山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

六番目の山菜料理

2022年04月30日 | 山菜料理

       今日、朝の積雪(ビックリしました)

 4月末日だというのに・・・。果樹農家は大丈夫かな。少々心配。

 それはそれとしまして、話題は昨日までのものです。

 今回採ってきた山菜は5種類。しかし、どういう訳か、ここに6番目の山菜料理が登場する。これは、ミステリーなのか。

 そう言えば昔、『六番目の小夜子』っていうちょっと怖くて面白いドラマがあったっけ。

 そんなことを思い出しながら作った料理の記録です(ドラマと本題とは無関係です)。

 今回採ってきた山菜は、コゴミ・アサツキ・シドケ・タラノメ・ワサビの5種類である。それぞれを美味しく戴くことができました。

 しかし、山菜料理が一段落したある日の夕方、台所に立つ妻と話をしている時のことだった。

「今夜は、牛の薄切り肉を焼いて食べようと思ってるの。」

なに?だったら、あれを試せるんじゃないの?

「ごめん、流しの片隅、借りてもいい?」

「いいけど。何するの?」

「ふっふっふ、いいこと。」

ということで、急遽、参入させてもらうことになった。

 使ったのは、これです。

       画像右の根ワサビです

 そう、これが今回のミステリーの始まり。六番目の山なのです。

 ワサビという山菜、葉と茎は『フスベ漬け』という料理によって、確固たる地位を得ているんですけど、知名度と利用は、根ワサビの方が上だよね。まあ、マタギにしてみれば、どちらも超一流の山菜素材です。今回、五番目に『フスベ漬け』を楽しんだけれど、まだ、六番目が待っていたということだ。てなわけで、

  ≪根ワサビ料理(活用方法が新しい)≫

 これも調理の過程は、これまでと同じなのであっさりといきますね。

 ・食べる分だけ汚れを落とします

 ※緑が濃いほど辛みも濃いような気がします

 ・鮫皮で丁寧に摺り下ろしていきます

 ※涙が出てくるんだけど時間をかけて、丁寧にクリーム状に仕上げていきます

       これだけあれば十分でしょう

       やっぱりワサビご飯は外せません!

 そして、今回やりたかった食べ方がこれです。

       牛肉のワサビ添え

 マグロやブリのように、脂ののりがよい刺身に合うんだから、こっちだって合わないはずはないと思ったんです。

 食べてみると、牛肉の脂っこさが驚くほどスッキリしました。これはビックリ!

 たとえが正しいかどうか分からないけれど、これは、食べる赤ワインですね。こいつはミステリーだ!

 ただし、ワサビの辛みは揮発性だから素材と合わせるのは食べる直前がいいと思います。焼き肉は、刺身と違って熱を持っていますから特に配慮した方がいいんじゃないかな(今から口に運ぶ分にだけワサビを塗るみたいに)。下手な使い方をすると、『気の抜けた』料理に化けてしまうと思います。

 それにしても、前回の甘酢漬けといい、今回の焼き肉といい、ワサビの美味しい活用方法が広がっていくのが分かり、嬉しい限りです。

 『六番目の山菜料理』、それは、新しい可能性の扉を開く、希望の料理だったようです。


夢が広がるワサビ料理

2022年04月29日 | 山菜料理

 今回の収穫物は、5種類。ここまで、かなり順調に調理が出来ています。

 コゴミ、アサツキ、シドケは文句なし。採りすぎたタラノメも何とかなりそう。そして、残るは、

       ワサビです!

 タラノメ以外は、冷静に採ってきたみたいなこと書いてたけど、これも採りすぎじゃないんですか?

 「いやいや、いいんです。」と、また言い訳

       こういうワサビ畑が、至る処に広がっているんです

 だから、多少、間引いても、環境破壊にはなりません。それに、ワサビ料理は、保管の仕方さえ間違えなければ、賞味期限が極めて長い山菜なんです。そして、なんと言っても、今回は、確かめてみたい料理方法があるんですよ。それで、少々多めに持ち帰ったんです。

 作りたかったのは、

   ≪ワサビの甘酢漬け≫

 前回の『フスベ漬け食べ比べ』の時、ブロ友のゆりさんが、ハマってると紹介してくれたので、マタギも試してみたいと思っていたんです。細かい資料がなかったので、マタギ流で作ってみましょう。

 下ごしらえ・調理の部

 ・ワサビの茎と葉を丁寧に洗うところからスタート

 ※以下、ほぼ前回と同じなので、簡略バージョンで説明していきます

 ・寸切りの半分くらいに切って

 ・ちょっと強めの塩で、しっかり揉んで

 ・80℃のお湯で20秒湯がいて

 ・冷水で洗ってタッパーに入れて1分間シェーク(ワサビを怒らせる)

 ・用意しておいたタレに漬けるんだけど、今回用意した甘酢ダレは、

 ・酢60mlに薄口醤油小さじ2、砂糖を40gと塩少々にしてみました

 ・タッパーで密封して、急冷。その後、冷蔵庫に移して一晩待ちました

 そして、24時間後。

       ほんのり色づいているのは、酢の効果ですね

 味見してみました。

「くわあ~!」

鼻から頭に抜ける辛みは、多分いつもと同じ。そして、その直後に訪れるのが、ほんのり甘酸っぱくて塩味も加わった独特の旨み。

 妻も味見して、

「ああ~、美味しい!」

と、のたもうておる。

 こりゃ旨いわ。

 思い返してみると、前回のワサビ料理では、塩味のみで辛みを楽しむことを覚えた。昨年は、粕漬けにして楽しむことを覚えた。そして、今回、甘酢漬けを楽しんでいる。

 共通しているのは、『ふすべる』という作業を経ていること。その先に加える手間が変われば、味わい方も変わるということだ。これは、もしかすると、まだまだバリエーションが広がりそうですね。ワサビ料理、奥深し!

 美味しい料理と気づきをくださったゆりさん、ありがとうございました。

 これからもよろしくお願いします。

 もちろん、こんな素敵な素材を分けて下さった山の神様にも感謝です。

 ありがとうございます。


タラノメと言ったらこれでしょう!

2022年04月28日 | 山菜料理

 今回の山菜採りは非常に楽しかった。楽しかったんだけど、帰宅してから「やっちまった。」と思ったのがこれ。

       タラノメちゃんです

 採り過ぎちまった。

 他の山菜は、節度のある採り方をしたんだよ。だけど、タラノメちゃんだけは、童心に返り、夢中になってしまったんですよ。

 言い訳がましく説明をすると、他の山菜は基本的に個人作業で採ったんだけど、タラノメだけは共同作業になったんです。

「おお、そこにもある!」

「届くか?」

「無理だ。」

「待ってろ。今行く。ザイルかけて引っ張るから、枝先をつかまえて。」

「OK!」

「おおっ、太い!」

「よし、次な。」

・・・

 完全に、若かりし頃の山菜採りになってしまったんです。

 こうなると、全員『欲タガリ』の本性が出てしまうんだよなあ。

 非常に楽しくて良かったんだけど、帰宅して夢から覚めてみると、「あ~あ。」って事になっていたんですね。

 芽を伸ばし始めた最も美味しいところと言ってよいでしょう。それだけに、食べ方は天ぷらしかないと思うんだよね。茹でて食すにはもったいない。妻の意見も聞いてみたが、同様のようだ。

 さて、天ぷらねえ。半分ずつに分けて日を改めて揚げる?いや、生では日持ちしない。じゃあ、どうする?

   ポクポクポク チ~ン

    ≪全部天ぷらにしてしまって、残りをフリーズドライ≫

 マタギ家で天ぷらが余ってしまったときよくやるのが、この方法です。冷蔵でも保つことは保つんだけど、衣も具もしんなりしてしまうんです。これに対して、冷凍しておくと衣のカリッとした食感がしっかり残るんですね。それで、食べたい分だけレンチンして戴きます。これでいってみましょう。

 ついでと言っては、何ですけど、もう一つ実験してみることにしました。それでは、始めます。

 下ごしらえの部

 ・基部の木質部分とハカマを外します(やっぱり多い)

       こうなります

 ※大きさ別に種分けしておくと、揚げるとき便利です

 ・基部の太い所に十文字に切れ目を入れておきます(熱が通りやすいように)

 ・卵黄2個分に冷水を加えて200mlに ⇒ 撹拌

 ・薄力粉200mlと片栗粉40mlを混ぜておき、ふるいかけます

 ・軽く混ぜたら、揚げる分だけのタラノメを潜らせます

 ・この間に揚げ油を加熱。160度を目安にしました。

 ※低温でじっくり揚げると、ホクホクの甘いタラノメの味を楽しめます

 調理の部

 ・1回分を欲張らずに、鍋の半分くらいに広がるように揚げていきます

       今回の実験は、温度変化

 このぐらいの量で、130度ぐらいまで下がりました。火力を上げて、160度を保つようにしてみました。

 ※油温が上がりすぎると、一気に揚げ色が付いてしまい、中まで火が通らず苦みが残ります

 ・泡が落ち着いてきたら裏返して、更に細かくなるのを待ちます

 ※揚げ玉はどんどん掬います

 ・底にも沈むので、2~3回揚げる毎に、沈んだ揚げ玉も掬い取っていきます

 ※放っておくと、天ぷらに焦げた揚げ玉がつきます

       さあ、出来ましたよ!

 太いものも細いものも、160度の油温は共通です。

       山菜尽くし定食(昨日も使った画像です。悪しからず)

 画像のかき揚げも、下ごしらえまでは、やってあったんだけど、もう眠くて仕方がなかったので、外出から帰った妻にお任せして一眠りしてしまいました。

 食べてみると、すごくホクホクして美味しかったです。家族からも好評でした。 

 今回ありがたかったのは、デジタル温度計。温度の上がり下がりが、数値としてはっきり出てくるので、火加減も正確に調節出来ました(自分が思っていた以上に激しく変動することも分かった)。誤差は1℃以内らしいから、信頼していいんじゃないかな。

 ということで、温度計君、ありがとうね。おかげで美味しく出来ました。

 そして、もちろん、山の神様と山仲間達、更に妻に感謝です。


春香るおひたし三種

2022年04月27日 | 山菜料理

 楽しかった山遊び(兼同窓会)。春を満喫させていただきました。

 ただね、ここで終わってはいけないんですよ。この喜びを、今度は家族と分かち合わなければ、山遊びは完結しません。

 そこで、今度は台所に立つわけですけど、今回の収穫物は、5種類に増えた(前回は3種。春だねえ)。食糧計画と言うか、調理計画を立てる必要があります。

 実のところ、山菜を採りながらも、山の中で殆どのイメージは出来上がっています。

 タラノメの成長具合を見たら、今回は天ぷら確定。ワサビは、フスベ漬けに加えて、ブロ友さんから聞いた甘酢漬けに挑戦したい。根っこの方は、後日楽しめばいいや。

 さて、残るは3つ。コゴミとシドケとアサツキだ。こちらも、調理の仕方は決まっています。それは、

   ≪おひたし三種≫

 「なあんだ。」と言うなかれ。これが極めてシンプルだけど、意外と奥深いし、もしかしたら、春の喜びと工夫を最も楽しめる料理なんです。それでは行ってみます。

 コゴミの部

 ・何よりも先に、汚れを洗い落とします

 ・同時に、茎の鱗片を指でこそげ落とします

       こんな感じ

 ・今回のコゴミちゃんは、熱湯で3分間茹でました

 ※最高級の太さではないから火の通りが早いのでこの時間です

 ※茹ですぎると、春の香りが損なわれる

       はい、一丁上がり!

 アサツキの部

 ・こちらも、丁寧に汚れを落として、ひげ根を切り落としていきます

       ああ、美しくていい香り♡

 ・茹で時間は、30秒です

 ※非常にデリケートで、茹ですぎると溶けてしまう

 ※盛りつけのために根元を揃えます

 ※半分に切ってから揃えるとラクチン(前回は茹でる前に切ったけど、どっちでもいいと思った)

       続いて、二丁上がり!

 シドケの部

 ・軽く洗って汚れを落とします

 ・熱湯5分の茹で時間(4分茹でて、裏返して1分)

       これにて、三丁上がり!

 ※山菜の種類に応じて、茹で時間を調節します

 ※山菜の種類と太さによっても変わるんだけど、『旨み』と『香り』をどれだけ残したいかによっても変えていきます(今回は、三種とも、香りをたっぷり味わいたいノーマルバージョンです)

 三種とも個性の異なる美味しさを楽しめます。これが、たまらないんですねえ。

        本日の夕食なんですけど

       三種のおひたしが主役の一つです

 甘酢味噌和えのアサツキと、かつお節でコゴミ、醤油味でシドケです。

 口の中に広がる春の味と香り。たまらん!

 種類毎に手間のかけ方を変えた気配りというか、工夫が報われる瞬間です。それぞれが、それぞれの個性で春の喜びを伝えてくれるようです。家族も喜んで食べています。  ありがたや。

 あらためて、山の神様に感謝です!


山は待っててくれた

2022年04月26日 | 山菜採り

 本日の収穫物。

       ちょっと採りすぎたかも

 『海』でパーフェクト負けを喫したけど、今度は、懲りずに『山』だ。

 前回の(山遊び)同窓会のあと、日程調整をしたら、10日以上も間が空いての期日設定になってしまった。

 計画は、同じ場所の同じコース。但し、日の出の時間がかなり早くなってきたから、集合と行動開始も少し早めることになった。

 そして当日、A氏とマタギの車は、予定よりもかなり早い時刻に集合場所に着いてしまった。余裕がありすぎるので、装備を整えて待つことにしたのだが、相方のT氏もかなり早く到着。これだけで、互いの胸の高鳴りが分かるってもんだ。

「行くか。」

「おうっ。」

前回と同じ場所に車を移動させて、準備完了。

 時間も早いんだけど、雲が厚いせいか、まだ暗闇に近い状態。

 しかし、誰からともなく藪に入り込む。

「赤コゴミ、出ったぜ。」

T氏が、早くも発見。マタギには見えなかった。しかし、初物ではないか。

「赤外線センサーつけっだのんねべにゃあ。」

「はっはっは、山菜は見えんのよ、どんなに暗くても。」

 赤コゴミが出ているということは、山の春も盛期に入ったと見て良いだろう。先に進む。

 前回と同じコースなのだが、様子がガラリと変わっている。

       シドケ(モミジガサ)が食べ頃に

       コゴミも真っ盛り(ピンぼけ御免)

       ワサビは、完全に『お花畑』

       赤コゴミを採集中

 山は、真っ盛りになって我々を迎えてくれた。

 今回の場合、A氏はワサビを採らない。マタギは赤コゴミを採らない。T氏はシドケを採らない。こんな風に、それぞれのターゲットが少しずつずれるので、また面白い。

 自分が目的としない山菜を見つけると、探している仲間に声を掛けて採ってもらう。これを繰り返しながら進むのも楽しい。

 同じターゲットに逢ったときにも声を掛けあうのだが、その中でも面白かったのが、こちら様。

       頭上の山菜スタート!

 タラノメはご覧の通り、トゲトゲの枝の先端に生えている。手が届く高さなら、問題なく採れるんだけど、そんなに甘くはない。頭上高くに生えている奴が殆どだし、そちらの方が品質良好なんですよ。そんでもって、木を折ってしまったら、環境破壊。だから、慎重に採るんですね。しかも、棘でダメージを受けないように。

 この時、仲間がいると、作業がかなり楽になります。一人が枝の途中を引っ張って、もう一人が先の方をたぐり寄せて、

「OK、採れた。」

「じゃあ、手、離すぞ。」

「あいよ!」

こんな感じで採っていくと、木を傷めないし、効率的なんですね。

 おかげさまで、タラノメの初物も、結構いただくことができました。

       山菜のお洗濯(これは山に、分け入る前)

 「どうする?次の場所行く?」

「いや、いいわあ。これだけ採ったら。」

「昔は、次の川、次の山って渡り歩いたっけけどなあ。」

「うん。充分!」

「次回、どうする?」

「T川の様子、見てみっだいやあ。」

「じゃあ、また連絡すっから。んだらまた。」

       月山道 ブナの芽吹き(例年より早いかも)

 たっぷりと楽しませてもらいました。遅れ気味だった春も、ここにきて一気に進み始めた感じ。

 前回の海遊びは空振りだったけど、山は待っていてくれたようです。

 ありがとうございました、山の神様。また、楽しませて下さい。