ベースが必ずしも良くない中で落ち込んでいくのかという、大変大きなポイントを迎えていると思う。この雇用の質を何とか従来どおり高めていく、従来の線に少なくとも戻していく、その上で更にそれを量、質共に高めていくという努力を進めていくことが沖縄振興の一つの大きな柱になろうと受け止めている。

石橋みちひろ そして、3ページの表-5と、最終ページのグラフ-5(注:上記のダウンロード資料には含まれていません)を見て欲しい。次期振興策で産業振興の重点となっている観光関連の産業や情報通信も含めてだが、非正規雇用率が著しく高い。そして、グラフ-5では、その観光関連産業で多くの労働者が非常に低い所得で働いていることが示されている。つまり、沖縄の経済は成長しているけれども、労働者や生活者がその正当な成果、恩恵を享受していないということ。この問題こそ、次期振興策の中で解決に向けて直接かつ具体的に取り組みが示されなされなければならないと思うが、大臣の見解は?


枝野国務大臣 雇用の質を高め、一定程度の収入が得られるようにするには、生み出す付加価値を高めていくことが必要ではないか。観光も、ただお客様が来てくれればいいではなくて、沖縄には来たい、宿泊したい、沖縄で物を買いたいと思われるような付加価値の高い観光やお客様を安定的に来ていただけることが、常用雇用につながっていくというような側面があると思っている。

 情報通信については、この間、ITを中心として沖縄だからこそ高付加価値の情報通信産業が育つという状況に進んできているが、これを加速することで高付加価値が沖縄で生じているということが重要だ。そういった意味では、まさに産業政策そのものも質的な部分が問われていると思う。

 御指摘のように、生み出された付加価値がそこで働いている皆さんの暮らしにしっかりと及んでいくようにならなければいけないという問題認識は沖縄県においても同じだと思うので、しっかりと連携、相談をして進めていきたいと思っている。


3.沖縄を「アジアにも開けた窓口」にしたいという大臣の言葉の意味と、具体的なイメージについて

石橋みちひろ では次に、枝野大臣がかねがね口にされている「沖縄をアジアにも開けた窓口として、沖縄の特性を生かして日本を引っ張っていって欲しい」という考え方について聞きたい。この「アジアにも開けた窓口」というのは、具体的にどういう沖縄をイメージしておられるのか?

枝野国務大臣 21世紀は世界史的に見ても、恐らくASEAN諸国であるとか、台湾であるとか、あるいはインド、そしてメーンランド・チャイナ、まさにアジアが、更に大きく成長していく時代になっていくだろうと思っている。その中で、沖縄はもう地理的にも、これから21世紀成長していく地域に最も近い場所にあるので、その利点を十分に生かしていくことで、20十世紀に経済成長を遂げることができた我が国の持ち味と、21世紀成長していくアジアの国々のこの成長力が、沖縄を窓口・接点としてかみ合っていくことが双方にとって、大きな意義を持っている。

 私が沖縄担当大臣を拝命し、沖縄へ行った時に、一昨年の十月に開始された国際航空貨物拠点、ハブ事業の現場を見学することができた。24時間空港である那覇空港を拠点としてアジアの主要八都市を毎晩結び、沖縄の空港からまた国内、そこで荷物を移し替えて飛ばすことが、物流のスムーズな展開という意味でも大きな意義を持っている。その結果、国際貨物の取扱いでは、既に中部国際空港を抜いて、成田、関空に次いで現在我が国の第3位となっている。これは単に物流だけではなく、そこに物流の拠点ができれば、そこに付随して各産業も伸びていくことになる。日本にとっての玄関口という役割を既に果たし始めているので、今後、これを大きく育てていきたい。

 また、観光面については、外国人観光客が全体の5%程度という現状がある。アジア諸国が経済的に発展すれば、そうした国々のお金を持った豊かな層の皆さんが、沖縄の歴史、自然、観光業など、様々なサービスの質の高さ等を求めて、たくさんの方が来ていただける余地があると思っている。
 こうした意味も含めて、アジアに開かれた窓口として沖縄の発展は大変大きく期待できるし、またそのことは日本全体にとっても大変大きな意義を持っていると思っている。

石橋みちひろ 私は、「アジアへの窓口」と言うと、あくまで沖縄が日本のモノを海外に送り出すための中継基地になるぐらいのビジョンに限定されてしまうような印象を持ってしまう。むしろ、沖縄を「アジアのハブ」、「世界のハブ」として、つまりアジアはもとより、世界の企業が沖縄に投資し、進出し、アジアの拠点をつくる、そこで、モノや金融、そして人材が沖縄を経由してアジアを、そして世界を飛び交う、そんな国際ハブとしての沖縄をイメージするべきではないかと思っていますが、大臣のビジョンとは合わないか?

枝野国務大臣 目指していく方向は御指摘のとおりだろうと私も思っている。
 第一弾としては、物流の拠点として更にしっかりとした基盤をつくる必要がある。あるいはたくさんの外国人観光客の皆さんが沖縄になじむことも大事であろう。短期的にはそういったところをしっかりと進めていく。
その結果として、例えば、日本とアジアを結ぶ物流の拠点としての位置づけがなされれば、委員が指摘されたような方向には進んでいくのではないかというふうに確信している。


4.沖縄を「アジアにも開けた窓口」にするための必要条件と、特に、最先端のICT(情報通信)基盤、技術、サービスを提供することの必要性について

石橋みちひろ 最後に、情報通信戦略について聞きたい。

 私はかつて、シンガポールに2年半、マニラに3年、在住して仕事をし、その時にアジアのさまざまな都市の違いを比較して、成長には何が必要かを考えた。その結果、アジアのハブとして成長するために必要な三要素は、情報通信、金融、そして国際物流ではないかと考える。

 特に、グローバル・ネットワーク社会の中で国際競争力を持つには、高度な情報通信ネットワーク基盤と、そしてサービスの提供が不可欠だと思う。現行の振興計画でも、特区制度で情報通信産業の育成に力を入れて取り組んで、それなりの成果を上げているが、今後、アジアのハブとして成長するためには、単に国内企業の進出を図るだけではダメで、アジアや世界のICT企業が沖縄を目指し、ICT技術者も沖縄をめざし、それが沖縄の地元の企業や人材の育成につながるような戦略性が必要だと思う。大臣はどう考えるか?

枝野国務大臣 ハブになって成長するため、情報通信等の産業が大変重要であるということはまさに御指摘のとおりである。

 最初のうちはコストが安いという理由で、コールセンターが沖縄へ移るというような形からスタートしたのかもしれないが、今ではしっかりとした情報通信産業の基盤をつくりつつあると思っている。

 アジアに開かれたということも含めて大変重要な成長のもとなので、国内の企業にとどまらず海外から沖縄に拠点を持とうと思われるよう、沖縄振興策については県などとも相談する必要があるが、私自身は一つの大きな柱として後押しができるような構図をつくってまいりたいと思っている。

石橋みちひろ しかしそのためには、アジアの他の都市にも勝るとも劣らない優位性が必要。シンガポールや、香港と競争しなければならない。現段階では、まだまだ具体的な踏み込みが足らないように思える。この情報通信の国際競争力を強化していくことによる沖縄の国際ハブ化という観点で、最後に大臣の意気込みを聞かせて欲しい。

枝野国務大臣 貴重な提起をいただいた。沖縄で高付加価値を生み出すことができる基盤をしっかりつくっていきたい。それが情報通信においても沖縄がアジアの、ひいては世界のハブに向かっていくポイントだろうと思っている。今後もそのような認識で努力していきたい。