細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『リベンジ・マッチ』死ぬまでに決着をつけたいイヤな奴。

2014年03月20日 | Weblog

3月18日(火)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-030『リベンジ・マッチ』Grudge Match (2013) warner brothers presents / caravan film works /  gerber pictures

監督・ピーター・シーガル 主演・シルベスター・スタローン <113分> 配給・ワーナー・ブラザース ★★★☆☆

何と、ボクシング映画でアカデミー作品賞受賞の名作「ロッキー」のスタローンと、秀作「レイジング・ブル」のロバート・デ・ニーロのリング対決。

ロッキー・バルボアとジェイク・ラモッタ。ふたりのヒーロー。あれから3~40年も経っているのに、このふたりには、実は犬猿の怨念が過去にあった。

つまりスタローンの妻だったキム・ベイシンガーと浮気をしたデ・ニーロには、男の隠し子がいて、しかも、すでに孫までいたのだった。

この不遜の関係を憶測した、でたらめなYouTubeの画像が波紋を呼んで、借金地獄のプロモーターが、このふたりをリング決戦させようと企んだのだ。

原題は「イヤな試合」。まさに初老のふたりにとって、逢うのも嫌な相手なのに、なぜかこのデタラメ情報が人気を呼んで、高額のギャラが約束されたのだ。

もう60歳になるご両人だって、こんな「ヤラセの試合」なんて、やりたくはない。でもお互いに老後の生活が苦しいので金は欲しい。

なんだ、アイデアはウディ・アレンとピーター・フォークの共演した名作の「サンシャイン・ボーイズ」じゃないか。しかも高齢者同士のデス・マッチ。

どうも気が乗らないには、このご両人と同様に、見ているこちらだって、あまり見たくもないボクシング。だってヨレヨレのご老体がリングで死闘をするなんて・・・。

しかし、どうもこの作品の狙いは別のようだ。・・・。老夫婦の復縁と、隠し子との友情。そして死ぬまでにやっておかねばならないこと。勇気とメンツ。

そうか、あのペキンパの名作「昼下りの決闘」の、ボクシング版なのだ。しかも二人の死闘は、ほとんどグリーン・マットのCGエフェクト処理なのが明かされた。

だから、悲惨なボクシング映画ではなくて、これは男気の果たし合いであり、つまりは元気に生きよう、という老人たちへの応援歌なのだ。

ラストで、ジョー・フレイザーとモハメッド・アリが談笑するカットがあって、妙にナットクのいったシニア映画なのだ、と気を良くしてしまった。

 

■ショートの頭上にふらりと上がったライナーが、そのままファンスまでのツーベース。

●4月4日より、新宿ピカデリーなどで全国ロードショー