山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

ことりしょくどう(さんぽうた42)

2020年11月30日 | いきもの

  ことりしょくどう  かきのき ちよ

はなも はっぱも
おちてしまったね

でも

わたしんとこの みは
そろそろ
たべごろだよ

しぶもぬけて
あまい あまい
みが そだったよ

おなかがすいただろう?
たべておいきなさい

あまくて あまくて
げんきがでるよ

おや? 
ひよちゃん
あわてなくても だいじょうぶだよ
なかよく おあがり

つぐみちゃん
ながたびのつかれを
いやしておいきなさい

さあ みんな 
どうぞめしあがれ

おなかをいっぱいにして
はるまで
げんきにすごしましょうね




 当地では、柿の実が青空に映える季節がやって来ました。



 手を伸ばして、かじりつきたくなります。でも、渋みが怖くて手を出せません。ところが、先日、ヒヨドリが柿の実に取り付いて、夢中になってついばんでいる姿を見つけました。
 「食べ頃を迎えたんだなあ。」
そう思えてしまうのは、ヒヨドリの嗅覚というか味覚に一目置いているから。このお方、実でも花でも、食べ頃を見分ける才能はピカイチであります(詳しくは後日)。
 ま、とにもかくにも、柿が食べ頃を迎えたってわけだ。言い換えると、冬が迫ってきてるってことです。
 辺りが色を失い、寂しくなっていくこの時期に、灯りをともしてくれるような「チヨばあちゃん」の柿の実。
 みんなのお腹と、心を温めてくれそうです。



キノコ採りの『読み』

2020年11月29日 | キノコ採り
 本日は、午前中を自由に使える。気象情報を集めてみると、まだ山で遊べそうな感じ。自然の神様達、ご機嫌が良かったみたいです。
 これだけ遅い時期まで山遊び(収穫)をしたのは、無鉄砲に雪山を歩き回って、遭難寸前になり命からがら帰還した二十代の頃まで。何十年ぶりということになる。
 で、このところ、頻繁にキノコ採りに行けてしまっているから、我がテリトリーは一休みすべきだろう。歩いてみたい場所は一通り歩き尽くしたうえに、前回から3日しか経っていないから、新たな発生があったとしても採取には不向きなはずだ。この際、全く行ったことのない採り場を開拓してみることにしましょう。

 ポクポクポクポク チ~ン
  ≪ナメコ採り場の新規開拓≫

 もちろん、レシピではありません。代わりに、マタギ流のキノコ採り場開拓のノウハウを少々。

 下ごしらえの部

 ここで8割方の勝負は決まってしまいます。

 ・準備物:行ってみたい山の全体像と道路事情が分かる地図、そして、国土地理院発行の2万5千分の1地形図
 ※5万分の1でも分からないことはないです。でも、詳しく分かるのはこっち。

 ・採りたいキノコが発生する標高を頭に入れて地図を眺める。(山形でナメコを狙う場合、500~1,000m)

 ・その地点の上部の植生を確認する
 ※広葉樹林であればOK
 ※ターゲットによって替わります(ハナイグチなら針葉樹、タケノコなら笹地)

 ・同じく、上部の森林の広がりも確認する
 ※広くて高いところまで続いている方が、森は豊かなはずです

 ・等高線の混み具合を調べる
 ※混んでいれば急斜面で、空いていればなだらかです

 ここまで読むと、その場所の風景が頭の中に浮かんできます。そして、狙うのは、急斜面と緩斜面の『際』です(詳しくは、そのうち)。
 ねらいが定まったので、お休みなさい。

 そして、翌朝。目的地に向かって一直線。夜明けとともに渓を遡り、目指す枝沢を発見。小滝状になって本流に合流している。


この小滝、イワナのポイントでもありますね

 多分この奥ですね。事前情報は、昨夜の地図以外皆無なのだが、この沢を遡っていくと、倒木のたまり場があるはず。


始めのうちは幹の細い林だが



いい木が姿を見せ始めました


 おや?ちょっとだけ、色が違うぞ。ここで、ターミネーター発動。


ターゲット ホソク。 セッキン カイシ



ナメコ カクニン。 サイシュ カイシ


 なかなかいいナメコです。やはり、渓が狭まってくる『際』でした。
 収穫物自体よりも、『読み』が当たったことが嬉しい。既に満足です。

 とにもかくにも、収穫をありがとう。  

 どこに居るのか分からないけど、とりあえず沢の源頭の方を向き、山の神様にお参りをして下山する。

 ついでと言っては失礼かもしれないけど、愛用する地図にも感謝です。

ナメコの瓶詰め保存

2020年11月28日 | キノコ料理
 本日は、山でたっぷり遊ばせてもらった。既に満足しきっているマタギなのだが、収穫物をまとめてみると、あれれれ??


本日収穫したナメコ

 思っていたよりも多いですね。
 とりあえず下ごしらえを済ませて、ナメタケ用とその他に分けてみる。


右がナメタケ用 左が椀物やおひたしに使うやつ


 ナメタケ用のナメコは、これで1週間分以上ある。前回のナメタケがまだたっぷりあるので、これは、より日持ちがする調理にしてみましょう。


いつもの味付け + 南蛮だれ


この料理だと、素材が老け気味でも、長く美味しく戴けるはず。
 これで一丁上がり。次なんだけど、困ったことに同じような状態のナメコが冷蔵庫にたっぷりある。

 ポクポクポクポク チ~ン
  ≪ナメタケの瓶詰め≫

 茹でて冷ました状態のナメコがいっぱい。冷凍ナメコもいっぱい。となれば、より日持ちのする保存法だ。
 冷凍以上に日持ちのするキノコと山菜の長期保存方法は、塩漬けか乾燥か瓶詰め。この内でナメコに向くのは、瓶詰め保存なのだ。うまくいくと何年でも食べ頃のまま保存できるというメリットがある(うまくいかなかったら作り直せる)。

 下ごしらえ・調理の部
 ・ナメコの下ごしらえは、これまで通り、虫出しとひと茹でと汚れ採りとを済ませる。
 ・保存用の瓶は熱湯で煮沸し、雑菌が入らないようにしておく。

 調理の部
 ・水分が多めのナメタケを作ります(使ったのは冷蔵庫に残っていた方)。
 ※ナメコ1.2㎏に対して、だし汁3カップと酒、醤油、みりん各50ml
 ・片脇で煮沸作業


こんな感じ

 ・ナメタケが煮えたら瓶の口ギリギリまで注いで鍋に戻します。
 ※ゆるく蓋をして、中の空気を追い出す態勢を作ります


 ・蓋をしている3つがナメタケ
 ※もう一つの瓶は、鍋の中を安定させる役割。そして、もう一つ。


瓶の中の水滴に注目

 ・水温が上がると、水蒸気の発生が多くなり、瓶の中の空気を追い出してくれます。その状態を確認するためのバロメーターになります。
 ・約30分茹で続けます。
 ※鍋の水が減っていくので、途中で熱湯を加えます。
 ・頃合いを見て、ぎゅっと蓋を閉めて火を止めます。
 ※火傷注意!


逆立ちさせて冷めるまで待つ

 ・冷めると瓶の中の水蒸気が水に戻り、真空が出来ます。


奥の3つが今回の作品

 ・蓋の中央部がへこんでます

 手前の2つは1年前のもの。蓋がへこんだままです。失敗すると、蓋が膨らんできます。その場合は、1から出直します。暫くは、目につく場所に置いて様子を見ます。
 ナメコとは縁遠い季節になったら開封して食べる予定です。美味しく戴けますように。

 なんだか、冬支度が着々と進んでいくという感じです。でも、もう一回ぐらい遊びに行けないかなあ。
 その辺は、自然の神様達のご機嫌次第です。

山を独り占め

2020年11月27日 | キノコ採り
 夜勤から帰宅して天気予報を見ると、明日は冷え込むけれど好天のようだ。その後、冬型が強まるみたいなことが書いてある。
 だとすると、明日出かけた方がいいみたいだね、キノコ採りに。
 とにかく、雪が積もったら終わりという綱渡り状態だから、行けるときに行かなければなるまい。サッサと床について翌朝に備えることにする。
 不思議なことに、目覚ましもかけていないのに予定していた時刻に眠りから覚めた。雨雲レーダーを点検すると、雨の心配は、なし。ついでに山岳部の気温を見ると、既に氷点下まで下がっている。これから夜明けまで、更に下がるでしょうね。装備を車に積み込んで出発。


遠くの山も


近くの山も

 モルゲンレーテって言うの?夜明けの山は、神々しい。
 この素晴らしい景色を本日も独占しているなんて、何という贅沢なんでしょう。今回も、人の気配は皆無。聞こえるのは、沢の音とヤマガラの地鳴きだけ。あっ、それと凍りついた落ち葉を踏みしめる音。

 今回のキノコ採りは、前回『見置き』してきたナメコの回収が主になります。一応解説すると、『見置き』って言うのは、見つけてきたけれども採らずに置いてきたってことです。収穫が多すぎた場合と、収穫には早すぎる場合とがあります。今回は、後者ね。
 うまく育っていると良いな。でも、もしかしたら、誰かに採られてしまっているかもしれない。そんなドキドキ感を持って、まずは、『健康優良児の子分』(木の名前)へ。
 斜面を登っていくと、何か出てます。近づいて見ると、

食べ頃かな

ナメコです。ちなみに、前回、見置きしたときの画像。

仲間内では『カニのメン玉』と呼ぶ

 かなり寒かったはずなのに、結構育っていました。この寒さの中で成長するのだから、ナメコの生命力は凄まじい。
 ただし、

冷凍ナメコです

カチンコチンの状態です。これが、かえって功を奏しました。
 普通だと、ナメコの茎にナイフの刃を入れて木から削ぎ落としていくのですが、今回は凍っているので、文字通り刃が立たない。逆に、固くなったナメコを少し揺するとパリッと剥がれ落ちてくるんです。つまり、細かい作業がいらない = 手袋をつけたままでも簡単に採れる = 指先が凍えない というありがたい構図が出来上がってくれたんですね。
 おかげさまで、全く寒い思いをせずにキノコ採りを楽しむことができました。
 次の木、その次の木と森の中を巡りながら収穫を増やしていきます。


まさに冷凍保存


この状態は「老けた」と言います。けど、ナメタケで戴けば大丈夫

 足元まで日が差してきました。間もなく、霜が溶けて朝露に変わるでしょう。

 ああ~、気持ちよかった!今日も、楽しい一時を過ごさせていただきました。しかも、本当に山を独り占めです。

 こんなに贅沢な時間と空間を与えて下さった山の神様、本日もありがとうございました。
 次回は、もしかしたら来年になるかもしれないけれど、また、よろしくお願いしますね。 

おれさまがてっぺん(さんぽうた41)

2020年11月26日 | いきもの

  おれさまがてっぺん  もず たいしょう

いいねえ
たかいところ

なんてったって
ながめがいい

おれさまのなわばりが
よくみえるぜ

えものみつけるにも
ここはさいこうだぜ

おっ かまきり
いただきだぜ

はらいっぱいになったところで

そろそろ
みせてやろうか

おれさまの
しょう・たいむ

おれさまのだんすは
しっぽにちゅうもくさ

おれさまのうたごえは
どこまでもひびくぜ

どうだい
もんくないだろ

てっぺんは おれさまのもの

おれさまが てっぺんだぜ



 散歩していると、「キチ、キチ、キチ・・・」という、かん高い声が頭上から降ってきました。見上げると、

モズですね


スズメよりも少し大きくて、長いシッポです。

周囲を点検中


場所を変えることなく、辺りを見回しています。やっぱり、縄張りの点検でしょうか。
 次の散歩の時、同じ場所では会えなかったんですけど、別の場所で見つけました。電柱の上です。やっぱり、高いところが好きみたいですね。


違い、分かるかな?


シッポを回してました。これ、モズの独特な行動の一つだし、この様子を確認できたら、多分モズだと思います。
 調べてみると、モズってこの「独特」を沢山持ってる器用な鳥で、観察者にとっては、たまらなく面白い鳥みたいです。
 例えば、マタギは実際に見たことないんですけど、『百舌』と言うだけあって、いろんな鳥の鳴き真似が出来るとか。それを、求愛の時期に披露してメスの関心を引くんだって。ウグイスのさえずりも真似できるって読んだことがあります。
 で、この時期は、なぜか寒冷地にオスだけが残って、高い場所に陣取り、縄張り宣言してるらしいです。
 そんな知識を得るにつけて、「モズの高鳴き」にも、男の空威張りと言うか、悲哀を感じさせられ、共感してしまうのであります。

 それでも頑張ってる、あんたは大将!
 「無駄」でも「空(から)」でもいいから、威勢良く冬を乗り越えておくれよ!

 同じ男として、応援してるぜ!!