左官屋ルークの日記

一左官職人が愛犬「ルーク」の名を借りて、本業の左官職や趣味、家族愛について語る。

久しぶりにギターを弾いたよ

2010-08-23 22:01:13 | 日記
精神的な余裕がないとき、ルークは大好きなギターをとることがない。
もう何週間にもなる。しばらくギターを手にしていないのだ。
つまりそれは、ルークにとってゆとりがないときなんだ。

でも今夜は久しぶりにギターを手にひき語り。
なんでこういういきさつになったのかよく分からない。
たぶん砂粒ほどのゆとりが、心のどこかでできたのだろう。

ギターの弦をおさえる左手の指先が痛い。
数か月前まではそのようなことはなかったのに。

その痛みは、精神的なゆとりのない生活を続けてた証拠だ。
「よくないなー」と独り言。

このような状態は家族にも感じとられているはずである。
それでも、意外とデリケートな犬だから・・・・。


忘れ去られた左官屋 その11「素焼きスニーカー」

2010-08-22 09:28:13 | 本職
猛暑が続く・・・。肌は現場でまる焦げ。
仕事に熱中して熱中症にならないようにしなくては。
と、毎日自分に言い聞かせて炎天下で仕事をするルークなのである・・・。

さて、この一連のブログのタイトル「忘れ去られた左官屋」も、
とうとう終盤になりつつある。

5年ほど前になるがルーク工業の家は新築された。
かつての家は一目見れば左官屋とわかる家だったが
新築してからは全くその気配が感じられなくなってしまった。
おまけに「ルークさんは左官屋さんやめたの?」
なんてことを言われるしまつだ。

これではいけない、このご時世に自分から仕事をなくすわけには
いかない。とうことでルーク工業の看板にもなる「壁」をこの7月から造り
はじめたのだった。

自分の家のことはなぜか時間がかかる。「紺屋の白袴」なんて言葉もあるが本当だ。
いつかは自分でできると思っていると、そのまま時が過ぎてしまう。

例の小窓には小さな「素焼きスニーカー鉢」を置き、
その中にはかわいらしい黄色い小花を植えたのだ。
最初は小柄の「ひまわり」を一つ植えようかと思ったが、
花屋の店頭で小花を見ているうちに情がわいてきてしまったのである。

グランドカバーにも使えるらしい。花柄がとてもかわいい。
ただ一つ心配なのは、小窓は西日がきつくかなり熱くなるのだ。
大丈夫かな・・・。





忘れ去られた町の左官屋 その9

2010-08-16 12:23:54 | 本職
さて、小窓の上に一本のパイプがあることに気づいていたと思う。
実はそこに、照明器具をつける予定である。

以前から、ルークには気になっていた室外灯があった。
それは実際に船舶に使用されている室外灯で「マリーンランプ」という。
松本船舶電機製作所
10年ぐらい前からログハウスやガーデニングに使用されるようになった。

この度、使用することにしたマリーンランプは、小型で真鍮とガラスでできている。
電球に使用したのは、白熱灯25ワット(クリアガラス)である。

夕暮れとともに灯され温かく優しい光を放つ。まるでランタンのようである。
最近では省エネ化で、照明器具には蛍光灯かLEDが使われるが、どちらも白熱灯の
やわらかい温かみのある光にはかなわないのだ。


忘れ去られた町の左官屋 その8

2010-08-12 21:24:55 | 本職
いよいよ仕上げの工程にきた。
この日は、既に5日以上もたち、十分な養生期間を経ていた。
乾燥は十分。硬化状態も良好。

実は、この工事に入る前には、すでに仕上げはどのようにするか決めていた。
それは、アイカ工業のジョリパットという仕上げ材の「アールテスタ」
という名前のパターンだ。仕上がりの感じは「ザックリ」という言葉が当てはまる。
しっとり、おとなしい感じではない。ボリューム感たっぷりの仕上げりである。

ところが、なぜか仕上げ工事当日、気持はすっかり変わり、しっとり、おとなしい
感じのパターンに決めてしまったのである。なぜなのか、ルークは確かに優柔不断
であるが、自分でも驚くほどの性格なのである。

もしこれが通常の仕事であれば、絶対にあり得ないことである。
これも、ルークの倉庫には多くの材料が在庫しているせいだろうか?

過去に実際の工事で行ってきた仕上げパターンの中でとりわけ納得したというか、
自分好みのパターンと色があった。そのことが仕上げ当日頭をよぎった。

やはりそれもアイカ工業のジョリパットであり、パターンは「割肌」と言われている。
なぜ「割り肌」にしたかというと、小窓の枠回りに加工した「R」の形である。
その「R面」をやさしい感じに、手作りぽくしたかったのだ。
「ザックリ」と大きなパターンをつけては「R面」のやさしさが表現できない。

さて、決めたからにはもう突っ走るしかない。
仕上げの日は連日の猛暑であり、施工面には西日がしっかり当たる。
ジョリパットの最大の難点は表面乾燥が異常に早いことだ。
そのような条件では決してうまく仕上がらない。


その対策として、ルークはひと手間かけ、仕上げ面に直接日光が当たらないよう
ネットを張り、仕上げ面に日陰を作った。通常作業の倍は手間がかかるのである。

そして無事完成・・・・・。






忘れ去られた町の左官屋 その7

2010-08-10 10:02:31 | 本職
モルタル仕上げ完了です。
本業をしていてよく言われるが、モルタルが仕上がると、
「いよいよ完成ですね!」という感じになるらしい。
確かに、下地のブロックが見えている間はそうは思わない。
お客様の気持ちわかるなー。

これからは本格的に仕上げ工事に入るわけだが、
ここで一つ重要なポイントがある。いわゆる養生期間だ。
もし養生期間を無視して仕上げの工程に翌日入るなら、
幾日もしないうちに仕上げ材が剥離したり、
たとえしっかりくっついていているように見えてもかなり弱い。

それはモルタルに水分が含まれていることや
完全に硬化していないことが大きな理由である。
しっかり固まり、よく乾燥していることが仕上げ工程に入る最大の条件である。
そう、ここはモルタルが乾燥し、硬化するのをじっくり待たなければならないのである。

余談:最近どの現場でも工期を急ぐあまり、この重要な養生期間が無視されている。
   もし左官工事をお願いするならこれらのことを確認しておこう。

通常早くとも5日、じっくり待つなら10日程度、
乾燥硬化期間(この期間を養生期間とも言う)が必要である。
この時期は気候が良いので早めの仕上がりになるだろう。

さて次は仕上げの工程である。どうしよう・・・あれもいいし、これもいい。
最近では色や柄も様々なものが出回っているし、材質も様々。
お客さんもかなり迷うところである。分かるような気がする。
大胆にザックリいくか、しっとりお上品に仕上げるか、あー迷うなー



忘れ去られた町の左官屋 その6

2010-08-06 22:48:28 | 本職
さて、作業もますます終盤に・・・。
ブロックの表面にモルタルを塗る段階である。
これこそ、左官屋本来の仕事である。

通常、ブロックの表面にモルタルを塗るときは
その表面にモルタル増強接着剤(酢酸ビニル系)
を塗ってからモルタル塗りに入る。

主にその理由は2つある。
1.ブロックの面とモルタルの接着強度を上げるため。
2.ブロック表面にモルタルを塗ったときドライアウト
  しないようにするため。

ドライアウトとは表面が乾いたブロック面にモルタルを塗ったとき
モルタルの水分が急激にブロック面に給水されるため、密着面のモルタル
がパサパサになってしまい、剥離を起こしてしまう症状のことを言う。
(セメントモルタルの施工には、程よい水分が必要なのである〉

もしドライアウトが起きてしまったら、せっかく上手に仕上げても
じきにモルタルの表面にクラックが入りブロックから肌別れしてしまうことになる。
最悪の事態だ。

これらの事故を防ぎ、なおかつ密着を確実にし、きれいに仕上げるためには
このちょっとした工程は絶対省けないのである。

ここにある画像は一部分だが、モルタル増強接着剤塗布後、
モルタルを下塗りしたところ。よーく見るとこの下塗りには
グラスメッシュが塗りこんであることを確認できる。

実はこの工程も後日、モルタルのひび割れ防止に
大きな効力を発することになるのである。
(ブロックにモルタルを塗る場合、数年たつと
必ずブロックの目地に沿ってヘアークラックといわれる
細いひびが入り、見た目よくない)

最近では住宅の外壁にも、耐アルカリ性グラスメッシュ
といわれるひび割れ防止材を施工する。

もしこれらの工程を省いて施工しているなら、必ず問題が起きるので
要注意である。(見積もりの段階で工務店か設計屋さんに確認すると良い)

これで安心!次は追っかけでモルタルの仕上げに入るのである。









忘れ去られた町の左官屋 その5

2010-08-01 17:00:48 | 本職
ルークは設計屋さんではないので数字が苦手。
では、図面はどうするかというと、方眼紙にイメージしたものを
定規を使うのではなく絵にして書く。その程度のことであるが、
実はこれが意外にルークにとってはいい感じにイメージできるのである。

さて、まずは壁下の装飾だ。
以前、自宅を新築したとき、アプローチの床に使った乱形石が在庫していたので、
それをそのまま使用することにした。乱形石
今作っている壁の近くの床には、そのお噂の乱形石が貼ってあるので、
エクステリア全体として調和もとれる。

次に、塀の頭の部分であるが(この部分を笠木とも呼ぶ)
実はずいぶん悩んだのである。壁材で巻き込むか、
煉瓦を使ってアクセントにしようか、てな感じ。
結局煉瓦を使用することに決めた。

「どんな種類の煉瓦があるのかなー」と、その種類の調査に入ったが、
これまた目移りがするほどたくさんある。
いろいろ悩んだ末、アンティーク煉瓦を使用することに決めたのだが、
これが以外にコストが高い。
アンティーク煉瓦とは、どこかで使用されていた煉瓦を解体し
一つ一つ再生するのである。手間がかかるわけだ。でもイイな~・・・・。

そこでアンティークっポイ煉瓦を探すことにした。
あちらこちらの建材屋さん、エクステリア専門店を調査したが
コストとイメージが絡み合わないのである。
結局近隣のホームセンターをいくつか回り「ベルギー煉瓦」にしたのである。
(一つ80円から90円ぐらい。ちなみにアンティーク煉瓦は一つ300円~400円前後)

通常の煉瓦よりやや小さめではあるが、アンティーク風であり、
しかもお気に入りの色調だった。
画像は壁の仕上げを残した状態で乱形石と煉瓦が仕上がったところ。

ここで少しルークのこだわりが見え隠れする。
よーく見ないと分からないが、煉瓦の目地に注目しよう。
白目地でしかも煉瓦の表面と同じ面でざっくりと仕上げたのである。
いいね。