細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『50歳の恋愛白書』というよりは人生修復のすすめ。

2009年12月09日 | Weblog
●12月8日(火)13-00 六本木<シネマートGAGA試写室>
M-132『50歳の恋愛白書』The Private Lives of Pippa Lee (2009) plan B 米
監督/レベッカ・ミラー 主演/ロビン・ライト・ペン ★★★☆
作家アーサー・ミラーの娘のレベッカが『プルーフ・オブ・ライフ』に次いで脚本を書き監督したから、当然、ヒロインの母親像にはマリリン・モンローの面影がちらつく。当人は関係ないが、父の苦悩は見ていた筈で、そのメンタルなアンバランスが、この映画の女性像に頻繁に見られる。
まともな強い精神性を持った健康な人間は、この映画にはひとりも出ないのが、この作品の面白さでもあろう。それが現代の人間社会だというのも、まさにおっしゃる通り。
しかし演出は逆に整然と知的にまとめようとしたのか、せっかくの異常さが弱められてしまっている。
その中ではひとり唐突だがモニカ・ベルッチだけが、日常の狂気を放出して印象的だった。
個性的で多彩なキャストも豪勢で、アンサンブル・ドラマとしては無難だが、強い主軸になるキャラクターがないのが残念。調理が素材に負けたようだ。
同じ話でもニック・カサベテスの『ミルドレッド』のような強烈な決断が見たかった。

●2月から、TOHOシネマズ みゆき座などでロードショー