左官屋ルークの日記

一左官職人が愛犬「ルーク」の名を借りて、本業の左官職や趣味、家族愛について語る。

忘れ去られた町の左官屋 その6

2010-08-06 22:48:28 | 本職
さて、作業もますます終盤に・・・。
ブロックの表面にモルタルを塗る段階である。
これこそ、左官屋本来の仕事である。

通常、ブロックの表面にモルタルを塗るときは
その表面にモルタル増強接着剤(酢酸ビニル系)
を塗ってからモルタル塗りに入る。

主にその理由は2つある。
1.ブロックの面とモルタルの接着強度を上げるため。
2.ブロック表面にモルタルを塗ったときドライアウト
  しないようにするため。

ドライアウトとは表面が乾いたブロック面にモルタルを塗ったとき
モルタルの水分が急激にブロック面に給水されるため、密着面のモルタル
がパサパサになってしまい、剥離を起こしてしまう症状のことを言う。
(セメントモルタルの施工には、程よい水分が必要なのである〉

もしドライアウトが起きてしまったら、せっかく上手に仕上げても
じきにモルタルの表面にクラックが入りブロックから肌別れしてしまうことになる。
最悪の事態だ。

これらの事故を防ぎ、なおかつ密着を確実にし、きれいに仕上げるためには
このちょっとした工程は絶対省けないのである。

ここにある画像は一部分だが、モルタル増強接着剤塗布後、
モルタルを下塗りしたところ。よーく見るとこの下塗りには
グラスメッシュが塗りこんであることを確認できる。

実はこの工程も後日、モルタルのひび割れ防止に
大きな効力を発することになるのである。
(ブロックにモルタルを塗る場合、数年たつと
必ずブロックの目地に沿ってヘアークラックといわれる
細いひびが入り、見た目よくない)

最近では住宅の外壁にも、耐アルカリ性グラスメッシュ
といわれるひび割れ防止材を施工する。

もしこれらの工程を省いて施工しているなら、必ず問題が起きるので
要注意である。(見積もりの段階で工務店か設計屋さんに確認すると良い)

これで安心!次は追っかけでモルタルの仕上げに入るのである。