左官屋ルークの日記

一左官職人が愛犬「ルーク」の名を借りて、本業の左官職や趣味、家族愛について語る。

忘れ去られた町の左官屋 その8

2010-08-12 21:24:55 | 本職
いよいよ仕上げの工程にきた。
この日は、既に5日以上もたち、十分な養生期間を経ていた。
乾燥は十分。硬化状態も良好。

実は、この工事に入る前には、すでに仕上げはどのようにするか決めていた。
それは、アイカ工業のジョリパットという仕上げ材の「アールテスタ」
という名前のパターンだ。仕上がりの感じは「ザックリ」という言葉が当てはまる。
しっとり、おとなしい感じではない。ボリューム感たっぷりの仕上げりである。

ところが、なぜか仕上げ工事当日、気持はすっかり変わり、しっとり、おとなしい
感じのパターンに決めてしまったのである。なぜなのか、ルークは確かに優柔不断
であるが、自分でも驚くほどの性格なのである。

もしこれが通常の仕事であれば、絶対にあり得ないことである。
これも、ルークの倉庫には多くの材料が在庫しているせいだろうか?

過去に実際の工事で行ってきた仕上げパターンの中でとりわけ納得したというか、
自分好みのパターンと色があった。そのことが仕上げ当日頭をよぎった。

やはりそれもアイカ工業のジョリパットであり、パターンは「割肌」と言われている。
なぜ「割り肌」にしたかというと、小窓の枠回りに加工した「R」の形である。
その「R面」をやさしい感じに、手作りぽくしたかったのだ。
「ザックリ」と大きなパターンをつけては「R面」のやさしさが表現できない。

さて、決めたからにはもう突っ走るしかない。
仕上げの日は連日の猛暑であり、施工面には西日がしっかり当たる。
ジョリパットの最大の難点は表面乾燥が異常に早いことだ。
そのような条件では決してうまく仕上がらない。


その対策として、ルークはひと手間かけ、仕上げ面に直接日光が当たらないよう
ネットを張り、仕上げ面に日陰を作った。通常作業の倍は手間がかかるのである。

そして無事完成・・・・・。