細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ジャック・リーチャー』で孤軍奮闘のトム、乱打されるが苦闘の粘り。

2016年11月03日 | Weblog

10月27日(木)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>

M-137『ジャック・リーチャー』" Jack Reacher= Never Go Back " (2016) Paramount Pictures / SkyDance / Tom Cruise Production

監督・エドワード・ズウィック 製作+主演・トム・クルーズ、コビー・スマルダース <118分・シネマスコープ> 配給・東和ピクチャーズ

リー・チャイルドのヒット小説「キリング・フロア」に登場して人気の出たタフな主人公<ジャック・リーチャー>は、すでに20作ものシリーズになっているという。

その一匹狼の生き様に興味を持ったトム・クルーズは、「ミッション・インポッシブル」のイーサン・ハントとは全く別のヒーローに惚れ込んで、3年ほど前に「アウトロー」に出演。

もう、とうに50歳を越えた彼が惚れ込んだこのヒーローは、ワケありで軍部特殊幹部工作員のキャリアを捨てて、裏街道で生き延びる正義の影武者となり、彼のイメージは「浪人」なそうだ。

という接点では「ラスト・サムライ」で組んだ監督のズウィックとは、まさに<素浪人・サムライ>のイメージを引き継いだスーパー・ヒーローとしての発想は合致したのだろう。

まさに住所不定、収入不明、友人なし、所在不明、もちろんガールフレンドもいない一匹渡世人は、わが高倉健さんが演じていた多くの正義のタフガイに背景は似ているが、今回は軍職がらみの事件。

現役当時に優秀な女性部下だったコビー少佐が、なぜか国家反逆罪で逮捕されたために呼び出されたジャック・リーチャーは、彼女の無実を信じて、その疑惑の罠を暴いて行く・・・という。

しかも組織の中の腐敗に絡んだ事件の真相なので、かなりやっかいな内部障害が多くて、しかもその背景には裏社会のバックもあるために、自力での孤軍奮闘のドラマが展開されていく。

ま、アクション・サスペンスとしてはテンポもいいし、相変わらずのトムは柔軟な武術と疾走ぶりを見せ、あの「ジェイソン・ボーン」には、まだ負けられない!!!と意欲は見せる。

いままた「トップガン」のリメイクを製作中というニュースもあり、ここでもトップ・シーンの深夜のファミレスのカウンターに一人で食っているシーンなどは、ウン、いいじゃないか。

しかし、トムのプロダクションの予算の関係か、プロデューサーも兼任しているせいか、相手役も悪役も無名の俳優ばかり格安使用しているので、いかにも弱小プロのワンマン映画という印象。

そこをズウィック監督は、とにかくトムのフル出場の完投ゲームで見せるのだから、印象はジェイソン・ステイサムや、マーク・ウォールバーグのワンマン・アクションとあまり変わらない。

せめて悪役にスタローンとか、ハリソン・フォードもようなビッグ・ネームでも起用していたら、もっと分厚い作品になったであろう、と、惜しまれる。

 

■当たりは痛烈なセンターへのヒットだったが、好返球でセカンドは無理。 ★★★☆

●11月11日より、109シネマズなどでロードショー