諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

魅惑のコバルトブルー

2019-07-05 17:35:26 | 日記・エッセイ・コラム

 

   雨あがり 庭のつゆ草 繁りたる

          青き露おく 小(ち)さき花むれ    夢 蔡

  

  庭の小隅の多少湿気を含むところに、露草は、群落をつくる。

  6~7月にかけて、早朝、小花を一世に開花させる。

   実際の花の原寸は、約1センチ程であるが・・・。

  薄緑の草叢上に、点々と散りばめられた、コバルトブルーは、

  人の目を引きつける。

  

  すでに、万葉人も、青い小花を見逃さず、情緒の対象にしている。

  いろいろな人達の興味を引いたゆえか、別名が多い。

  「つき草」* 「蛍草」 「帽子草」 「鈴虫草」 「蜻蛉草」

  どの別名も、花を眺めていると、どこか納得してしまう。

  

  * 昔は、この薄青色の染料としたため、「つ く」→「つ き」

   転じて→→「つ ゆ」の説あり。

 写真の「 絵 解き 」

  (右)開花したての花 黄色部分・突き出した2本は雄蕊

     雌蕊は、まだで、おずおずと伸びかかっているところ。

  (左)側は、露草の特徴である 「苞(ほう)」が、受粉花を包んだところ

   受粉花が、確実に種子となるべく保護をする。

  花中央、下方へ伸びている 「 雌 し べ 」

  ① 花びらのすぐ脇の3個の黄色い部分は、虫よせの囮の雄しべ。

  ②「几」状に突き出た「黄と茶色」、これも花粉あまりなしの囮。

  ③「雌しべ」をはさみ、先端に花粉を持った2本の「雄しべ」

   今まさに、雌しべに襲い掛からんとしているかのようである。

  これぞーーー

  小虫を誘い、受粉を完成させんとする「用兵術」である。

 

   可憐ではあるが、露草は、戦略的である。

   センチメンタルなのは、眺めている人間のほうである。

  

  朝(あした)咲き 夕(ゆうべ)は消(け)ぬる 月草の

      消(け)ぬべき恋も 我はするかも (万葉巻10 2291)

  *訳 「朝に咲いて、夕方には萎んでしまうつゆ草のように

   見も消え果てしまいそうな恋、そんな切ない恋を私はしております」

 

       「 だっ~てさ ~∻ 」-------  

 

            ------<了>-----

 

  

 



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