結局、これに帰るって、みなさん言いますね。
昨晩のBS-NHK「昭和の選択」は、山本五十六でした。 自身、好きで知りすぎている為、新鮮な情報は得られませんでした。 アメリカとの戦争回避に奔走しながら、軍部(特に陸軍)、世論(特に朝日新聞を中心としたマスコミ)に押しやられ、やむなく連合艦隊司令長官として真珠湾攻撃を仕掛ける。これにより、太平洋戦争が始まるのです。 アメリカは絶対に戦ってはならない相手でした。圧倒的な国力の差を考えれば、どう戦っても勝ち目はありません。 山本自身、アメリカ留学でそれを知りすぎるほど知っていたのです。 苦渋の選択の中でたどり着いたのが、真珠湾奇襲でした。 山本が描いた(本当にそう考えていたとはとても思えませんが)、アメリカの主力艦隊に大打撃を与え、アメリカ国民の戦意を喪失させ、早期講和にもち込む。 どうしても戦争をせざるを得ないのなら、日本が生き残るためにはそれしかない。まさに真珠湾攻撃は最初の一手であり、最後の一手でもあったのです。しかし、そのぐらいのことで、アメリカ人の戦意が喪失されるわけもなく、逆に、戦意高揚、火に油を注ぐ結果となります。 日本の敗戦を語る時、必ず真珠湾攻撃の次、ミッドウェー海戦が引き合いに出されます。 我が国の正式空母4隻を撃沈されたこの戦いが、戦争のターニングポイントになったことは確かです。 しかし、仮にミッドウェーで勝っていたとしても、アメリカが抗戦の意思を捨てない限り、日本の勝利はあり得ませんでした。これは断言できます。 次から次へと、ベルトコンベア式に武器・兵器が無尽蔵に造られてくる計り知れない国力。 戦争中も、「風と共に去りぬ」「カサブランカ」など、国民が娯楽を楽しむ精神的な余裕。 かたや、「欲しがりません勝つまでは」の日本人。(ちなみに、この、欲しがりません勝つまでは、は第一次世界大戦時のドイツのプロパガンダです)どう転んでも勝てるわけがありません。 そして、最後は、広島、長崎への原爆投下という人類史上最悪の悪夢で太平洋戦争は終結されました。 戦争が絶対悪、絶対に回避しなければならぬことを大前提に書きます。 もし、太平洋戦争という、無謀な日本の挑戦が無かったら、今頃世界地図は欧米一色に塗りつぶされていたでしょう。白人のみが人間で、有色人種は人間以下の生き物というヒエラルキーが、永遠に続いたでしょう。 太平洋戦争の世界史的な意義は、それにより、人類平等社会実現の礎を築いた、と言えるのです。 あの、大局面に、意志とは真逆の任務をつかわされ、それを全うした山本五十六、その苦悩、選択は、残像として我々の中に生き続けているのです。