山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

タケノコの重荷がとれた

2021年01月31日 | 山菜料理
 これまで紹介してきたように、冬場になると、これまで保存してきた食材の料理の割合が増えてくる。
 先人の知恵と新たな技術の進歩、その両方を適材適所で活かしながら収穫物の恵みを存分に味わう。人間とは、なんと賢い生き物なのだろう。その技を受け継ぎ、暮らしを豊かに出来ていることには感謝しかない。
 ただですね、今マタギが使っている技術は、先輩の山人から伝え聞いたものと、残してくれた記録に頼ったもの。うろ覚えの知識と試行錯誤とを積み重ねながら、なんとかやっているという感じです。
 したがって、「このやり方なら間違いなし。」とか「絶対これで!」みたいな保存方法も調理方法もありません。
 現時点で、「こうやったら美味しく出来た。」とか「うまくいかなかったのはなぜかな?」みたいな成功談と失敗談(次への学びね)とを綴っているつもりでいます。
 このような流れの中で、結構成功の確率が上がってきたんですけど、すごく心配な保存食が一つ。それがこれ、


一昨年採ってきて、食べきれずに保存してあったネマガリタケです。
 見て分かる通り『瓶詰め』。
 『塩漬け』、『乾燥』、『冷凍』と収穫物の種類と量に応じて保存してるんですけど、正直言って、一番自信がないのが瓶詰めです。
 この保存方法、うまくいけば冷凍以上に即戦力になるし、保存期間も長くなります。ただねえ、肝心なのは、『加熱殺菌後の真空状態』。
 加熱して殺菌すれば細菌は増えない。真空状態なら酸化は防げる。
 理屈は分かるんだけど、自宅のコンロでそれが出来るかというと、甚だ自信ありません。そこが、すごく心配なんだなあ。
 でも、そろそろ開けなきゃ。凄くすごくドキドキするんです。
 少々、話が長くなってしまいましたね。思い切って、真空の蓋に穴を開けて、「プシュウッ」

  ≪ネマガリタケの筍汁(信越風)≫

 マタギ本人としては見たことがない料理なんだけど、同僚が、
「この食べ方、凄く美味しいわよ。」
と勧めてくれていたので試してみることにした。

 下ごしらえ・調理の部


 ・写真の材料+豚コマが、主な材料になります
 ※タマネギ1、ニンジン1、ジャガイモ中2を全て銀杏切りに(ニンジンは3㎜、他は5㎜幅)
 ・豚コマは食べやすい大きさに切る


 ・タケノコ(約300g)を食べやすい大きさに切る
 ※先端部は10㎝ぐらい残します


 ・野菜と豚肉を炒めてからだし汁を加えて、柔らかくなるまで煮ます(10分強)
 ※アクすくいは必須
 ・そこにタケノコも加えて


 ・鯖缶1をほぐして加えます
 ・味噌大さじ3を溶かし込んで、塩少々で味を調えてみました
 ※新潟県上越市が公開しているレシピをベースにしています(大分変更加えたけど)


出来上がり!

 かなり美味しいです。サバの香りが強いけど、タケノコも負けずに存在を主張している感じ。家族も喜んで食べてました。
 これは、収穫期に素材の旨さを引き立たせると言うよりも、この寒い季節に、タケノコを始めとした色々な素材の美味しさを味わって温まる料理ですね。この時期に、この料理に挑戦して良かった。

 もっと嬉しいのが、二年間瓶詰めにしておいたタケノコが美味しく保存できていたこと。
 うまく保存できて本当に良かった。
 これで肩の荷がおりたと言うか、山の神様に顔向けができたという気分。

 山の神様、今年も遊びに行きますよ。そして、美味しく料理できるように努力しますね。

季節限定の味わい

2021年01月30日 | 日記
 本日は予報通りの荒天。横殴りの暴風雪を見るにつけ、「昨日遊びに行ってよかった。」と思う。こうなってしまうと軟弱マタギは、即退却。巣籠もり再開となる。
 で、たまに自分の日記を読み返してみると、同じ言葉が何度も繰り返されていることに気がついた。言葉の選び方って、その人ごとに必ず『癖』があるからね。
 自分の文章の中には、『季節限定』とか『期間限定』っていう言葉が結構数多く登場していることに気付いたんですよ。
 この言葉は好きですねえ。
「今だけ!」ってことじゃないですか。
 今しか味わえない喜びや楽しみならば、多少の犠牲を払ってでも手に入れたくなるってもんだ。
 考えてみると、海山で遊ぶマタギにとっては、至極当たり前の話です。この『季節限定』を逃さないために東奔西走し四苦八苦して日々を送っているんですよ。
 さて、ようやく本題です。
 今、目の前に2つの『季節限定』があります。

 一つ目、


とっても美味しいお酒



それこそ季節限定です

 酒処である本県の老舗酒造4つ。その若き店主達が協同で開発しているお酒です。
 ブロ友のpiyokunさんから教えてもらって以来、すっかり病みつきになってしまいました。これは、冬限定バージョン。旨いんだなあ、これが。
 そして、もう一つがこちら。


わかるかな?

 イカのワタを塩辛にしたものです。普通は切り身に和えて戴くことが多いと思うんですけど、マタギは最近、ワタだけでつくってます。
 スルメイカは、秋が深まって冬に向かっていく頃からワタを大きくするんですね。これも季節限定の楽しみです。それがあまりにも美味しくて勿体ないから保存します。


こんな感じ

 使う調味料は、塩と酒。密封状態で保管しています。
 で、年末に石巻から届いたイカのワタを入れたら溢れそうになったので、一番古い(一番熟成している)ワタを抜き出して、チビリチビリと戴くんですよ。日持ちのする食材だけど、そろそろ食べ切らなくっちゃ。


ああ、旨い

 
 季節限定の寒さを乗り切るために、季節限定の肴で季節限定のお酒を戴く。たまりません。

 やっぱり、『季節限定』が大好きです。

味をしめてもうひと汗

2021年01月29日 | 日記
 戸外で活動すると気持ちいい。それは分かっているんだけど、なかなか出かける気になられずにいた。ところが、前回、雪の落ち着いた隙を見つけて、思い切って出かけてみたら、やっぱり気持ちいいんですねえ。
 昨日、雨は降ったが、本日には天候も回復。週間予報で予告されていた降雪と暴風は明日以降に延期みたい。
 だったら、また行きましょう!
 気温は、まだまだ氷点下。根雪が消えたわけではないんだけど、山が呼ぶんですねえ。これは、毎年のことかも。
 冬眠から目覚める野生動物ではないんだけど、この時期になると、どうしても疼いてくる。多分、日照時間が長くなってちょっと春めいてきていることに、マタギの本能が刺激されているんだと思う。じっとしていられない感じ。
 そこで、本日は東のお山に向かうことにした。千歳山だ。山形市民にとっては、最もなじみ深い山だと思う。高くはないけど山容がピラミッド型で美しい。
 この山にまつわるエピソードは数多くあるのだが、そのうちの一つを思い起こすと、結婚前の妻と家族を家に呼んだとき、丁度この山でマツタケを収穫した所だったので、それをマツタケご飯にして振る舞って、翌週めでたくゴールイン。こんなこともあったなあ。ウン十年も昔の話です。
 もしかしたら、その時以来かもしれない山登りですね。


登り口には稲荷神社の鳥居が並びます

 前回、登ってみて、楽な山と言えども凍結した登山道には、ちゃんとした足回りが必要だと確認できたので、山用の足回りを準備しました(当たり前か)。


山(菜)用の足回り

 登るにつれて視界が開けてきます。


前回楽しませてもらった富神山


 登っていて楽しいことはいろいろあるんだけど、これも楽しみの一つ。


盆地の先の白鷹丘陵

 海抜が上がっていくと、


丘陵の後ろの山が見えてくる



マタギのホームグラウンドは真っ白



こちらも同じく

 馴染みの風景が広がってくると、それだけで嬉しくなってしまいます。
 そうこうしているうちに山頂に到着。
 あ~っ、やっぱり気持ちいい!


伝説を祀る石碑

 うん十年前よりも松の木が細くなった感じ。山頂で休む常連さん達に聞くと、
「松食い虫で、毎年数百本切ってるんだ。」
「マツタケなんて、最近聞いたこともないなあ。」
などと教えて下さいました。
 そうだよなあ。時とともに自然環境だって変わっていくよな。願わくば、悪い方には出来るだけ変わらないでほしいな。
 ちょっと寂しい思いを胸にいだきながら、久しぶりの千歳山を後にしました。
 また、いつか遊びに来るね。

ゆめみるこのは(さんぽうた54)

2021年01月28日 | いきもの

 ゆめみるこのは  きちょう しのぶ

ゆきがふる
かぜがふく

そして
ささやく

てをはなしておしまい
つめたかろう
つらかろう
このままじゃ

いいえ
つめたくなんてありません
つらくなんてありません

いまのわたしは
ただの このは

いまのわたしは
ゆめをみながら
ねむる このは

どこかで
わたしとおなじゆめをみて
ねむっているあなたと

はるのひざしのもとで
であえるそのひを
ゆめみる このは



雪景色の当地


 こんな雪の積もった中、今日も昼の散歩に出かけました。
 本日は『さとやま りん』さんの山裾を歩きます。
 芽吹きの準備をしている植物観察。それに、野鳥の鳴き声。そして、雪上に残った獣の足跡。
 そんなものを眺めながら歩いていると、

おや??


 思いがけず、この季節には見られないはずの鮮やかな色が目に入りました。
 「なんだ?」
 近づいてみると、

チョウチョじゃないの!


 まだ、1月ですよ。春はまだまだ先なのに。

春を思わせる黄色に包まれた姿


 後日、調べてみると、(キタ)キチョウみたいです。
 間違えて羽化してしまったわけではなく、この姿で越冬するのだそうです。
 こんなに儚く弱々しい姿なのに、この厳しい季節を乗り越えるなんて、どこにそんな力を秘めているのだろう。
 多分、いや、きっと、やがてやってくる春を焦がれ夢見ているから、この寒さ辛さを乗り越えられるんだよね。
 心の底から『しのぶ』さんにエールを贈り、その場を後にしました。


久しぶりにいい汗!

2021年01月27日 | 日記
 明日はお休み。冬型気候のお休みも明日までらしい。明後日以降は、また降り出すわけね。だったらこの貴重な時を使って外遊びしましょう。そう思い立って、気軽に遊べそうなものはないか考え始めた。
 で、頭の中に浮かんだのがアルペンスキーとクロスカントリースキー、それと単純に山登り。どれを選んでも冬の景色を楽しめそうだし健康にも良さそうである。
 さて、どれにしましょうか。
 真っ先に消えたのがアルペン。理由、お金がかかること、重たいこと、知人に会いそうで面倒なこと。
 続いてクロカン。理由、スキーのメンテナンスしばらくやってなかったこと、固雪じゃないのでかなりしんどそうなこと。
 残ったのが山登り。この季節に山菜やキノコ採り場の山に入るのは自殺行為だけど、お手軽な山登りを楽しめそうな所はいくつかあるはずだ。これにしましょう!
 ただ、最近山登りやってないんだよね。そこで、山形県のHPから『やまがた百名山』のコーナーを開いて情報収集を始める。


これ、山形県のヒット施策

 調べていくと、アプローチの仕方や山のグレード、登山適期などが分かりやすく解説されている。
 マタギが選ぶのは、冬でも登れるお手軽で身近な山。4つあった。ふむふむ、それぞれ魅力的ですね。その中から「富神山」をチョイス。理由は、眺めが良さそうだから。
 朝食後、
「ちょっと散歩に行ってくる。」
と言うと、妻が
「西ですか東ですか?」
と聞いてくる。夕べ地図を眺めていたのを覚えていたのね。
「西。2~3時間かな。」
と答えて出発。
 コンビニで水分と、一応、非常食調達。登山口に着く。ここに来ただけで心が浮き立っているのがわかるんですけど、とにかく運動不足。のんびり行きましょう。登山道に入る。


入り口は杉林



落葉樹が優勢に(ブナもチラホラ)



この斜面を登り切ると間もなく



山頂です。あれ?先客がいます

聞けば、これからもう一つ別の山を登ってみるとのこと。大したもんだ。私には真似できません。
 それにしても、いい眺めです。山形盆地が一望できます。遠くには、


蔵王の山々 三宝荒神・地蔵・熊野

これはきっと、スキー客にも良い日和でしょうね。


山の神様にお参りして帰ります


ちょっと滑って怖い下り道

 汗をかくと言ったら、職場の階段上り下りでも可能なんだけど、この汗は、やっぱり全然違いますね。

 ああ、良い気持ちだった。良い眺めだった。

 欲タガリのくせに、収穫全然ないじゃんとも思います。でも今回は、「巣籠もりによる息苦しさから解放されたい」、「いい汗をかきたい」という心の欲を満たした山遊びになったようです。

 満足じゃ!