今年の春に、白旗山を越えたその先に通称モーゼ岩があると聞いたことを書き記したことがあった。
たまたま、今回そのあたりを歩いているうちに、ふと、そのモーゼ岩のことを思い出した。地図をみると、かなり近くを歩いていることに気づいた。小さな岩場であれば、地形図にはその高みの等高線は表示されていないであろう。
しかし、その岩は道のすぐ近くにあった。近づいてみると、それなりに踏み跡もあり、けっこう人が訪れていることもわかった。
たいして高い岩場でもなく、別に三点支持の必要もない小高い「高み」にすぎないのだが、確かにその頂からの眺めはよい。藤野三山をはじめとして、その奥には、札幌岳周辺の山の連なりが見える。
あたりは静かであり、おそらく雪の積もる頃には、ひたすらに音のない空間となるのであろう。
真冬のさなか、山行のないときは、白旗山の、地形図には記されていない「みち」を探索するのもいいかもしれない。今回も、立派に作られ、広げられた林道を歩いてみた。が、突然に「みち」はなくなり、その先にも道らしき痕跡は何もなかった。