左官屋ルークの日記

一左官職人が愛犬「ルーク」の名を借りて、本業の左官職や趣味、家族愛について語る。

モルタル意匠仕上げ

2022-07-21 09:38:11 | 本職

 

ここ数年無機質なモルタルを仕上げに使うことが多くなったようだ

有名どころで、ベルギー産の「モールッテックス」

国産では株式会社フッコーの「モラート」

アイカの「モルタルアート」

日本化成の「デコリエ」

 

これらの特殊材料を使用するには講習が必要であり

左官職人だからと言って誰でもできるわけではない

毎日忙しいルークも関心があるものの、なかなか講習を受ける時間が無い

そこで試しに類似した左官在を駆使して、その辺にある使わなくなったテーブルや

事務所の何の変哲も無いテーブルに施工してみた。

 

上記にある写真はその一つである

事務所に置いてあるテーブル(天板はメラニン)

天板表面を軽くサンディングし粉を拭き取り天板の周辺から塗る

このあと同じように天板を塗る

その際、綺麗に塗りすぎると面白みのない仕上げになってしまうので多少雑に塗る

硬化乾燥したらサンディング→コーティングして仕上げ

使用した材料はハネダ化学のショートフィラー#21+着色剤に墨を少々

カチオン系の材料なので下地にガッチリ密着する

 

仕上げはアトミクスのフロアトップアクアフォルティス(艶消し)

コーティン材はフォークリフトが走行しても大丈夫なほど丈夫 (^_^)

意匠性もそこそこあり、なかなか良い感じだ。

そして、とても頑丈である

自分の持ち物なので気兼ねないが、売り物にはならないかも知れないな(泣)

 

 

 


漆喰

2022-07-19 15:27:52 | 本職

 

 

最後の投稿が何と一年前伊豆で仕事をしていたときの話だ

あれから一年か・・時が経つのは早いもんだ

 

この一年漆喰作業に翻弄されてきた

コロナの流行で漆喰が脚光を浴びているのだ

自然素材の漆喰は強アルカリであるため、殺菌、抗菌の効果がある

新築やリフォームで漆喰を選ばれるお施主様に医療従事者が多いのもそうした理由かも知れない

いずれにしても漆喰が選ばれるというのは、我々左官屋にとっては嬉しいことなのである

 

漆喰というと「お城」をイメージしてしまう。鏝で塗りつけ何度も鏝をあててフラットにする

しかし、近頃はチョイと違うようだ。ザックリとしたパターをつけ洋風に塗り上げる

コーナーは角!という感じではなく丸く優しい感じで仕上げるのである

同じ漆喰でも表情は全く違う。ルークはどちらかというと後者が好きかも知れない

 

 

 


聚楽壁

2021-07-15 17:37:59 | 本職

一人お施主様の別荘内装工事に行ってきた。

6月29日午後に乗り込み、当日は段取りと自炊の準備。

一週間泊まり込みの予定で作業開始。

周囲は別荘地なので人の声、車の走る音など人工的な物音は皆無。

風で揺らぐ木々の音、雨音、小鳥のさえずり、自分の作業音、ラジオの音それだけだ。

翌日6月30日の午前中に塗った聚楽壁、しかし写真は7月5日の午後。

この間ずっと雨で全く乾燥する様子もなく5日間が過ぎた。

乾燥機があれば違ったのかも知れないが、扇風機二台設置。

そして5日後ようやく乾燥。

高温多湿の環境でカビも生えることなく綺麗に仕上がった。

 

実はここ伊豆半島の東側。

通って来た道は国道135号線、熱海経由だ。

作業中の7月2日~3日にかけてスマホに避難勧告がな鳴り続ける。

雨音が尋常ではない。

どこに避難したら良いのかも分からず、無事を祈りながら内部作業を続ける。

熱海で大規模土砂崩れが起きた。

一瞬にして土砂に飲み込まれる。見慣れた風景は跡形もなくなる。

とてもショックだった。

線状降水帯がもう少し南に下がっていたら

ここも逃げ場はなかっただろう。

 

 

 


左官職デビュー 左官女子

2018-06-30 10:43:29 | 本職

 

 

左官材のデザインは同じ種類のパターンでも個人差が出る。

また、パターンを付ける時 考えすぎたり躊躇したりすると

思うように描けない。つまりある程度の思い切と無心さが要求される。

 

そのため、本番に入る前に仮の塗り板に何度か塗ってはパターンを付け

気に入らなければ剥がし、また塗り付ける。そんなことを繰り返していくうちに、

イメージが体に身について行くような感じになる。

 

上記のパターン作者は昨年ルークの会社に入社した新人女子(ルークの次女)。

トレーニング用の塗り板にルークが自ら塗り付けその直後に「くし目」を付けてもらった。

さすがに左官コテを使いこなすには数年かかる。

 

度胸があるのか、センスがあるのかわからないが、たった2回目で完成。

曲線にためらいがなく躍動感も感じる。いい感じだ!

 


納得するまで!!

2015-03-23 21:40:29 | 本職

工場で生産された完璧な無垢のドアそして塗装。

しかし、数十年後には紫外線と風雨にさらされ塗装も劣化し、剥がれが目立つようになる。

このまま放置しておけば・・・・と思うが、やはりそこは無垢材。

よほど放置されなければ再生不可にはならない。

しかし、見た目はかなり悪い。

今でしょ!と言うかもしれないが、この段階でサンディングして再塗装を施すのは至難の業。

オイルペイントで塗りつぶし?と安易な考えに走ってしまう。

見積は塗りつぶしだったが、ここは職人の良心がおさまらない。

2人で3日かけて既存の強固な塗装をサンディングし、生地を見せる。

指の爪ははもちろん、指先の皮膚までも剥がれる。

サンディングするサンダ(機械工具)も使うが、細かいところはやはり手作業。

そして、サンディング完了!見事に無垢材の生地が見える。

なかなかのものだ。これに着色し、保護塗装をかける。

やはりやって良かった。自己満足に終わってしまったが、後悔一つも残さず完成。

あースッキリした。いい仕事ができた。

相変わらず利益のことを考えていないろくでなし。あとはカミさんにまかせるだけ?

 


版築模様

2013-09-04 17:57:04 | 本職

版築とは・・・・ある辞書によると以下のような意味である。

「土を層状につき固めて建物の基壇や壁,築地塀,城壁などをつくる方法。

〈ばんちく〉ともいう。中国では夯土(こうど)といい,

三方囲いの板枠を用いて家の壁や塀に広く用いられる」

 

このような表現では、よくわからないというのが本音

簡単に言うと地層のような模様で、下から順番に土などで締固めて壁などを造ること。

もっと簡単にイメージすると「バームクーヘン」かな?

 

写真は、某団地のリノベーション・モデルルームの現場

設計やさんからの注文で「版築模様」で既存の壁を塗り替えることに

材料は沖縄の「琉球の塗り壁」基本的には漆喰だが

その中に「風化造礁珊瑚壁」や沖縄の「赤瓦」が入っている

なかなか興味深い材料だった

 

色は同系色で幾種類か造り「全体としての色は桜の花びらをイメージしてください」の一言

その時ルーク頭の中は・・・・「えっ ???????」てな感じ

自分のイメージと設計やさんのそれが違ったら大変

ということで、サンプルを作る造ることになった

 

自宅の倉庫でサンプル作成に約1日

2種類の基色を微妙に量り、6種類の色を造ったのだ

その材料を版築模様に塗り上げ、悪戦苦闘の末サンプルの出来上がり

それを2日乾燥硬化させ、担当者に確認してもらい、いよいよ施工スタート

サンプルの時点でこれほど手間のかかる作業は久しぶりと、後悔

現場はたった16平米程度の小面積

でも、サンプル造りで分かったことは、手間が予想以上にかかり

「覚悟してかかるしかない」という感じだ

 

写真は作業本番の1日目

養生→下地処理→仕上げ

という工程で、その日仕上がったのはこの面だけ

見た目、色がはっきり分かれているが、無機質の湿式材は

乾燥しないと仕上がりの色が分らないのが現状

乾燥した写真はないのでゴメンナサイ

あ~・・先が見えないよー

 

ここで一言

塗り替える部屋は2階ですが、半地下で~す!!!!

分からない人に説明します。半地下の「下」を「チク」と読んでね


無心に削る

2013-08-21 19:34:09 | 本職

古くなってすす汚れた無垢の玄関ドアをサンドペーパーで無心に削る

軍手も破れ指の爪まで削れる

ルークは左官屋だが塗装も行う

実は、左官職より先に塗装・外装関係の仕事を覚えたからだ

今から38年余り前、親父の後継ぎを志願し、親父の経営する「ルーク工業」(仮名)に就職

しかし、腕利きの左官職人は何人もいる

しかも左官職人になるには本気だしても10年はかかる

毎日手元だけ

さすがに6年も手元やれば左官材作りのプロにはなれる

職人:お前の作る材料さ最高だぞ

ちょっとはうれしいけど、所詮手元

そんな頃、親父の勧めで外装を覚えることになる

もちろん、左官職も同時に覚え、どうにか左官職人と言われるようになった

こんな経緯で今も建物の下地からお化粧に至るまで全部こなすことができるようになった訳だ

今は亡き親父に感謝

無垢材は再生できていいね!

 

 


秋だね

2012-08-27 21:54:30 | 本職

今年の夏は残暑が厳しい。というかもう何日も雨らしい雨が降っていない。

よりによってこの時期に屋根工事だ。約一月、毎日といっていいほど屋根の上。

材料はアスファルト系のシングル材。

あまりに強い日差しで材料がとろけそうである。写真はやっとのこと既存を剥がし、

ルーフィングを張り終えシングル材を張り始めたころの昼休み。

新しいシングル材の上でごろ寝。樫の木の木陰が僕を包む。

・・・・・・なんとやさしい日差し、さわやかな昼休みだろう。

 

本職は左官屋だというのにルークは建築全般に興味があり

なににでも手を出してしまう。木工事、板金、クロス、防水、とにかく好きなんだ。

今回は屋根工事だ。

ルークはこの業界ですでに35年以上経つが、

もし永遠に若さを保ち生きられるなら建築全体を網羅したいし、造ることなら何でもやってみたい。

皮肉にも人生は一つのことを極めるにしても短すぎる。

やっと左官とは何か?少しわかってきたにもかかわらず、ほかの誰かの左官技術を見てはため息をつく。

なぜこんなに深いのか。

左官一つでもこのように感じるに、この広い世界にはどれほど興奮をそそるものがあるのか。

夏も終盤、仕事も終盤。毎日相変わらず猛暑だが、上空は秋の気配だ。あの同じ空が秋を感じさせる。

 


マンサード屋根

2012-08-24 15:31:57 | 本職

6月初旬より着工した「ガボン大使館」の外装。

かなり年数が経過しており、シングル材が剥がれかけていた。

(シングル材とは、厚いアスファルトルーフィングを基材としている屋根材のこと)

建物の形状はマンサード屋根で、2階部分の外装が屋根材でできている。

「マンサード」? 聞きなれない建築用語だ。「おれ屋根」とも言うらしい。

 樋は一階と二階の破風の内側に付いており、見ての通り破風で隠れている「内樋」だ。

「内樋」は樋が隠れているので建物全体の外観をよくするが、

排水升に枯葉とか、堆積物が詰まると雨水がオーバーフローして、

軒下や、建物本体に流れ落ち雨漏りの原因になる。

結構致命的な被害に及ぶ。こちらの建物はその典型的な例だった。

下の写真で確認できる通り軒全体が腐食して今にも落ちそうだ。

オーナー様からの依頼で現調したが、復旧できるだろうか?心配だった。

まてよ!ルークは左官屋ではなかったのか。

 


現場調査

2011-12-22 15:25:42 | 本職
在来木造住宅築18年。下地のモルタルからクラック発生。恐らく躯体が動いたのだろう。そうとうの力が働いたはずだ。なんせ見ての通り、分厚いタイルが数枚割れている。これをどのように補強し、目立たないようにできるか思案中である。