「ハンディカムな理由」 第四話

この二週間工期のない現場にしばりつけられ「ハンディカムな理由」第四話を完成させられなかった。ルークは意外にもデリケートな犬であり、気になることが一つでもあるとそれに集中して周りのことが目に入らないのである。おかげで不可能かと思った現場も想像以上に進みやり切ったのである。

さて、この話題「ハンディカムな理由」に関心のあるごく少数の人々に明かそう。ルークにとって「ハンディカムな理由」を・・・・。

「ドラ娘」のライブを無事に撮り終えたルークはサッサと帰宅して映像データを確認したかったのである。なんせ初めて使うビデオカメラ、いったいどれほど撮れているのだろう？足を急がせるルークの頭の中はビデオの再生で頭がいっぱいであった。歩いて数分で帰れる距離が3倍にも感じられたのである。

帰宅すると休むこともなくハイビジョンテレビに最新鋭のビデオカメラを接続した。なんと！！！！見事な映像だ。想像以上の美しさに思わずため息をついてしまった。まるでプロカメラマンが使うようなカメラで撮った映像が記録されていたのである。

一通り映像を確認したルークはいつものようにパソコンに向かい既存の編集ソフト「ムービーメーカー」を使い編集の作業に移ったのである。事件はここから起きた。

ルーク「アレ！！メディアが読み込めない」なぜだ？結局「ムービーメーカー」では編集できないようなので、ハンディカムに付いてきた編集ソフトを使うことに・・・・。当然すんなりと動画は取り込まれ編集作業に移ったのである。

ガ!!しかし！！！そのソフトはあまりにもお粗末で、「ムービーメーカー」と比較したらまるでおもちゃの様である。ルークも「ムービーメーカー」を使いこなせる訳ではないが、ハンディカムについてきた編集ソフトは「タイトル」も「クレジットタイトル」もつけることができない。ましてや「特殊効果」「切り替え効果」などで編集も出来ないのである。せいぜい出来ることと言えば「分割」と「映像の長さの編集」ぐらいである。

そして編集した動画をＤＶＤディスクにコピーする作業に3時間程度かかった。何やら変換しているらしい。又驚いたことに編集した動画は保存ができない。編集した映像はその時に続けてコピーしなければ、次のコピーの変換に3時間かけなければならないのである。

ルークはあるアルファベットに気が付いた。「ＡＶＣＨＤ」である。なんじゃこりゃ？今度は編集した動画を「ＡＶＣＨＤ」でＤＶＤにコピーしたのである。非常に短時間でコピーが終わった。ルークの独り言「なんだこれでやれば良かったんだ」。

しかし「ＡＶＣＨＤ」で作成したディスクをＨＤＤビデオレコーダーで再生を試みた時すべての事情を理解したのである。無情にもマイＨＤＤビデオレコーダーは「ＡＶＣＨＤ」で作成したディスクを拒否したのである。規格外のディスクだった。

ルークは事の事情を何となく感じハンディカムのガイドと、梱包していた箱を調べた。なんと箱の内蓋にこう記載されていたのである。「重要なお知らせ」・・・「ＤＶＤプレーヤーやＤＶＤレコーダーはＡＶＣＨＤの規格に非対応のため、ＨＤ（ハイビジョン）画質で記録したディスクを再生できません」。

そうかここまでは研究不足であったのである。ルークにとってハンディカムな理由は・・１．簡単な操作 ２．きれいな映像 ３短時間に必要最小限の充電が可能なこと。そう、それだけだったのである。

「ハンディカムな理由」 第三話

いよいよ「ドラ娘」の登場であある。初めて使うビデオカメラ「ハンディカム」正式名、デジタルＨＤビデオカメラレコーダー「ハンディカムＨＤＲ-ＳＲ１１］やや緊張気味な面持ちでカメラを構えるルークなのだ。

家の「ドラ娘」はドラムの応援で１バンドを担当。そして高一の時からいつも一緒の仲良しバンド、といった具合に二つのバンド掛け持ち16曲以上ぶっ続けの演奏になった。その長時間に及ぶ記念の一部始終をはたして撮りきれるのだろうか、かなり心配なルークだったのだ。

途中、足腰に予想以上のストレスを感じながらも、どうにか最後まで記念の一部始終を撮りきり面目を果たしたのである。

ガ！！しかし！最後の曲が終了すると、観客のあちらこちらから「アンコールを求める叫びが聞こえてくる」。も、もしかしてもう一曲？顔には表さないものの、実は腕と腰にストレスがたまっていて正直かなり限界なのであった。小刻みに震えるルークの体の震動がハンディカムに伝わっていた。

そしてホントにホントの最後になる演奏が始まった。彼女たちのこみ上げる感情がルークの胸と眼がしらにも伝わり、熱いものが全身を走った。それは足腰のストレ
スさえ忘れさせるものになったのである・・・・。

すべてが終了。ハンディカムにおさめられた記念の記録は一体どのようになっているのだろう。

続く。