山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

今度こそ最後かな?キノコ採り

2023年11月25日 | キノコ採り

 年貢の納め時って奴が、いよいよ迫ってきた感じ。

 週間天気予報にも雪だるまさんが並んでしまった。

 降雪期はそんなに長く続かないようだけど、その後もぐずついた天気が続いて師走に突入する気配。

 降雪前の晴れ間に山遊びに行きたい!

 キノコ仲間のA氏とM氏に声を掛けると、同じ心境のようで同行が即決した。

 日の出時刻がいよいよ遅くなってきたので、集合出発は5時15分に設定。

 ただ、この時期の5時台は、真っ暗闇なのだが、さすがに朝の活動時間帯に入っているようで、交通量が多い。

 そしてもう一つ、この時期の山形盆地は、放射冷却による低温と川から立ち上る水蒸気で濃霧に包まれる。

 運転する自分自身もそうなのだが、周りの車も、おっかなびっくりなのが分かる。

 何と言っても、直前まで信号機が見えないんだから、スピードを出すわけにはいかない。たまに後ろから猛スピードで追い越しをかけてくる車もいるけど、どうか無事に目的地に着きますように。間違っても地獄には着かないでね。

 さて、こちらは、予定通り日の出時刻前に目的地に到着。森に分け入ると、

       食べ頃のナメコですね

 我々の目は暗さに順応するから分からないが、カメラは正直にストロボを発光させる。森の中は、まだ暗いってことだ。

 ちなみに、ストロボの発光を止めると、

       こんな感じで

       ブレブレになってしまうか

       何を写したんですか?

 こんな感じになってしまいます。

 一番の原因は、暗さなんですけど、キノコの色が変わってくるということも一因だと思います。

 同じムキタケでも、

       こういう色から

       黒ずんできます

       ナメコも同様です(これが魅力的なんだわ)

 さて、『見置き』のナメコその1は目論見通り。次はどうでしょう。

       こちらの木も凄かった

 夢中になってしまい、写真忘れました。

 みんな熊鈴を身に付けているんだけど、この時ばかりは静かになります。仕方ないと言わずに、こういう場面用のクマ対策をとったほうがいいですね(携帯ラジオかな?)。

 森にも日が射してきました。

       キノコにも日が当たる

       黄葉を楽しむのも最後かもしれないなあ

 森の外に出ると、

       落ち葉が凍っています

 つまり、森の中では、木々が熱の放出を遮っていたってことでしょうね。

 夏場に森に入ると涼しいのも同じことで、外からの熱風を遮っているのではないでしょうか。

       ちょっと違うけど、これも大事な木の黄葉です

 こうやって森に守られた生き物たちが、豊かな生物環を形成しているんですね。

 マタギたちは、そのおこぼれを戴いています。

 ああ、山の神様、今年もありがとうございました。

 末永く、この豊かな恵みの世界の一員として暮らせることを切に願います。

 どうか、よろしくお願いいたします。


さもしい、やめられない、欲タガリのキノコ採り

2023年11月20日 | キノコ採り

 もしかしたら、今シーズン最後になるかもしれないキノコ採り。

 例によって朝の5時に待ち合わせて出発。

 しかし、キノコ採り場は真っ暗闇。

 調べてみたら、日の出の時刻が毎日1分ずつ遅くなっている。

 まあ、仕方あるまい。ちょっと、峠まで行って景色を眺めてみた。

       トワイライトの奥羽山脈

 ああ、凛として引き締まる空気。今年も色々なドラマがあったけれど、無事にここまでこれたことに感謝あるのみですな。

 さて、そろそろ森の中のキノコたちも見えるぐらいに明るくなる頃。行ってみますか。

 向かうのは、前回ナメコを見置きしてきた立木と倒木だ。

 1本目。

       まだツブですね

 「意外と大きくなっていないね。マタギ、採っていったら?」

A氏からの誘いに乗って大きめのツブだけ戴くことにする。

 本来であれば、あと数日成長を待って、食べ頃になったものを採るのだが、最初の1本目には、どうしても手が出てしまうのだ。

 そうして、次の木に向かう。

 この木は、去年はナメコタワー状態で、

       こんな感じだったのだが

 今年は、倒れてしまっていたものだ。

 でも、覗き込んでみると、

       凄いっス

       下の方までびっしり

「俺は下の方から採るから、マタギは上から採って。」

「OK!」

       この木だけで満足です

 たっぷり採らせていただきました。

 不思議なもので、前回見た時から5日目なんですが、最初の木は、殆ど成長しておらず、この木はいい塩梅に成長しています。

「風かなあ。日当たりかなあ。」

なぜこのような違いが出るのかは分からないのですが、この意外性が山遊びを、より楽しくしてくれる要素だと思います。

 それにしても、今日は空気が冴えています。多分、氷点下2~3度。ナメコを手に取っていくうちに指先が凍え、震えてきたので分かります。

       東斜面に日が当たり始めました

       美しい

       どうも、モミジは枯れないみたい

       枯らされるのはナラの木なのですが、ここの林は、まだ元気

 自然観察をしながら歩いていくと、

       ツブナメコですね

 でも、もう採りません。

 だって、既に十分いただいてるんだから。

 じゃあ、最初に採ったナメコは何だったんだってことになります。明らかに最初のやつの方が小さいのに。

 これが、山菜キノコ採り人のさもしい性というやつです。

 今回みたいに、途中で大量の収穫があればいいんですけど、先行者がいて全くダメなんてこともざらにあるんだよね。

 だから、最初の獲物は小さくても手を出してしまうんですな。

 ゴメンね。でも、丁寧に調理して、美味しく戴くから、許しておくれ。

 そんな気持ちで山を後にするマタギなのでした。

       今回も、超高品質。美味しく料理させていただきます

 山の神様、あと何回来れるか分からないけれど、ありがとうございました。また、次の機会があったら、よろしくお願いいたします。


キノコ追いし彼の山

2023年11月15日 | キノコ採り

 『遭難未遂事件』から3日後、再び彼の地を訪れた。

 今回のキノコ採りは、A氏、M氏との3人組。

 当初は、M氏と『キノコ山』に出かけるつもりでいたのだが、諸般の事情により、このような変更になった。

 本日は、夜明け直前まで雨が降る予報なので、安全という観点からも、こちらの方が良かろう。

 車を駐めて身支度を整えると、森に潜入する。

「ここは、足元でなくて、頭の上を見てけろ。」

「はああ???」

この山に初めて入るM氏は、何を言われているのか分からない様子。

「んだがら、ここのキノコは、殆ど頭の上さ生えるんだズ。」

論より証拠、

       立木のムキタケ

実物を見ると、

「ああ~、この前見っけだ木とおんなじな。」

と言って探し始めた。前々回の立木ナメコを思い出してくれたようだ。

       「お見事!」としか言いようのないキノコの群生

 M氏は、夢中になってムキタケ採りをしている。

 マタギは、この地のムキタケが無尽蔵に採れることを知っているから、そんなに頑張らない。

 A氏に至っては、本日は、ムキタケを採る気がないみたい。

 とにかく、車から降りて間もなくの場所だから、歩く苦労は殆どない。もちろん、川を渡るなんてこともない。

 そうして間もなくすると、

       今年も健在な『ラスボス』

 なんとも見事なナメコの木です。ナメコの数もさることながら、超肉厚の極上ナメコであることが分かります。

 しかし、悲しいかな、この木は、断崖の上にせり出している上に、ナメコの生えている場所がかなり高いんですよ。

 去年は、

「このナメコは酸っぱい。」

と言って、採ることを止めたマタギたちでしたが、ここに来て、やおらA氏が動き出しました。

       ナメコを採り始めたA氏

 古い渓流竿に、川虫捕り用のタモを括り付けてナメコを落とす作戦のようです。

 さては、去年から考えて、この作戦を立てたのだな。

 マタギも作戦は準備していたんです。

        ナメコ採りの飛び道具です

 マタギの作戦は、カマで切り落として、落ちるナメコを下でキャッチする方法。残念ながら、この木では、『キャッチ』の方が無理です。これは、主にムキタケ採りで使うことになりました。

「養生テープでつないだんだけど、これは、濡れるとだめだね。」

なるほど。A氏は、次の作戦を考え始めているようです。

 こちらも、次の作戦を考えておいた方が良さそうですね。

 ・・・この辺が、この採り場での楽しみなんですよ。手の届かないキノコをどうやって手に入れるか、知恵を巡らせながら試行錯誤する楽しみ。年寄りでも、童心に返ることができます。

 

 さて、高い場所に手が届かなくても、

       こんなのや

       こんなのが生えています(これは来週用)

 今回も、十分な収穫を戴くことができました。

「なんだズ。今までの苦労は何だったのかと考えてしまうぞ。」

「これは、『ナラ枯れ』のせいな。この状態が何年続くかは、分からない。だけど、せっかくの自然の恵みだから、楽しませてもらいましょう。」

「うん。それはいい。ただ、ここには、苦労して見つける喜びがないズね。」

それも、その通り。

       アカゲラやアオゲラたちの開けた穴

 この現象は、多分、一部の鳥たちにとっても、思いがけないプレゼントなんだと思う。

 このプレゼントが、いつまでも続くとは思えないんだけど、そうなったとしても、その時には、別の形で、人間を含めた生き物たちに幸せをもたらしてくれるといいなあ。

       紅葉とキノコの世界(見える?)

 それから、M氏が言うように、自分の全身・全力を使って自然と対決するキノコ採りもずっと楽しみたいなあ。

 ちょっと贅沢な望みかもしれません。でも心からの願いです。『キノコ追いし彼の山』が末永く保たれていきますように。

 山の神様、天気の神様、これからも、どうかよろしくおねがいいたします。


やっぱり大事なタイヤ交換

2023年11月12日 | キノコ採り

 県内各地の峠道が冬季閉鎖になり始めている。

 マタギのキノコ採り場に続く道も何か所か閉ざされてしまった。

 当地も、いよいよ冬支度が本格化してきた感じ。

 マタギの愛車も、本日、冬用タイヤに交換することにしている。

 以前、書いたような気がするが、最近はタイヤ交換は、予約を取ってディーラーにやってもらうようにしている。

 自分でもできるのだが、ディーラーにやってもらった方が明らかに燃費がよくなる。つまり、空気圧とかバランス調整みたいな細やかなところまで診て、調整してくれているということだ。

 少々お金が掛かったり、時間の制約が生じても、こちらの方がいいと考えるようになった。

 変な話だけど、『タイヤ交換と包丁の手入れは男の甲斐性』みたいな考え方が、当地には根深くある(よそはどうなのかなあ?)。この呪縛からのがれるのは、容易なことではなかったが、一度解き放たれてしまうと心が軽いってもんだ(刃物の手入れは、マタギの趣味というか必要感から継続して鍛錬中ですけど)。

 前置きが長くなってしまったけれど、無事にタイヤ交換が済んだのが午前10時過ぎ。まだまだ日が高いので、ちょっと山の様子見に出かけてみることにした。

 行き先は、キノコ採り場としては最も近場の『O』。片道1時間もかからないだろう。気になるのは、最近のクマ騒動。今シーズン初めて入山する山域なので、熊鈴や鉈はしっかり身に付けて行動することにしましょう。気温も上がってくるだろうから、スズメバチ対策もしっかり準備してから出発する。

 よし、準備万端!

 近場なのに用心を怠らなくて、なかなかいいぞと思ったんだけど、目的地で冷や汗をかくことになってしまった。

 去年まで車を止めていたポイントに着いたまでは良かったんだけど、車を頭から入れようとしたら、泥沼みたいなところに落ちてしまい、スタックして動かなくなってしまったのだ。

 アクセルを踏んでもタイヤは空回りするばかり。前にも後ろにも動かない。

 車から出てみると、やっぱり深い泥沼状態だ。車体のうちでも重たい方の駆動輪側を落としてしまったのが致命傷になっている。

 普通ならバックで止めるのに、心のどこかに焦りがあったのかもしれない。

 最悪の場合、ロードサービスに助けを求めることになるだろうが、そうなると何時間かかるか分からない。

 いろいろ考えたんだけど、やっぱり雪道脱出法でしょうか。つまり、雪(この場合は泥)に喧嘩を売らないこと。

 そうっとアクセルを踏むと、僅かにグリップが戻り、少しだけ車体が浮くことが分かった。ここでブレーキをかけてギアをバックに入れ直す。ブレーキを離して車体が戻る勢いに合わせて、また、そうっとアクセルを踏むと、さっきより高い場所まで戻った。これを何回も繰り返すうちに、徐々に動けるようになり泥沼からの脱出成功!

 はあああああ、よかった!  でも・・・、疲れた。

 これ、考えてみると、溝の深いスタッドレスタイヤだったからできた離れ業ですね。

 さっきタイヤ交換しておいて良かったと、心の底から思う。

 さて、思いがけないタイムロスがあったけど、気を取り直して森に入る。すると、

       おおっ、高品質のナメコ

 さらに、

       このムキタケは極上品ですね

       左半分が怪しい色なので手を出しませんでした

 そうして、

       ナメコタワーじゃないか

 今年のキノコは、発生が遅れていると思っていたんだけど、

       すごくいいタイミング

つまり、この地のキノコは遅れていない。

 思いがけない大収穫になってしまいました。

       見渡せば

       秋真っ盛り

       錦秋の世界

 すごくいい時に当たったんですね。ラッキーでした。

 そして何より、

       交換したばかりなのに泥だらけ

 タイヤ君、よく頑張ってくれたね。おかげで命拾いしたよ。

 秋の恵みと、冬タイヤ君にひたすら感謝の昼下がりになりました。


異世界散策

2023年11月06日 | キノコ採り

 夢のようだったキノコ山探訪から2日後、もう一度キノコ山に出かけることにした。

 前回、キノコ尽くしのため道半ばで飽和状態になってしまい、訪ねることができなかった領域の様子を確かめたいからだ。

 ちょっとインターバルが短すぎるんだけど、夜勤、日勤と続いた後の本日は自由に使える日なので、出かけることにした。ただ、今回は、A氏ともM氏とも日程が合わず、単独行となる。

 例によって、日の出の時刻に行動開始できるように出発。

 出発前の習慣で天気の概況を確認したが、雨雲は一切なし。しばらくは降り出すこともなさそうだ。気温も、極端に下がっているわけではないので、路面凍結みたいなこともなさそう。ただ、気になるのが『濃霧注意報』。当地では、午前中いっぱい霧に覆われるらしい。

 100m先の信号機さえも見えないような状況なので、慎重に運転を続けていったが、ほぼ日の出時刻頃に目的地に到着した。

 身支度を整えて森に分け入る。

       もうすぐ霧も晴れる

 藪でずぶ濡れになりながら、目的の『王様』と『王子様』(木の名前)を目指す。

 残念ながら、どちらの木からもナメコの発生はなさそうだった。かろうじて、

       老け気味のサワモダシ

サワモダシが生えているぐらいだ。

 印象としては、『王様』は、老いすぎてしまい、『王子様』は若すぎるという感じ。これは、仕方がないですね。

 周辺の倒木群を見ると、

       ナメコは出始め

       これは、老けたエノキダケかな

 これはダメかもしれないな。そう思いつつも、捜索範囲を広げていくと、

       色白ですがナメコです

       同じ木の裏側のものは普通の色

       おお、ムキタケも出てますね

       これは、すぐ下に出てました

 なかなかいいじゃない。

 この木は、『王様』と『王子様』を守るように位置しているから、『ナイト』と名付けましょう。今後の活躍が楽しみです。

 ついでに、

       美白のブナシメジも少々

 狭い範囲なので、そんなに採れるとは思っていなかったんだけど、新しい木の発見もあったし、それなりに採れて満足することができました。

 時間には、まだまだ余裕があります。黄葉・紅葉を楽しみながら山を下ることにしましょう。

       「今年の紅葉は・・・」と言われてるけど

       なかなかどうして、素晴らしい!

       里に近づいてくると

       霧が残っていて幻想的

 山の神様、本日もありがとうございました。おかげで、秋の山を満喫することができました。

 

 平地まで戻ると、盆地一帯は、まだ霧に包まれていました。 街は目覚めていない感じ。

 さっきまで遊んでいた鮮やかな色彩と爽やかな空気の世界は、なんだったんだ。

 未だに、異世界に入り込み、彷徨い歩いた末に帰還したみたいな、不思議な感覚に囚われています。