●3月8日(月)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
0V-62-35『ガルボ・トーク*<夢のつづきは夢>』"Garbo Talks" (1984) MGM-UA, Diamond Jubiry, Elliot Kastner Pro.
監督・シドニー・ルメット 主演・アン・バンクロフト、ロン・シルバー <97分・ビスタサイズ>VHS
サイレント映画時代の女優グレタ・ガルボの映画を見た事はなかったが、まだトーキーもテレビもない時代には、絶大な人気があって知らない人はいなかった。
イングリッド・バーグマンが「誰の為に鐘は鳴る」は戦後で、オードリー・ヘプバーンの登場も,その後の世界大戦のあとだから、正に<夢のまた夢・・・>。
ニューヨークで離婚したアンは、サラリーマンになっている一人息子とマンハッタンの安アパートで暮らしていたが、ある日、末期がんなのを告げられて入院。
いつも深夜テレビで、往年の大スター、グレタ・ガルボの映画を見るのだけが、楽しみで、まだビデオのない時代だから、いつもベッドの深夜放映で涙を流していた。
その母の望みを、亡くなる前に果たしてみようと、会社での課長職も投げ出して、一人息子のロンが奔走するので、とうとう妻とも離婚をしてしまう、という悲惨。
しかし、さすがに名匠ルメットは、その母親の夢を叶えるべく、日夜、ガルボの姿を求めてマンハッタンを奔走する姿を、軽いコミック・タッチで見せて行く。
ウディ・アレンが演じた『ボギー、俺も男だ!』も、あのハンフリー・ボガートに憧れたクレイジーなシネ・フリークの話しだったが、こちらは女優の<追っかけ>だ。
母の夢を叶えるべく、息子は、ガルボが名前を替えて住んでいるらしい、マンハッタン・イーストのマンションなどを探すが、当然、ガードマンに阻止される。
まるで私立探偵のように、ガルボを探しまわるタッチはコミックだが、悲惨で、とうとうフィアンセとも婚約は破棄となるが、息子の情熱はハンパじゃないのだ。
とうとう母は末期症状で病院のベッドで寝たきりだが、息子はついにグリニッチ・ヴィレッジのサンデー・オークションの古書市の雑踏で、ガルボ本人を発見。
事態の切迫で、息子とガルボは病院のベッドに駆けつけて、意識の遠のく母親にガルボを会わせて、母は夢のような幸福を最期に息を引き取っていく、という感動だ。
ま、映画ファンならではの発想だが、これもファンタジーのような、人間の<見果てぬ夢>の実現に奔走した、母と息子の感動のライト・コメディの秀作。
■意外に伸びたセンター・オーバーがフェンスを越える。 ★★★★☆☆☆
●W0W0Wでの放映VHS。