

銀座王子ホール、昨年からここに移って二回目。昨年は故人の香典返しにホール費用を寄付したので今年もご招待に預かった。もちろんそのことには曰くアリで、いつかは王子ホールでやりましょうと言う小さな願いを指導者の美都先生に故人が話していたと聞いたからであった。言いだしっぺの故人が病床からコメントをした一昨年の第四回コンサートはそれまでの神楽坂の婦人の友ホール、席数が少なくて聴きたい人を収容できない不満があった。昨年の第五回では故人を送るステージまであり、小さな顔写真をピアノの上に飾って頂き、ステージの最後に自分が呼ばれて故人への感謝の花束を頂いた。
今年は第五回記念コンサートとした昨年の賑やかなステージに比べると、地味ではあるが音楽的に見事なステージが並んだ。ジュニアとシニアに分けたアカペラステージはどちらも迫力のハーモニーで聴衆を魅了した。一年でここまで変わるのかという感じを持ったファンも多かったのではなかろうか。毎年の進歩を実感するアカペラのステージであった。特に印象的であったのは第一ステージのジュニアによるアカペラ。例によって出だしのピアノの音と、美都先生のコツコツ~とピアノを叩く音ですっと始まるやり方は面白い。大人の女声合唱でもこれをやろうとしている故人の創設した合唱団があるが、この子達には敵わない(笑)。
アカペラの響き ~ジュニアチーム~ の印象は一言、お見事な透明な発声とことのみと称する日本語を大事にする歌唱力だろう。力強いハーモニーと音量が会場を包み幼児たちの騒ぎも惹きつけられて消える。そんな時間を過ごした。
第2部は なつかしい日本のうた ~春夏秋冬~ 全13曲をソロで歌うステージ。最初と最後を大学生のお姉さん二人がやり、間を二人組で歌う日本のうた。それぞれの子供の実力が丸見えになる、それでも力の差は見えてもそれぞれが魅力的な歌を歌いこなす。良い雰囲気のステージであり、子供たちの進歩が見えて毎年聞いているものには発見と驚きの連続である。ああ、あの子がここまで歌えるんだと終わって思うし、お互いの会話につながる。そんな合唱団の個人が浮き彫りにされるステージだ。ソロはあさかちゃんのペチカのソロで会場が盛り上がり、最後に全員で雪の降る町をで〆た。素晴らしい配役と思った。今年は歌唱音量に合わせたピアノ伴奏の音量も見事にやって頂いて実力に応じた歌を聴かせてもらったとも言える。
第3部は シニアチームによるアカペラの響き あがっていたのかソロがややういてしまった中学生が数名いて心配したが、アカペラの合唱は見事に力を合わせて、やはりジュニアとは一味違うところを聴かせてくれた。グリーンピースのうた、初めて聴いたが、この子達の発声では歌詞が明瞭に聞こえるので歌詞なしで分るし楽しめた。そして、大人に近い歌声で会場全体を響かせて魅了した。ソロのへこみも完全に挽回した中学生数名、良かったね。
第4部は 金子みすずの世界 ~朗読とともに~ 「こだまでしょうか」より 月曜日のBS放送でFORESTAというグループによる合唱が流れ、この金子みすずの詩が番組に織り込まれている。そういう意味で少し親しみのある作詞家。その詩を朗読してから歌う形式。どの曲もみすずの想いのこもった歌になっていた。いや良かった。
全体の印象、毎年向上してる個人的にどんどん上手くなっている。特に小さい子の進歩が著しい印象である。この合唱団の今後にまた大きな期待を持った半日であった。DVDができるはずでまた一人で細かく聴いてみるのも楽しみである。そういえばピアノのタッチが珍しくやや不安定に聴こえたようなところが無くも無かった。聴きなおしてみたい。来週はまたさっそく童謡祭で新曲披露のステージが待つ。がんばれことのみ(笑)


帰りは息子の車で3人の孫達の車中リサイタルを聴きながらあっという間に金沢区であった(笑)