食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

顔面神経麻痺

2014-06-18 11:18:34 | 日記
 40歳の頃、柄にもなくスペイン人女性とお付き合いしており、彼女に感化されて以降英字新聞には目を通すようにしている。ものすごく頭の良い人で、すぐに三行半を突きつけられるだろうけど、結婚しておけばよかったと痛恨の極みである。イラク問題一色の中で、CNNが「 三歳の顔面神経麻痺の女の子 」について報道していた。ミシシッピ州に住む三歳の女の子が犬に襲われ、右目を失明し右側顔面神経麻痺になってしまった。(かわいそうですが、個人的現実に踏みとどまると社会的現実にまで広げられないので、客観的表現にとどめます )祖母とケンタッキーフライドチキン(KFC )を訪れたところ、「 その顔が他の客に迷惑をかける 」と店員に難癖をつけられ注文を断られたというのだ。( 逆に、そんな卑罵語よく言えるよな )以後、彼女はひどく落ち込み自信喪失から人間不信になってしまったそうだ。この件に怒った家族が、Facebook上で小さな運動を起こし、結果KFCに深謝させ、3万ドルを賠償させることで決着がついたようだ。さて、何故僕がこれを書いたかというと、記事中の「 少女の顔面にまひが残った 」という表現が唐突に目に飛び込んだから。 先々月、「 顔がピクピク動くけど、歯に問題があるのではないか? 」という主訴で来院された患者がいた。拝見すると、あきらかに顔面神経麻痺である。そこで、大学病院に紹介状を書きそちらに行かれるよう指示したのだが、「 顔面神経麻痺の疑い 」とすべきところを、「 顔面神経痛の疑い 」と書き間違え恥ずかしい思いをしてしまった。ちなみにネットで調べると、顔面筋に分布している部分の顔面神経は運動神経なので痛みという表現は不適切、したがって「 顔面神経痛 」という病名はないとのこと。顔面神経麻痺同様、三叉神経痛患者も「 歯に問題があるのではないか? 」という主訴でいらっしゃることがある。(本当に極々まれなケースなので、普通、こちらも歯痛と考えてしまう )天災同様、備えあれば憂いなし。脳神経疾患と「 歯の痛み 」との鑑別法を盤石にする必要がある。

黄金のリンゴ

2014-06-11 07:16:11 | 日記
 wikipedia で今日、6月11日を検索すると、「 紀元前1184年、トロイが滅び、トロイヤ戦争が終結する 」とある。

ギリシャ神話に「 黄金のリンゴ 」という物語があります。ご存じない方のため、僕のたどたどしい記憶を思い起こしてみます。 女神と人間(ギリシャの王様)の結婚式があり、一人だけ、披露宴に呼ばれなかった女神がいました。嫉妬と争いの女神エリスです。嫉妬と争い、なんて結婚式には縁起悪いから故意に呼ばれなかったんです。エリスは嫉妬します。「 よし、披露宴で争いをおこし、めちゃくちゃにしてやろう 」宴会場に黄金のりんごを投げ込みます。突然、宴席者の前に転がり込んできた黄金のリンゴには、「 最も美しい女神がこれをもらえる権利を有する 」と書かれてあります。黄金のリンゴの獲得に、三人の女神が名乗りを上げ、大ゲンカになります。ゼウスの妻ヘラ、ゼウスの娘アテネ、そして美の女神ビーナスです。ゼウスは恨まれたくないので、ジャッジをトロイの王子パリスにゆだねてしまうのです。逡巡したあげく彼は、ビーナスに黄金のリンゴを渡しました。そのお礼にと、ビーナスは絶世の美女ヘレネをパリスに引き合わせるのです。ヘレネを一目みたパリスは恋に落ち、彼女を連れてトロイに戻りますが、実は、このヘレネ、ギリシャのスパルタ王妃だったんです。当然、スパルタ王は激怒します。ギリシャの大群を引き連れトロイに攻め込みました。その中にはあのアキレスもいたんですよ(アキレス腱の語源となった英雄)。これが、トロイの木馬で有名な「 トロイヤ戦争 」です。黄金のリンゴも、トロイの木馬も、完全な神話かもしれません。けど、この物語は古代ギリシャ時代の戦争で、策略がいかに重要かを示しているように思われます。さて、時代はとんで、東ローマ帝国時代。皇帝のお妃選びのため全国から選りすぐりの美女が宮殿に集められました。皇帝が指名したその中の一人に「 黄金のリンゴ 」が渡されたのです。そう、現在さかんにおこなわれている美人コンテスト。祖形は東ローマ帝国のお妃選び。さらにさかのぼると、ギリシャ神話にあったのです。