●『影裏』で見え隠れする親友の影と、その裏。
Weblog / 2019年12月28日
●12月19日(木)13-00 市ヶ谷<六番町View Box試写室> M-103『影裏(えいり)』(2019)<テレビ岩手・開局50周年記念<影裏>製作委員会>、OFFICE,Plus, ソニー・ミュージック、 監督・大友啓史 主演・綾野 剛、松田龍平 <ビスタサイズ・136分> 配給・アニプレックス、アニープラネット 原作は沼田真佑で、この作品で第122回文学新人賞を受賞、芥川賞までもダブル受賞で、製作はテレビ岩手となると、盛岡市出身の拙者としては必見の新作。 それで、めったに行かない市ヶ谷の六番町試写室を、駅前交番で確認してから、実に久しぶりの試写室だった記憶が甦った、という不思議な気分での試写だ。 このタイトルもミステリーにしては異様だが、その真実は<影>の、そのまた<裏>に潜んでいる、ということらしいが、とにかく盛岡ロケとしては見逃せない。 運送会社で、はじめて盛岡に赴任した青年の綾野剛は、<佇む>という気持ちを意識して、この単身赴任して盛岡で単身アパート生活しているというが、相変わらず寡黙な青年だ。 気ままなワンルーム生活に、ふと会社同僚の松田龍平が現れて、同世代で盛岡には不慣れな綾野にいろいろと話しかけては街に出て酒を飲みかわしたり、の、交遊が続く。 釣りが好きだった綾野は、盛岡や近郊の渓流の釣り場などを知っている松田の誘いで、夜の街には酒を飲みに出かけて友情は濃くなりつつあったが、彼は突然に行方不明退職。 盛岡市出身のわたしとしては、同じ盛岡一高の後輩にあたる大友監督の作品には、当然のように好意的に見ていて、あの「るろうに剣心」や「3月のライオン」も見た。 その彼が、盛岡市を舞台にしてミステリー映画を撮るというのは、大いに楽しみと期待が強かった訳で、普通の作品以上に市ヶ谷の試写室にワクワクと駆け込んだ。 『るろうに剣心』シリーズや『新宿スワン』から、最近の『楽園』でも、ちょっと翳りのある青年を演じて、いまの邦画界ではトップの実力を誇る綾野剛の主演作品。 しかも舞台が盛岡では、恐らく試写室の中でも、もっとも期待の高い存在だったろうが、とくに夜の桜山神社付近の繁華街のシーンでは、思わず郷愁がこみ上げる。 多くのミステリー作品が、明快な回答を見せないように、ここでも消えた友人の松田が、退職後に釜石にいて、あの三陸大津波に遭遇したであろう憶測で行方不明。 その見えない青春の謎を背中にして、綾野剛が中津川の中の橋東土手を、上流に向かって歩く、その背中を追って行くカメラの、あの2度の長まわしが、感動した。 ■レフトを抜けた長打がフェンス転々のスリーベース。 ★★★★☆☆ ●2月14日、バレンタインデー全国公開。
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