山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

ずっとまってた(さんぽうた181)

2023年03月31日 | いきもの

   ずっと まってた   ふきのとう しゅん

 

ずっとまってたんだよ

きょうがくるのを

 

もう

こうとをぬいでも

へいきだね

 

さあ

ひろがれ はるのいろ

ひろがれ はるのかおり

 

もう

かくれていなくても

へいきだね

 

さあ

あつまれ はるのひかり

あつまれ はるのなかまたち

 

ずっとまってたんだよ

きょうがくるのを

 

       雪の解けた地面から顔を出し始めました

       日差しを受けるほどに、黄色から黄緑色に変わっていきます

       仲間たちもどんどん顔を出し始めます

 いったい、どこに隠れていたんだ?と、不思議に思っていたのですが、よく観察すると、

       あちこちで地面の色と同化して待っているんですね

それが、暖かさを感じると、

       コートを脱いで顔を出し始めるんです

そして、しばらくすると、

       すくすくと背を伸ばし始めます

 おもしろい咲き方をする花ですね。聞いてみると、

「だってさ、今まで、ずっと縮こまっていたけど、この暖かさだよ。嬉しくて背伸びしたくなるよ。」

だそうです。

「分かる気がするね。」

「そうでしょ。」

とのこと。

フキノトウは、秋のうちにつぼみをつけて、ずっと春を待っていたんです。サクラなんかと同じです。それは嬉しいよね。

 だから、その姿は、春の喜びにあふれているんですね。

 

 それを摘んで食べるマタギは、フキノトウの天敵みたいだけど、最後まで美味しく食べるから、許しておくれ。


春香る、あさつきの食卓(伊)

2023年03月30日 | 山菜料理

 山菜の季節が始まると、台所が忙しくなる。

 山の神様からいただいてきた『恵み』を、美味しく調理してご馳走になってこそ、狩猟民族の収穫は完結するのだから。

 さて、今回いただいてきた3種のうち、フキノトウは調理完了。ワサビは、花芽と葉茎をフスベ漬けにして待機中。根の方も下ごしらえを済ませて冷蔵庫で待機。いずれも、長期間保存可能だ。

 これに対して、日持ちしないのがアサツキ。朝仕事で酢味噌和えにしたんだけど、まだ結構残っている。これは、お昼ご飯にも使ってしまいましょう。どう調理すれば美味しく戴けるか考えてみた。

   ポクポクポクポク チ~ン

    ≪パスタ・チポリーナ・オーリオ≫

 カッコつけた命名みたいだけど、一応、この冬から続いてきたパスタ料理の流れで行くと、こういう名前になるのではないでしょうか。『あさつき風味のオリーブパスタ』ぐらいの意味になると思うんだけど、多分、美味しくなるんじゃないかな。ということで、やってみることにしました。

 下ごしらえ・調理の部(3人分です)

 ・よく洗ったあさつき(25g)を寸切りの半分ぐらいに切り分けてみました

       いい香り!これが生かされるといいなあ

 ・薄切りベーコン(80g)は、短冊に

 ・オリーブオイル50mlを加熱した中華鍋で軽く炒めます

 ・一通り火が通ったら、一時待機

 ※あさつきの香りを残すのに、どのくらい加熱すればよいかは、まだ、よく分かりません。だけど、長すぎてはよくないということは、確実だと思う。

 ・3リットル程のお湯に塩大さじ1、パスタを表示時間より1分短く茹でます

 ・茹でたパスタは、ざるに取って、ゆで汁1カップを中華鍋に投入

 ・水分を飛ばすように熱していくと

       少しトロっとしてきました

 ・水位が下がってくるまで加熱し続けたら

 ・パスタを加えて、再加熱しながらよく混ぜます

       出来たぜ!

 少々心配したんだけど、春の香りに包まれたパスタになりました。

 このままで、十分に美味しかったです。タバスコをかけるのもありだと思います。パセリは、う~ん。娘は粉チーズをかけていたけど、マタギとしては、あさつきの風味を楽しみたいから不要かな。

 いずれにしても、美味しく仕上がったのでよかったです。多分、年に1度か2度のチャレンジになるので、それが成功すると、すごくホッとします。

 山の幸の創作料理、美味しく仕上がってよかったです。

 山の神様たち、ありがとうございました。また、楽しませて下さい。


春香る、あさつきの食卓(和)

2023年03月29日 | 山菜料理

 今回、山の神様からいただいてきた山菜は、どれも春の香りに溢れたものばかり。

 ワサビの強烈な辛味と香りは、寝ぼけていた心と身体に喝を入れ、否応なく春の訪れを実感させてくれた。

 フキノトウは、全く違ったほろ苦さと香りとで春の喜びを実感させてくれた。

 そうして、もう一つ。

 もしかしたら、最も万人うけのする春の爽やかな香りを運んでくれるのが、これかもしれない。

       あさつきです

 天然の小ネギと言ったらよいのかなあ。収穫して、車に積み込むと、間もなく、車内がその香りに満たされてしまうほど鮮烈な香りの持ち主だ。

 それが、すごく心地よいのですよ。しかも、

  この白根の長さが美人の証し(ワサビで力尽きたマタギに代わって、妻がここまでやってくれた)

 どうやっていただくかっていったら、まずは、あれでしょう。

   ≪あさつきの酢味噌あえ≫

 毎年、1回は作っているんだけど、飽きるなんてことはあり得ません。何回食べても、春の香りが口の中どころか、家中に広がる料理です。

 ただ、今回は、ちょっと変化をつけてみようかな。少々目論んでいることがあります。その辺も含めて、記録を残しておきましょう。

 下ごしらえ・調理の部

 ・山で収穫したら、先ずは現地で、可能な限り洗って汚れを落として持ち帰ります

 ※これをやっておくかどうかで、帰宅後の手間とモチベーションに大差が出ます

 ・ひげ根が絡まっているので、切り落として、株をばらし、再度よく洗います

 ・茎の外側の薄皮を1枚だけ剥きとります

 酢味噌もつくっておきましょう。

 ・味噌60gに、砂糖30gと酢を50g混ぜて出来上がり

       美しい!

 ・沸騰したお湯に入れて、30秒湯がきました

 ※その気になれば、生で食べられる山菜ですから、時間はかけません

 ・冷水にさらして絞ったら、食べやすい長さに切って出来上がりです

 今回は、おまけをつけることにしました。一つ目は、

       ワカメです

 あさつきは、言わば天然の香味野菜ですから、麺類や椀物に散らすだけでも楽しむことができます。で、酢味噌和えにすると、海鮮料理との相性が格段にアップするんですね。イメージ的には、ホタルイカなんかが、すごく合いそうな気がするんですけど、台所にあったのは海藻類だったので、これを組み合わせてみることにしました。

 もう一つは、辛子。これは、言わずと知れた、酢味噌との相性抜群の調味料です。

       あさつきに、3つの食材を組み合わせます

 

 それでは、本日の朝食、いってみましょうか。

       まずは、オーソドックスに酢味噌和え

       『ぬた』と呼ぶ地域もあるようです

 う~ん、旨い!

 まさしく、春の味と香り。

 ここに、ワカメを加えると、

       やっぱりというか、どういうわけか、海鮮の風味が、よく合うんですよ

 今回は、途中から練り辛子も加えて楽しませてもらいました。

 いやあ~、満足!

 ワサビ、旨かった。  フキノトウ、旨かった。 でも、あさつきも、一歩もひけをとりません。

 令和5年、聖地巡礼の一回目、素晴らしい旅が始まったことを実感できる料理になりました。

 いただいてきた山菜は、まだまだあるから、料理は続くんですけど、ひとまずは感謝。

 神様たち、ありがとうございます。

 本当に山の恵み、季節の恵みはありがたいものです。工夫を加えながら、美味しく戴きたいと思います。


切らしちゃいけないフキノトウ味噌

2023年03月28日 | 山菜料理

 今回の山行では、春の訪れが実感できればいい。だから、そんなにたくさんの山菜を持ち帰ることもない。そう思っていたんだけど、こちら様だけは、ちょっと特別。

       フキノトウです

 フキノトウに関しては、マタギ家の食卓にとって、大事な役割が2つある。

 一つ目が、他のどの山菜よりも先に春の訪れを楽しむこと。

 淡い黄緑色の色彩とともに、独特の香りとほろ苦さを味わうことで、春の喜びに満たされる。他の山菜とは、一線を画す、フキノトウならではの喜びだ。

 この時必要なフキノトウは、ほんのわずかで構わない。刻んで椀に散らしたり、数個を天ぷらにできればよいのだから。

 二つ目が、常備菜としてのフキノトウ。

 フキノトウ味にしてしまえば、1年中フキノトウの味を楽しむことができる。採れたてのフキノトウと比べれば、香りも味もかなわないけれど、加工することによって独自の魅力も生まれる。いつでも味わえるというのも大きな魅力だ。

 これには、結構まとまった量のフキノトウが必要になる。去年は、冬場頃に切らしてしまったため寂しい思いをした。

 だから、今シーズンは、少し多めにフキノトウを収穫して、1年間楽しめるようにしておこうと考えております。そんなわけで、本日は、

       いつもより多めに連れ帰りました

 それでは、調理を始めましょう。

 下ごしらえ・調理の部

 ・フキノトウについてきたゴミや汚れを丁寧に取ったり洗ったりします

       準備OK

 ・沸騰したお湯に入れて再沸騰するまで湯がきます

 ※これで、色止めになるんだけど、人によってはやってないみたい

 

 ・ざるに移して冷水にさらし

 ・ギュッとしぼります

 ※今回、重さを量ったら、採ってきた時が350gで、湯がいてしぼったら450gになっていました

 ・味噌は、あらかじめ解きほぐしておきます

 ※フキノトウ240gに対して、味噌240、みりん150,酒砂糖各90g(2回に分けた)

 ・フードプロセッサーに数秒かけると、みじん切りの出来上がり

 ※今回は、3回に分けて刻みました(画像は前半の2回分240g)

 ・鍋にごま油を敷いて熱したらフキノトウを軽く炒めます

 ・用意しておいた味噌ダレと顆粒出汁少々を加えて煮詰めていきます

       もう少しですね

 ※焦げ付かないように、途中から火を弱めます

 ・出来上がりました。左が1回目。右はぎりぎりまで煮詰めた2回目(それぞれ旨い)

 ※冷めたら出来上がりです

       小分けにして使います(殆どは冷凍保存)

 妻が、自主的にラップ詰め作業をしてくれていました。聞けば、

「これ、喜ばれるのよねえ。」

どうも、親戚縁者に配る計画のようだ。この料理を喜んでくれる人がたくさんいるというのは、嬉しいことではないか。・・・ということは、つまり、

「じゃあ、来年までは保たないね。」

「そうね。」

「ということは、もう一回ぐらい作るといいかな。」

「それだといいかも。」

 はい、決定。フキノトウの名産地は、まだまだたくさんある。しかも、時差付きで成長を始めるものだから、なんとでもできますよ。

 これから訪れる山菜の聖地では、それぞれに魅力的な山菜を収穫することができる。そのうちの一か所で、芽吹きのフキノトウをターゲットに加えることで、これから1年間、春の味と香りを楽しむことができる。ありがたいことではないか。

 ちなみに、本日のお弁当には、早速、フキノトウ味噌を使ってもらいました。美味しかった!

 やっぱり、この常備菜は切らすべきではありませんね。また採ってきて作りますよ。

 何処の山になるか分からないけど、山の神様、今から予約しておきますね。どうかよろしくお願いいたします。


今宵はワサビのために

2023年03月27日 | 山菜料理

 まずは、マダイから始めましょう。

       この角度から包丁を入れて(左利きです)

       一応、薄造りです

 でも、あなたは、今夜の主役ではありません。 

 続いては、アボカド行ってみましょう。

       割ってみるまでドキドキのアボカドです

 今回は、丁度いい頃合いだったみたいです。

 アボカドの食べ頃って、おへそのところを押した感触で判断するんです。そのため、1個1個触ってみて、一番良いと思ったものを選ぶんですけど、ここ数年のコロナ禍で、あんまり気軽に触っちゃいけないこととか、せめて手指の消毒をすることとかとともに、『色の濃さ』で判断することも学んだ気がします。基本的には、黒ずみ始めたものかな。まず、それを見極めてから触ってみると、ほぼ間違いありません。って、主役は君でもないよ。

       ホタテとともに並べました(センスないけど許して)

 これで、脇役の準備ができました。いよいよ、主役の登場です。

 本日の主役は、

       このお方です

 この方のうちでも、根っこです。つまり、根ワサビね。

       ああ、素敵な緑色!

 あまり大きくはないけど、これだけあれば十分です。そして、この色。喜びを予感させてくれる春の色です。

 それでは、いってみましょう!とか言いながら、ここまで来たら、やることは摺り下ろすだけ。ここまでに、多少の手間がかかっています。

       連れ帰った山葵根はこんな感じ

 ひげ根を外して、たわしをかけると、

       こうなります

 包丁の刃で汚れを削り落とすと、下ごしらえ完了です。

 これを鮫皮のおろし器で丁寧に擦っていくと、

       はい、出来上がり

 既に、爽やかな香りとともに辛味が広がり、涙が止まりません。空気に触れないように、ラップで密封して冷蔵庫で待機。

       今宵の食卓

 結構豪華になりました。でも、主役は、

       あなたです!

 まずは、恒例の、

       ご飯に乗せて

       醤油をちょっとかけて

 口に運ぶと、

 くわぁあああああ、堪らん!

 家族で、涙を流しながら春の喜びをかみしめるひと時となりました。

 いよいよやってきたのね、この季節が。

 『聖地巡礼』、そして、山菜料理に浸る生活が始まりましたよ。

 山の神様、ありがとうございました。今年もよろしくお願いいたします。