「ぷにょぷにょ ふわふわ もっこり」
これらの表現はお客様の頭の中にあるイメージなのである。
最近、施工した塀の左官工事、お客様の意向は
「ぷにょぷにょ ふわふわ もっこりでお願いします」というものだった。
「ぷにょぷにょ ふわふわ もっこり・・・ですか?どんな感じですかね」。
とルークは聞き返した。
お客様は「はい、ぷにょぷにょ ふわふわ もっこりという感じです」と言われる。
いったいお客様の頭の中にはどんなイメージがあるのだろうか。
左官工事で時々困るのはこのようなイメージをかたちにする時だ。
ルークは思った。人の頭にもUSBポートのようなものがあり、自分の頭のそれとラインで結んで、
コピーできたらお客様のイメージを鮮明に理解できるのに。それができないのが人間だ。
ルークは聞く。 「例えばどんな感じでぷにょぷにょ ふわふわ もっこりなんでしょうね」
こんなことを何度か繰り返すうちに自分の頭の中にイメージが膨らみ、
お客様の頭の中にあるそれが見えてくるのだ。
「あ~なるほどなるほど。ぷにょぷにょ ふわふわ もっこりだったんですね」 という感じだ。
人間の頭はある意味すごいのである。
最初はこんな感じ
完成しました。
最近は便利なもので、見たい時に様々な映像を見、
調べたいこともすぐ情報が手に入る。
その点「スマホ」がその最たるものだとルークは思う。
実はルーク、家族と一緒にこの6月、今はやりのスマホにしたのである。
子供たちは数週間で使いこなしていたが、
ルークはいまだ使いこなせてないのが現実なのである。
それはさておき、つい最近のことであるが、目覚めの悪い夢を見てしまった。
夢の中でルークは愛妻と娘たちを目の前に、妻に「別れよう」と言い放ったのだ。
特に理由もないのにそう言ってしまった。
さぞかし妻も、娘たちも悲しんで泣き崩れるかと思いきや、
淡々として「そうなの。じゃしょうがないね」という感じなのである。
「そっか僕は必要ないないんだ」と思い、とても悲しかった。
その瞬間が目覚めである。「フー・・・夢か」と独り言。
あまりにもあっけらかんとした反応にショックを隠し切れない状態だ。
いくら夢とはいえ一日中その感情を引きずってしまうほどだったのである。
その日、仕事から帰ってすぐ、妻と娘たちに「パパの夢の話聞きたい?
結構ショッキングなんだよ」と言い、どんな反応をするか見るのであった。
案の定、娘も妻もその夢の内容に関心を示し「どんな夢だったの」と食いついてきたのだ。
「結構悲しかったんだよ。実は一日中引きずってね」と気を持たせる。
「聞いてあげるから早く話して」と妻も娘たちもルークをせかせる。
というか早く話を済ませてほしいという感じだったのだが。
ルークが夢の話を済ませると、娘たちは慰めるように「パパ大丈夫だよそんなこと起きないから」
と言い。妻は「それでどっちが出て行ったの」と核心に迫る。そのあたりは言いたくなかったが
「ぼ、僕が出ていくことになってね」と夢の結末を話した。妻は夕飯の準備の手を休めることなく
「変なの」と言い「そういえばパパ昨日ユーチューブで冬ソナの動画見てたわね。
だから変な夢見たんじゃないの」。
確かにルークはその前の晩「冬のソナタせつないミニヨン」とか「浜辺の名場面」とか
「冬ソナ名曲の数々」というような動画を見ていたのである。
スマホは便利だが「せつないもんだ」と思えたルークだったのだ。