本日は、今シーズン2度目のN沢タケノコ採り。前回、感動的な収穫を味わってから1週間目だ。この7日間の天候は、梅雨時にしては珍しく降雨が少なかった。その代わりに、山形市で真夏日を記録する日が何日かあった。間違いなく予想出来る変化は、雪解けが進んだこと。しかし、タケノコが成長しているかと問われると、自信を持って頷けないというのが、正直なところ。その辺の解説を少々まじえながら(これは梅雨明け前の日記です。悪しからず)。
タケノコ採りには、幾つかの『型(踏まえるべき条件)』がある
良いタケノコが採れるための絶対条件は、親竹が太いこと。何はさておき、これが第一条件だ(これが『一の型』でしょうな。以下、それなりにお読み下さい)。だから、月山筍をめざす欲タガリ達は、あえて進入困難な竹林に潜り込む。ただ、同じ月山でも、竹が太い場所と細い場所とがある。この場所による違いは、場数を踏んで覚えていく。これは、自分で見つけるのが基本。数多くの成功や失敗を重ねた上で、マタギ達は、自分たちの陣地を見つけ、そのポイントを目指して山や渓を上る。前回は、それに加えて季節の進み具合が丁度よかったのでうまく当たったのだ。
で、1週間が経過した今回、どのポイントに陣地を張るかという話なんだけど、2つ考えた。
1つ目は、前回苦労して採った斜面の下の方。何回も書いているから詳しくは書かないけど、下の方が遅くに発生するからだ。
2つ目は、前回のポイントの対岸で同じ海抜高度の場所。こっちの方が、どういう訳か遅れて発生する。斜面の向きは大きな条件なんだけど、南向きで日当たりがよいはずなのに遅く出るのだ。
この辺がミステリーだったのだが、今回歩いてみて、なんとなく分かってきた。
月夜でした
午前3時前、管理棟に着く。ここで入山料を払うのだ。
「おはようございます。今日は、どうですか?」
「少ねえのう。雨降らねえがらのう。」
少ないのは、入山したタケノコマンの数。降雨は重要な条件なのだが、まだ十分でないらしい。
歩き始めてから40分強。N沢の渡渉点に着いた。前回、沢を覆っていたスノーブリッジは崩れかかっており、渋滞が発生していた。
取り付く島のなさそうなデブリ。でも、
ここを渡らなければパラダイスには着けない
更に、急坂を上り、
『小屋跡』でみんな休憩
もう、ヘッドランプはいりません。
ここから、上の平らを目指すグループと、沢を登り詰めるグループに分かれます。われわれは、沢。『陣地』を決めていたというのも理由の一つだけれど、もう一つ理由があります。マタギがS川とかH沢とかを彷徨っている間、A氏はこっちに来ていたそうです。で、最新情報として、
「上の平らはまだ早いようだ。」
ということだったんです。それで、迷いなく沢に入りました。
サンカヨウが咲いている
さすがに海抜が高い。春も遅いようだ。
徐々に雪渓が増えてきます
崩れ始めたスノーブリッジ
早朝は、普通に歩いていれば問題ありません。でも、お昼あたりからは要注意です。崩れるときは一気です。
そして、目的の『陣地』へ。ここは、最初は急斜面だけど、ある程度登るとなだらかになる採り場です。
この採り場で、開眼したんです。
急斜面のタケノコは、殆どが伸びすぎていてウラ折り状態でした。でも、傾斜が緩くなると、
おおっ、やっと逢えましたね
採り頃じゃないの!
これは、五百円玉クラスか?
このあたりで気付く、同じ海抜で日当たりがよくても遅く発芽するのは、平坦だからだ。平坦ならば雪が残り、斜面よりも遅く発芽する。そう言えば、今までにも似たような経験をしたことが沢山あるじゃないか。A氏が、「上の平らの出が遅い。」と言っていたのも、このせいに違いない。
なんだか、急に視界が開けた感じで、元気が湧いてきた。
そして暫くすると、今シーズンでは最高の収穫量になったみたいです。(HIROさんの防虫薬、すごく良く効きました。改めてありがとうございます。)
「おう、そろそろ戻るか。」
「うん。もう一カ所回るか?」
「いや、十分。」
「 OK!」
多分、今年一番重たいザックです。身体は山に慣れて、前回よりもずっと軽くなっているんだけど、荷物の重みのために、うっかりするとバランスを崩してしまいそうになります。それでなくても不安定な雪渓と沢下りです。慎重に山を下りましょう。
シラネアオイの花が
コブシ(多分)の花が
見送ってくれました。
ああ、本日も満足。そして、『タケノコ採りの呼吸』に新しい型が生まれたようです。
山の神様、ありがとうございました。これは、もう一度、実証実験に来訪しなければなりません(海抜の高い平坦地)。また、よろしくお願いいたします。
この山行から直ぐ後、当地にも、まとまった雨が降った。その直後に、梅雨明けだって。
今年は、稀にみる豪雪の後、史上最速の梅雨明け。採り場の状況は、どうなっているのだろう。これだけ特殊な気候だと、気象情報だけでは分からないことが多い。やっぱり現地に行かなければなるまい。
うまく訪ねられるといいなあ。