雨あがり 庭のつゆ草 繁りたる
青き露おく 小(ち)さき花むれ 夢 蔡
庭の小隅の多少湿気を含むところに、露草は、群落をつくる。
6~7月にかけて、早朝、小花を一世に開花させる。
実際の花の原寸は、約1センチ程であるが・・・。
薄緑の草叢上に、点々と散りばめられた、コバルトブルーは、
人の目を引きつける。
すでに、万葉人も、青い小花を見逃さず、情緒の対象にしている。
いろいろな人達の興味を引いたゆえか、別名が多い。
「つき草」* 「蛍草」 「帽子草」 「鈴虫草」 「蜻蛉草」
どの別名も、花を眺めていると、どこか納得してしまう。
* 昔は、この薄青色の染料としたため、「つ く」→「つ き」
転じて→→「つ ゆ」の説あり。
写真の「 絵 解き 」
(右)開花したての花 黄色部分・突き出した2本は雄蕊
雌蕊は、まだで、おずおずと伸びかかっているところ。
(左)側は、露草の特徴である 「苞(ほう)」が、受粉花を包んだところ
受粉花が、確実に種子となるべく保護をする。
花中央、下方へ伸びている 「 雌 し べ 」
① 花びらのすぐ脇の3個の黄色い部分は、虫よせの囮の雄しべ。
②「几」状に突き出た「黄と茶色」、これも花粉あまりなしの囮。
③「雌しべ」をはさみ、先端に花粉を持った2本の「雄しべ」
今まさに、雌しべに襲い掛からんとしているかのようである。
これぞーーー
小虫を誘い、受粉を完成させんとする「用兵術」である。
可憐ではあるが、露草は、戦略的である。
センチメンタルなのは、眺めている人間のほうである。
朝(あした)咲き 夕(ゆうべ)は消(け)ぬる 月草の
消(け)ぬべき恋も 我はするかも (万葉巻10 2291)
*訳 「朝に咲いて、夕方には萎んでしまうつゆ草のように
見も消え果てしまいそうな恋、そんな切ない恋を私はしております」
「 だっ~てさ ~∻ 」-------
------<了>-----
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