●今日の一枚 149●
Walter Lang Trio
The Sound Of Rainbow
ドイツ出身のピアニスト、ウォルター・ラングの2005年録音だ。キース・ジャレットをはじめ数多くの名盤を生み出してきたことで知られるノルウェーの「レインボー・スタジオ」で、「伝説」のエンジニア、ヤン・エリックによって録音されたものだという。
写真をみると、ウォルター・ラングはなかなかのイケメンだ。キザな奴に見える。気に入らない。けれど、音楽はなかなかい。キザなイケメン野郎にありがちな(?)だらだらとした甘い感じはあまりなく、そのピアノの響きは硬質なリリシズムを感じさせる。やはり、録音がいいのだろう。全体的に透明感のあるサウンドだが、冷たくひきしまった空気の中を伝わってくる硬質な音だ。考えすぎだろうか。ニコラス・ダイズのベースもなかなかの迫力である。リアルで鮮度のよい聴きごたえのある音だ。
いい選曲だ。キース・ジャレットの「カントリー」、チック・コリアの「チルドレンズ・ソング」ではじまり、チャーリー・ヘイデンの「ファースト・ソング」、パット・メセニーの「ジェームズ」で終わる選曲は、私のお気に入りの曲が目白押しである。現代の名曲中心の構成だが、もちろん単なる「なぞり」に終わらず、オリジナリティーを感じさせる解釈で演奏される。
雑誌Sound &Life No.4 で小説家の藤森益弘氏は「いまを潤すディスク10選」のひとつにあげ、「最近の出色の一枚」と評している。
[追記]藤森氏の作品は読んだことがないが、藤森氏があげた「いまを潤すディスク10選」が、私の好みとあまりに同傾向なので、ちょっと驚いている。