ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

おたふくワクチン(流行性耳下腺炎予防接種)について (接種しない方が良い???)

2009-01-11 11:44:16 | 予防接種(ワクチン)
おたふくワクチン(流行性耳下腺炎予防接種)について (接種しない方が良い???)

 診療中に「おたふくワクチンを接種しましょう」と説明すると、「接種しない方が良いと聞きました」と答えるお母さんがおります。
 また、おたふくワクチンは「髄膜炎になるから辞めた方が良い」と言われたといわれたかたもおります。
 これは現在では科学的に理論の通っていない理由す。
 しかし、診療していると髄膜炎とは別の理由でワクチンを止めなさいと言われた方が何人かおります。お母さんによると、「おたふくワクチンをすると完全な免疫が得られないから、やめた方が良い」と言われていてワクチンを接種しなかったそうです。これは、完全な間違えです。

 ワクチンで一生の免疫が得られないことがあるのは良く知られています。良い例が麻疹(はしか)です。ワクチンをしていたのに罹患してしまったことが問題になって新聞報道もされました。しかし、麻疹の問題は日本では過去にワクチンを1回しか接種しなかったために起こったことで、海外では以前から麻疹ワクチンは2回として全員接種として解決していました。つまり、日本は長年1回しか公費での摂取ができずに、しかも定期接種とは言っても摂取率が低いために起きた悲劇です。
事実、日本以外の世界中の国で麻疹は2回接種であり麻疹の発生は見られず。日本人が海外に麻疹を持ちだして問題になっていました。最近になりようやく日本もワクチンを1回しか接種しないことは間違えであると気がついてようやく2回接種になりました。
 おたふくに関しても同じです。多くの方はワクチンを接種すれば免疫がつきます。免疫がついた方は、おたふくから免れますし、仮に感染してしまったとしても、髄膜炎や難聴などの合併症からは逃れられます。
 ちょっと考えれば完全な免疫がつかなくてもワクチンを接種した方が良いことが分かります。

1) 仮に、ワクチンを接種しなければ、日本ではおたふくの流行が見られますから、いずれおたふくになるでしょう。たしかに完全な免疫が得られますが。一部の方は合併症で髄膜炎になったり、聴力を失ったりします。

 2)ワクチンを接種した場合、多くの方はおたふくになりません。一部の方は免疫が得られなかったり、免疫が弱かったりします。これらの方がおたふくウイルスをもらうと、多くの人は症状が出ないで軽く感染を起こして完全な免疫が得られます。そして、一部は、おたふくになります。しかし、ワクチンにより軽症で済みます。

 以上の1)と2)を比較して1)が良いという人はいないと思います。それに、心配であれば海外のように、おたふくワクチンも2回接種すればより確実です。

 科学的には接種した方が良いワクチンです。おたふくワクチンは日本以外の多くの国で定期接種になっています。
 おそらく接種しなくて良いなどと言う、意見のために、おたふくになってしまって髄膜炎になったり聴力を失ったりした患者さんが多くいると思います(聴力は片側であれば気がつかないことが多いです)(先に書きましたように10年以上前はワクチンによる髄膜炎が問題になり接種を控えた時期もあります)。
 またワクチンを接種するのであれば小児科専門医を受診しましょう。

ひきた小児科クリニックでは、おたふくワクチン、水痘ワクチン、三種混合ワクチン、麻疹・風疹ワクチン、日本脳炎ワクチン、二種混合ワクチン、インフルエンザワクチン、ヒブワクチン(アクトヒブ)、他などが接種可能です。

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
http://www014.upp.so-net.ne.jp/hikita/


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2 コメント

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Unknown (ママ)
2009-01-10 16:12:52
おたふくで聞いたことがあるんですが症状が全く出ずに、感染していても気がつかず免疫だけ出来ているから予防接種するときは一度血液検査してから接種するべきと聞いたんですがどうなんでしょう?お答えしていただけたら嬉しく思います。
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Unknown (ママ)さんへ (ひきた小児科クリニック)
2009-01-11 11:56:20
Unknown (ママ)さんへ

 ご質問有り難うございます。
 とても、難しい高度な質問ですね。血液検査をして免疫が獲得されていないことを確認してから予防接種をするという話は、聞くと理に通っているように感じてしまいます。血液検査のことをご存知の方から聞かれたのですから、そう話したのは医師ないしは他の医療従事者でしょうか。そして、小児のワクチンには精通はしておられない方だと思います。これには絶対的な回答はありません。
 日本小児科学会認定 小児科専門医の私からの回答は「検査はしないでワクチン接種するほうが良い」となります。きちんとワクチンのことを勉強している医師であれば検査しないで良いと説明するでしょう。
 もちろん、私のところに受診しても、最初から血液検査を希望される方には、説明をして血液検査をします。しかし、どちらがよいですかと言われたら検査はせずにワクチンを接種します。私の個人的意見を書いても、それは疋田先生の意見と思われてしまいますので、本に記載されている文章をご紹介いたします。ある、小児科専門誌の予防接種の質問と回答を引用します。

質問1) おたふくの免疫の有無がはっきりしない人たちに接種しても支障ないでしょうか。
回答1) 免疫の有無が不明な人にワクチンを接種しても、副反応の出現が増加ひることはないし、抗体の低い人では免疫能が強化される(ブースター効果)

質問2)おたふくワクチンによる抗体獲得率は、麻疹風疹より低率と聞いていますが実際にはどの程度と考えたらよいでしょう。
回答2)麻疹ワクチンや風疹ワクチンの抗体獲得率は95%以上である、一方おたふくワクチンによる抗体獲得率は90-95%で、麻疹ワクチンや風疹ワクチンに比べてやや低率である。
解説 おたふくの不顕性感染率は30%である。一方、おたふくに類似する症状をきたす疾患があり、おたふくの既往歴があると答えた子供の8%が家族内暴露によりおたふくを発症している。おたふく既往が不確かなときや病歴上既往に疑問があるときは、予防接種を希望する人には接種すべきである。

 少々専門用語が入っていますが結論としては検査しないで予防接種して良いと書いてあります。しかも、おたふくにかかっていてもワクチンを接種希望する方にはワクチンを接種するべきと記載されています。

 解説にあるように、おたふくは不顕性感染率(症状が出ないで感染すること)が30%であるため、このような話題になるのだと思います。では、他のワクチンではどうでしょう、麻疹、水痘ははっきりした症状が出るために悩むことはなく接種を勧められます。これが風疹であれば診断が症状のみに依存している場合は検査をせずにワクチンを積極的に接種すべきです。そもそも、海外ではおたふくワクチンは2回接種しています。一回目のワクチン接種で免疫を得られているかいないか調べることもなく2回目の接種を行います。このようなことが議論されるのはやはり日本はワクチン後進国なのかも知れません。科学的ではありませんが、血液検査の採血で痛い思いをして抗体があれば良いですが、なければ再度予防接種で痛い思いをすることになり、予防接種だけの方が良いかも知れません。

最後に、「血液検査をしてから”接種するべき”」というと、検査をしないと接種してはいけないように感じます。もし、血液検査を勧めるにしても「血液検査をしてから”接種する方法もあります”」程度で、”接種するべき”というのは残念ながら間違っていると思います。不要な検査を勧める理由は、検査をして、さらにワクチンを接種した方が儲かるからかも知れませんし、単なる不勉強かも知れませんし、何か個人的な哲学かも知れません。いずれにしろ、小児科専門医の私はワクチン接種をお勧めします。
ひきた小児科クリニックでもおたふくの血液検査を希望されれば血液検査をした上で検査結果を勘案してワクチンを接種します。もちろん説明してご理解いただければ検査無しで接種いたします。Unknown (ママ)さんのご家族がおたふくワクチンをされていないようでしたら早めにひきた小児科クリニックにご来院ください。お待ちしております。
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