前回のキノコ採りから3日の間を空けて『見置き』したナメコを採りに出掛けることにした。
「雨降りでも行きますよ。」
相棒には、そう伝えておいた。目的地に辿り着くまでに、本流を渡ることや崖の上り下りもないんだから、当然だ。ここでは『旬』が最優先される。
そして、当日。出発前に気象庁の雨雲レーダーを見ると、かなり危ういことが分かった。日本海側で降雨中。所々に黄色や赤の雨雲が広がっている。これが、1時間後には目的地を直撃するみたい。
ヤバイっす。
まあ、雨雲はそれほど大きくないから長続きはしないはず。鉄砲水で帰還困難になったことのある山域ではあるが、万が一そうなっても、すぐに水は退くはず。
相棒の荷物を積み込むとき、
「雨具と足回りは座席に積み込むべ。現地で雨降ってっかもしれないがら。」
と伝える。
「分かった。」
相棒も、状況を把握してくれたようだ。
目的地に着くまでに、かなりの雨に降られたが、到着してみるとパラパラ程度。ああ、良かった。山の神様のご機嫌は悪くないようだ。早速、身支度を調えて車外へ。
最後の木の葉を残した森を進む
周辺の空の様子を見ると、土砂降りになるような厚い雲ではなさそうだ。これでひと安心。目的の倒木までは、そんなに時間がかからないのだから。ここまでくると、ようやく、キノコや木の実の状況を見回す余裕が生まれてくる。
ムキタケの幼菌
数年前に倒れたミズナラの木に、ムキタケが出始めている。これからどんどん『シロ』を広げていくんじゃないかな。来年以降が楽しみです。
道端の倒木からナメコの幼菌が出ていた。この木からナメコが出たのは初めて見た。
今から向かう木もそうなんだけど、「今年初めて」という木が今シーズンは多くなった。新たな楽しみが広がってくる『喜びのシーズン』になりつつある、という気がする。
逆に、「出なくなった」という木も、少なくない。これは、寂しいけれども仕方がないことだろう。『世代交代のシーズン』に入った証拠でもある。
さて、1時間もかからずに目的の倒木に着きました。状況を点検します。
出てることは出てます
採り頃・食べ頃ではあります
でも、採られた痕も結構ありますね。
う~ん。
普通に考えれば、この食べ頃キノコを置いていくはずはない。ということは、このキノコが育つ前に採っていった。つまり、我々が『見置き』した直後に、あのツブ達を採っていった人がいるってことだ。
この子達ね(4日前の状況)
そうですか。まあ、そのお方の心情も、分からないでもない。
「まあ、仕方ねえベ。」
「まずは、貰える分だけ貰っていぐべ。」
残されたナメコ達は、予想通り食べ頃に育っていた。だけど、そうなるまで待てない事情の人たちも多いってことだよね。これは、仕方がない。山は、そこで楽しむ人たちみんなのものだからね。その近くの木を見ると、
まだまだ出てきそうな気配
そして、次の木にも、
これも『見置き』です
このちょっと上には食べ頃のナメコがあったので、相棒が収穫。私は、
ヒラタケが出ていました(この時期でもまだ出るの!?)
こちらを戴いてきました。
もうすぐ「冬ざれ」
当地では、ようやく最低気温が氷点下まで下がったようです。ナメコは、この低温に刺激を受けて芽だしを始める。やっぱりこの辺の法則は間違っていないみたい。案の定、遅ればせながらナメコの本格シーズンに入ったようです。
来週、ツブ達の育った姿を求めて再訪しようということになりました。
また、誰かに先を越されてしまうかもしれないけれど、それは仕方がない。山はみんなのものなんだから。
山の神様、ありがとうございました。来週も、よろしくお願いいたします。