山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

開眼?筍の呼吸

2022年06月30日 | 山菜採り

 本日は、今シーズン2度目のN沢タケノコ採り。前回、感動的な収穫を味わってから1週間目だ。この7日間の天候は、梅雨時にしては珍しく降雨が少なかった。その代わりに、山形市で真夏日を記録する日が何日かあった。間違いなく予想出来る変化は、雪解けが進んだこと。しかし、タケノコが成長しているかと問われると、自信を持って頷けないというのが、正直なところ。その辺の解説を少々まじえながら(これは梅雨明け前の日記です。悪しからず)。

    タケノコ採りには、幾つかの『型(踏まえるべき条件)』がある

 良いタケノコが採れるための絶対条件は、親竹が太いこと。何はさておき、これが第一条件だ(これが『一の型』でしょうな。以下、それなりにお読み下さい)。だから、月山筍をめざす欲タガリ達は、あえて進入困難な竹林に潜り込む。ただ、同じ月山でも、竹が太い場所と細い場所とがある。この場所による違いは、場数を踏んで覚えていく。これは、自分で見つけるのが基本。数多くの成功や失敗を重ねた上で、マタギ達は、自分たちの陣地を見つけ、そのポイントを目指して山や渓を上る。前回は、それに加えて季節の進み具合が丁度よかったのでうまく当たったのだ。

 で、1週間が経過した今回、どのポイントに陣地を張るかという話なんだけど、2つ考えた。

 1つ目は、前回苦労して採った斜面の下の方。何回も書いているから詳しくは書かないけど、下の方が遅くに発生するからだ。

 2つ目は、前回のポイントの対岸で同じ海抜高度の場所。こっちの方が、どういう訳か遅れて発生する。斜面の向きは大きな条件なんだけど、南向きで日当たりがよいはずなのに遅く出るのだ。

 この辺がミステリーだったのだが、今回歩いてみて、なんとなく分かってきた。

       月夜でした

 午前3時前、管理棟に着く。ここで入山料を払うのだ。

「おはようございます。今日は、どうですか?」

「少ねえのう。雨降らねえがらのう。」

少ないのは、入山したタケノコマンの数。降雨は重要な条件なのだが、まだ十分でないらしい。

 歩き始めてから40分強。N沢の渡渉点に着いた。前回、沢を覆っていたスノーブリッジは崩れかかっており、渋滞が発生していた。

       取り付く島のなさそうなデブリ。でも、

       ここを渡らなければパラダイスには着けない

 更に、急坂を上り、

       『小屋跡』でみんな休憩

もう、ヘッドランプはいりません。

 ここから、上の平らを目指すグループと、沢を登り詰めるグループに分かれます。われわれは、沢。『陣地』を決めていたというのも理由の一つだけれど、もう一つ理由があります。マタギがS川とかH沢とかを彷徨っている間、A氏はこっちに来ていたそうです。で、最新情報として、

「上の平らはまだ早いようだ。」

ということだったんです。それで、迷いなく沢に入りました。

       サンカヨウが咲いている

さすがに海抜が高い。春も遅いようだ。

       徐々に雪渓が増えてきます

       崩れ始めたスノーブリッジ

 早朝は、普通に歩いていれば問題ありません。でも、お昼あたりからは要注意です。崩れるときは一気です。

 そして、目的の『陣地』へ。ここは、最初は急斜面だけど、ある程度登るとなだらかになる採り場です。

 この採り場で、開眼したんです。

 急斜面のタケノコは、殆どが伸びすぎていてウラ折り状態でした。でも、傾斜が緩くなると、

       おおっ、やっと逢えましたね

 

       採り頃じゃないの!

       これは、五百円玉クラスか?

 このあたりで気付く、同じ海抜で日当たりがよくても遅く発芽するのは、平坦だからだ。平坦ならば雪が残り、斜面よりも遅く発芽する。そう言えば、今までにも似たような経験をしたことが沢山あるじゃないか。A氏が、「上の平らの出が遅い。」と言っていたのも、このせいに違いない。

 なんだか、急に視界が開けた感じで、元気が湧いてきた。

 そして暫くすると、今シーズンでは最高の収穫量になったみたいです。(HIROさんの防虫薬、すごく良く効きました。改めてありがとうございます。)

「おう、そろそろ戻るか。」

「うん。もう一カ所回るか?」

「いや、十分。」

「 OK!」

 多分、今年一番重たいザックです。身体は山に慣れて、前回よりもずっと軽くなっているんだけど、荷物の重みのために、うっかりするとバランスを崩してしまいそうになります。それでなくても不安定な雪渓と沢下りです。慎重に山を下りましょう。

       シラネアオイの花が

       コブシ(多分)の花が

 見送ってくれました。

 ああ、本日も満足。そして、『タケノコ採りの呼吸』に新しい型が生まれたようです。

 山の神様、ありがとうございました。これは、もう一度、実証実験に来訪しなければなりません(海抜の高い平坦地)。また、よろしくお願いいたします。

 

 この山行から直ぐ後、当地にも、まとまった雨が降った。その直後に、梅雨明けだって。

 今年は、稀にみる豪雪の後、史上最速の梅雨明け。採り場の状況は、どうなっているのだろう。これだけ特殊な気候だと、気象情報だけでは分からないことが多い。やっぱり現地に行かなければなるまい。

 うまく訪ねられるといいなあ。


どうしよう(さんぽうた148)

2022年06月29日 | いきもの

  どうしよう   ひるがお ひとみ

 

ちょっとお!

わたし

つぎのてすと

ぜったい あかてんだわ!

 

とくに

ぶつりなんか ちんぷんかんぷん

どうしよう!

 

せんぱい!

あかてんって

とったことあります?

 

わたし

とりそうな きがするんです

とったら らくだいになるんですか?

 

ねえねえ

だれか おしえて

どうしたらいいの?

 

がっこう やすむなって?

そうね

ありがとう

 

 

 日差しが強くなってきた散歩道で出逢いました。

       ヒルガオです

       君も夏が来るのを待っていたんだよね

 そして、

       可愛い顔をして

 丈夫な花でもあります。一度咲いたら、毎年、同じ場所に花を咲かせ続けます。

       雨に濡れても全然平気

 いろいろな物に絡みつくのも得意らしいです。まあ、分類上は、アサガオの親分みたいなものだから、当然と言えば当然かもしれません。

 で、このかわいい『ひとみ』ちゃんを見ていたら、私が知っているある子に重なってしまったんです。

 すごく明るくて、誰とでもつながることの出来る子です。弱みもいっぱい持ってるけど、それをあけすけに語りながら、また人との絆を深めてしまう。困っているみたいだけど、実は、根っこの所では自分の未来を信じ切っているような子です。

 「この子は大丈夫!」

そう思えてしまう『ひとみ』ちゃん。この夏も、いろんな人とつながって、話を聞いてもらいなよ。

 マタギも話を聞きに行くからね。


手間暇へのお返事

2022年06月28日 | 山菜料理

 今回の収穫物は、ほぼフキのみという感じ。前日までのハードスケジュールもあったし、採集中の雨もあったし、夕方からの勤務もあるしと考えると仕方がないです。でもね、

       瑞瑞しいフキですよ!

 まだ葉っぱが開ききっていない若い茎ですから、美味しいことは間違いないはずです。ただし、食材に手間暇をかけて、その真価をしっかり発揮させることができれば、という条件がつくのかなあ。意外と難しくて、手間がかかるんですよね、フキ料理って。

 フキは、最もポピュラーな山菜の一つ。それだからこそマタギも、改めて真面目に向き合ってみたいと思います。

 それでは、行ってみましょうか!

   ≪フキの炒め煮各種≫

 下ごしらえの部

 ・アク抜きを兼ねた下茹でをします

 ・それほど太くなかったので、適度に柔らかくなるように7分間の茹で時間

       なぜか、ハケゴの底に鉛筆タケノコが1本

 これは、H川のタケノコ林入り口で見つけたもの。この先、全然生えていなかったので、こうなってしまいました。

 ・君も、一緒に茹でておこう

 ・柔らかめのフキノトウも採ってきたので、こちらも茹でました(10分ほど)

 ※こうして、素材の種類や太さに応じて茹で時間を変えることも大事なひと手間

 ・フキと、フキノトウは流水にさらします

 ・タケノコは、皮を剥いて

  知らんぷりして味噌汁に入れておきました(誰も気付かないみたい)

 ここからがフキ料理で一番の手間暇です。

 ・1本1本丁寧に皮を剥いていくと

       美しい芯(?)が出揃います

 ※フキには必要だけど、フキノトウには不要。その分だけフキノトウには時間をかけて茹でました

 ・寸切りにして、まずは、蕗を炒めます

 ・ゴマ油とサラダ油を各大さじ1ぐらい加熱して

 ・火が通ってきたら半分に分けました(各300gぐらいずつ)

       君たちは後半戦まで待機ね

 ・中華鍋に残した半分に、酒みりん醤油各大さじ2と、顆粒だし小さじ1を加えて煮詰めます

 つづいて、残りの半分には、

 ・鯖の味噌煮缶1個分をほぐしながら加えて、南蛮醤油小さじ1強を加えて煮詰めました

       もう少し水分を飛ばしましょう

 ※味噌煮だから焦げ付きやすいのかと思ったけど、そうでもなかったです

       これで、フキの炒め煮2種類が出来ました

       フキノトウの炒め煮も出来ました

 こちらも、味付けは酒醤油みりんと和風だしなんだけど、多分、今年最後の作品になると思うので、薄味にして、素材の味を十分に楽しめるように配慮したつもりです。

 妻曰く、

「丁度、お弁当とかに入れる常備菜が、なくなるタイミングだったのよ。ありがとう!

だって。

 早速、本日のお弁当に入れてもらったら、凄く香り豊かで美味しかったです。

 実はですね、前回の収穫物が、最高級の月山筍だったじゃないですか。それと比べたら、

『フキなんて、そんじょそこらに生えているじゃん。』

と考える方もいらっしゃると思ったんですよ。

 でもね、『旬の山菜だから戴いてくる』というポリシーに何の違いもないんです。

 タケノコにはタケノコの旨さがあり、フキにはフキの旨さがあるってことね。

 そこから先、素材の真価を生かせるかどうかは、調理人の気持ちの入れ方次第だと思うんだよなあ。

 魚料理の格言の一つに、こういうものがあります。

『イワシは、百編洗うとタイになる。』

 これですよ!

 手間暇をかけて、素材の美味しさを生かした料理に仕上げようとすること。

 別に、これで商売しているわけではありませんけど、こうして真面目に素材に向き合えば、素材も必ず何らかの返事を返してくれる。その繰り返しが、マタギと山菜との仲を、ひいては、山の神様との仲を深めてくれるのではないかなあ。

 そんなことを考えつつ、次回は、3日後に月山筍採りです。既に、ワクワクドキドキが止まらないのであります。

 こちらの山の神様も、よろしくお願いいたします!


奥山の山菜畑へ

2022年06月27日 | 山菜採り

 2日続きの審判が終わって、カツオの刺身とタタキで栄養を摂って、翌日は夜勤だからゆっくり休もうかとも思ったが、午前3時半集合出発で山菜採りに出かけた。(スミマセン。日記の順番が前後してます。)

 前回のタケノコ採りの翌日もそうだったけれど、この時期こそ山菜のハイシーズン。そして、なまった身体を鍛え直すのに最適な季節なのだと思う。

 前々回紹介した月山筍採り場と同じ湯殿山山域なんだけど、A氏と訪れるのは標高の高いN沢の月山筍採り場。これに対して、向かいの住人M氏と訪れるのは、それよりも若干低いH川流域の山菜畑。今回訪れるのは、後者のH川だ。

 ここも、魅力的な採り場なので、毎年欠かさず訪れている。なんと言っても、この山域に溢れるマイナスイオンに癒やされるんだなあ。

       豊かなブナ林

 そして、豊かな山菜たちなんだけど、

       ミズは、まだ出始めでした

 途中から、かなり強い雨が降り出したんですけど、行けるところまで行くことにする。

       この沢は、よほどの豪雨でない限り増水しない

       慎重に沢を越える

 本日一番逢いたかったものに出逢うことが出来ました。

       サンカヨウの花

 どういうわけか、殆どの花が散っていて、咲いていたのはこれだけでした。

       まだ雪が残っています

 ミズが小さいわけだ。やっぱり豪雪だったことを再確認。

 最も収穫が期待出来る広場に降り立つ。

       この広場のランドマークだった巨木が折れていた

 去年、道のりの途中の巨木が折れてしまい寂しい思いをしたのだが、こちらも折れてしまったか。 寿命なのか、豪雪のせいなのかよく分からないけれど、合掌。

       ワラビも出始めでした

 先々週のワラビ採り場よりも200mぐらい海抜が高いから仕方がないのかもしれないけれど、下界が真夏日でも、この辺は初春の雰囲気。豪雪の年は、こういう不思議さというか、おもしろさがある。

       本日の収穫品、フキ

 どういう訳だか、よく分からないのだけれど、フキだけはスクスクと成長していたので、これを貰って帰ることにした。

 M氏は、ミズとワラビも採っていた。

「おもしろいもんだずね。まだ、春が来たばっかりだ。」

「また来週も来ねんねな。」

「うん。また連絡すっから宜しく!」

       山菜畑の出入り口に戻った

 不思議の国からの帰還。まだ雨はあがらないけれど、季節の進み具合の確認ができて、花に出逢えて、それなりの収穫があったので良かった。

 雨に濡れた斜面を登り切ると、

       タニウツギが、ほぼ満開

 今年の季節の進み方は、面白い。とっくに真夏を迎えたような下界と、雪の消えたところから一気に春そして夏へと進む斜面と、いつまでも雪に閉ざされた渓底と、3つの季節が混在しているのだ。

 その辺の違いを眺め、楽しみながら山を歩くことができる。なかなか豪華な年になったようだワイ。

 これも、山の神様と季節の神様のおかげですな。

 ありがとうございます。


暑い日にチェリームースはいかが?

2022年06月26日 | 日記とレシピ

 今の時期の山形では、ちょっと不思議な現象が発生することがある。

「もしもし?ああ、お久しぶりです!お元気そうで。ああ、サクランボ届きましたか?悪くなっていませんでしたか?それはよかった。じゃあ、ご家族で召し上がって下さい。わざわざ、ご丁寧にありがとうございます。」

などという電話を受信したあとに、

「もしもし?ああ、ご無沙汰しています。いやあ、すごく良いサクランボですね。すごく甘くて美味しかったです。わざわざお気遣いいただきありがとうございます。ご家族は、おかわりございませんか?それはよかった。本当に、いつもいつもありがとうございます。旦那様にも宜しくお伝え下さい。それではまた。」

みたいな電話を送信する。

 我が家から、親戚縁者にサクランボを送るのだが、別の親戚縁者からサクランボが届いたりするんですね。

 まあ、お互いが美味しい思いをするんだからいいことなんです。一箱が数千円もするフルーツを、自家用には普通は買わないよね。だけど、この時期の山形の各家庭には、サクランボがあるんです、買わなくても。

 

 で、何?この暑さ!?

 6月からこれだったら、7・8月はどうなっちゃうの?このままだと、人類滅亡してしまうんじゃないかい。

 で、滅亡してしまう前にやっておきたい料理を作ることにしたんです。

 

  ≪チェリームース≫

 細かい説明は抜きで、工程を辿ってみます。

 下ごしらえ・調理の部

 ・サクランボを適当に選んで

 ・ヘタを外して

 ・種も抜いたら225gありました

 ・FPでみじん切りにして、グラニュー糖大さじ2を加えます

 ・更に牛乳1/2本を加えて、レモン汁をちょっとだけ加えると、この重さ

 ・かんてん4gを150mlのお湯で溶かして(総計500gを目指しました)

 ・ちょっとだけ冷ましたら、先ほどのチェリー牛乳に混ぜます

 ・ガラス容器に盛り分けて冷蔵庫へ

 う~ん。なんだかイメージと違う。

 ・卵白1個分を撹拌してメレンゲに

 ※ここには、バニラエッセンスと砂糖を加えました

 ・ムースに乗せてサクランボをあしらうと

まあ、許せるかな。粉ゼラチンも生クリームもなかったので、代用だらけですけどね。

 再度、冷蔵庫へ。そして、

       本日のランチとデザート

 だはは、右のランチは、冷やし中華風のそうめんです。バランス無視。あ、『冷たい』だけは共通か。

 これが、なかなか美味しかったんですよ。

 やっぱり、暑い昼時には冷たいランチと、ちょっと甘酸っぱいデザートがよく似合います。

 これで、人類滅亡前に食べておきたかったスイーツを、一つ食べることが出来たぜ。満足。

 暑い日のチェリームース、お勧めです!  って、これ、単価いくらぐらいなんだろう。

 ま、その辺の所はあまり深く考えずに、贈ってくれた親戚に感謝です。ご馳走様でした!