他人の財布はつい覗き込みたくなってしまうものですが、フランスも同じなのでしょうか、主要企業トップの昨年の年収が公表されました。いくらもらっているのでしょうか・・・14日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。
投資コンサルタント会社“Proxinvest”によると、ユーロネクスト・パリ(旧パリ証券取引所)の主要40銘柄で構成されるCAC40(Cotation Assistée en Continu)に含まれる企業の経営者、その2009年における平均収入は、ストック・オプションなどを含め、306万ユーロ(約3億3,660万円)に上った。長引く不況の影響か、これでも前年に比べて14%減少した。しかし、それでも、最低賃金であるSMIC(salaire minimum interprofessionnel de croissance:全産業一律スライド制最低賃金)の190倍に達している(逆算すると、最低賃金の年収は16,105ユーロ。約177万円ということになります)。
高収入の経営者の中でも、そのトップ3は、ルノー・日産のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)会長が920万ユーロ(約10億1,200万円)、製薬大手サノフィ・アベンティス(Sanofi-Aventis)のクリストファー・ヴィバシェ(Christopher Viehbacher)会長が820万ユーロ(約9億200万円)、LVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長が760万ユーロ(約8億3,600万円)。(ため息しか出ないような額ですが)こうした高額報酬は、中小企業の経営者の収入とは似ても似つかぬものであることを、Proxinvestのレポートは指摘している。
中小企業の経営者の平均年収(2008年)は手取りで61,300ユーロ(約670万円)。2009年には不況の影響でさらに減ったものと思われる。中小企業総同盟(CGPME)によれば、サラリーマン社長・会長であるCAC40の経営陣の収入と、オーナー社長・会長である中小企業のトップのそれとの間には、抜き差しならぬ格差がある。
また、同レポートによれば、ここ数年、社会的問題ともなっていた経営者の収入に対する世論と企業側の意見の食い違いが、2010年には少し落ち着いてきたようだ。その背景は、2008年に多くの企業トップの年収が多すぎると非難の俎上に載せられて以降、経団連(le Medef)や私企業協会(AFEP)が倫理規定を導入したことだ。経団連のパリゾ(Laurence Parisot)会長にとっては、まさに革命的なことだった。市場もこうした透明性を好感した。そのお蔭か、CAC40の経営者の報酬はここ2年減少している。
しかし、“Proxinvest”によれば、まだまだ改善の余地があるということだ。特にボーナス。例えば、LVMHのアルノー会長の場合、算出基準となる三つの数値のうち二つが減少しているのにもかかわらず、前年同額のボーナスが支給された。ボーナスの半分が、数量ではなく不透明なクォリティによって判断されているため、こうした状況が生まれている。もう一点は、取締役になっていない会長の場合だ。取締役でないため、株主に公開する義務を負わず、不透明になっている。しかも、こうした立場の人へのボーナスに関して、フランスは他のヨーロッパ諸国に比べ寛大だ。一層の透明性が求められる。
・・・ということで、日本でも有名な経営者、日産のカルロス・ゴーンCEOがフランスの経営者の中でトップの高収入。しかし、この10億円を超える収入のうち、9億円近くは日産からの報酬。ルノーからはあまり多くもらっていません。そのため、企業トップの高額報酬には日本以上にうるさいフランスでも、多すぎるという非難が起きないのでしょうね。日本で質問が出た際には、世界的企業ではこれくらい当たり前の額だ、という一言で乗り切ってしまいました。経営トップとしての実務時間の配分も日産とルノーで9対1くらいになっていればいいのでしょうが・・・
ところで、文化大国、観光大国のフランスですが、ビジネスではどんな企業があるのか、なかなか日本では伝わってきませんね。そこで、CAC40の企業を眺めてみましょう。
Accor(アコー):ホテル
Air Liquide(エア・リキッド):化学・ガス
Alcatel-Lucent(アルカテル・ルーセント):通信
Alstom(アルストム):機械
Arcelor-Mittal(アルセロール・ミッタル):鉄鋼
AXA(アクサ):保険
BNP Paribas(BNPパリバ):金融
Bouygues(ブイグ):建設・通信
Capgemini(キャップジェミニ):通信
Carrfour(カルフール):流通
Crédit Agricole(クレディ・アグリコル):金融
Dexia(デクシア):金融
EADS(EADS):航空・宇宙
EDF(フランス電力):電力
Essilor(エシロール):医療機器
France Télécom(フランス・テレコム):通信
GDF Suez(DGFスエズ):ガス
Danone(ダノン):食品
L’Oreal(ロレアル):化学
Lafarge(ラファージュ):セメント
Lagardère(ラガルデール):出版
LVMH(LVMH)アパレル・宝飾
Michelin(ミシュラン):タイヤ
Pernod Ricard(ペルノ・リカール):酒造
PSA Peugeot Citroën(PSAプジョー・シトロエン):自動車
PPR(PPR):流通
Renault(ルノー):自動車
Saint-Gobain(サンゴバン):ガラス・セラミック
Sanofi-Aventis(サノフィ・アベンティス):医薬品
Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック):電気機器
Société Générale(ソシエテ・ジェネラル):金融
ST Microelectronics(STマイクロエレクトロニクス):半導体
Suez Environnement (スエズ・エンバイロメント):水道
Technip(テクニップ):石油・ガス
Total(トタル):石油・ガス
Unibail-Rodamco(ユニボール・ロダムコ):不動産
Vallourec(バロウレック):産業用機械
Veolia Environnement(ヴェオリア・エンバイロメント):水道
Vinci(バンシ):建設
Vivendi(ヴィヴェンディ):メディア
カタカナは、日本で一般的になっている表記にしましたが、どうですか、いろいろありますね。CAC40には入っていないものの、政府がほとんどの株を保有しているAreva(アレヴァ)などという巨大な原子力複合企業もありますし、産業もそれなりにしっかりしていますね。フランスをビジネス面から研究してみるのも面白いのかもしれませんが、40社を記入するだけで疲れているようでは、どだい無理なようです(がっかり)。
投資コンサルタント会社“Proxinvest”によると、ユーロネクスト・パリ(旧パリ証券取引所)の主要40銘柄で構成されるCAC40(Cotation Assistée en Continu)に含まれる企業の経営者、その2009年における平均収入は、ストック・オプションなどを含め、306万ユーロ(約3億3,660万円)に上った。長引く不況の影響か、これでも前年に比べて14%減少した。しかし、それでも、最低賃金であるSMIC(salaire minimum interprofessionnel de croissance:全産業一律スライド制最低賃金)の190倍に達している(逆算すると、最低賃金の年収は16,105ユーロ。約177万円ということになります)。
高収入の経営者の中でも、そのトップ3は、ルノー・日産のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)会長が920万ユーロ(約10億1,200万円)、製薬大手サノフィ・アベンティス(Sanofi-Aventis)のクリストファー・ヴィバシェ(Christopher Viehbacher)会長が820万ユーロ(約9億200万円)、LVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長が760万ユーロ(約8億3,600万円)。(ため息しか出ないような額ですが)こうした高額報酬は、中小企業の経営者の収入とは似ても似つかぬものであることを、Proxinvestのレポートは指摘している。
中小企業の経営者の平均年収(2008年)は手取りで61,300ユーロ(約670万円)。2009年には不況の影響でさらに減ったものと思われる。中小企業総同盟(CGPME)によれば、サラリーマン社長・会長であるCAC40の経営陣の収入と、オーナー社長・会長である中小企業のトップのそれとの間には、抜き差しならぬ格差がある。
また、同レポートによれば、ここ数年、社会的問題ともなっていた経営者の収入に対する世論と企業側の意見の食い違いが、2010年には少し落ち着いてきたようだ。その背景は、2008年に多くの企業トップの年収が多すぎると非難の俎上に載せられて以降、経団連(le Medef)や私企業協会(AFEP)が倫理規定を導入したことだ。経団連のパリゾ(Laurence Parisot)会長にとっては、まさに革命的なことだった。市場もこうした透明性を好感した。そのお蔭か、CAC40の経営者の報酬はここ2年減少している。
しかし、“Proxinvest”によれば、まだまだ改善の余地があるということだ。特にボーナス。例えば、LVMHのアルノー会長の場合、算出基準となる三つの数値のうち二つが減少しているのにもかかわらず、前年同額のボーナスが支給された。ボーナスの半分が、数量ではなく不透明なクォリティによって判断されているため、こうした状況が生まれている。もう一点は、取締役になっていない会長の場合だ。取締役でないため、株主に公開する義務を負わず、不透明になっている。しかも、こうした立場の人へのボーナスに関して、フランスは他のヨーロッパ諸国に比べ寛大だ。一層の透明性が求められる。
・・・ということで、日本でも有名な経営者、日産のカルロス・ゴーンCEOがフランスの経営者の中でトップの高収入。しかし、この10億円を超える収入のうち、9億円近くは日産からの報酬。ルノーからはあまり多くもらっていません。そのため、企業トップの高額報酬には日本以上にうるさいフランスでも、多すぎるという非難が起きないのでしょうね。日本で質問が出た際には、世界的企業ではこれくらい当たり前の額だ、という一言で乗り切ってしまいました。経営トップとしての実務時間の配分も日産とルノーで9対1くらいになっていればいいのでしょうが・・・
ところで、文化大国、観光大国のフランスですが、ビジネスではどんな企業があるのか、なかなか日本では伝わってきませんね。そこで、CAC40の企業を眺めてみましょう。
Accor(アコー):ホテル
Air Liquide(エア・リキッド):化学・ガス
Alcatel-Lucent(アルカテル・ルーセント):通信
Alstom(アルストム):機械
Arcelor-Mittal(アルセロール・ミッタル):鉄鋼
AXA(アクサ):保険
BNP Paribas(BNPパリバ):金融
Bouygues(ブイグ):建設・通信
Capgemini(キャップジェミニ):通信
Carrfour(カルフール):流通
Crédit Agricole(クレディ・アグリコル):金融
Dexia(デクシア):金融
EADS(EADS):航空・宇宙
EDF(フランス電力):電力
Essilor(エシロール):医療機器
France Télécom(フランス・テレコム):通信
GDF Suez(DGFスエズ):ガス
Danone(ダノン):食品
L’Oreal(ロレアル):化学
Lafarge(ラファージュ):セメント
Lagardère(ラガルデール):出版
LVMH(LVMH)アパレル・宝飾
Michelin(ミシュラン):タイヤ
Pernod Ricard(ペルノ・リカール):酒造
PSA Peugeot Citroën(PSAプジョー・シトロエン):自動車
PPR(PPR):流通
Renault(ルノー):自動車
Saint-Gobain(サンゴバン):ガラス・セラミック
Sanofi-Aventis(サノフィ・アベンティス):医薬品
Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック):電気機器
Société Générale(ソシエテ・ジェネラル):金融
ST Microelectronics(STマイクロエレクトロニクス):半導体
Suez Environnement (スエズ・エンバイロメント):水道
Technip(テクニップ):石油・ガス
Total(トタル):石油・ガス
Unibail-Rodamco(ユニボール・ロダムコ):不動産
Vallourec(バロウレック):産業用機械
Veolia Environnement(ヴェオリア・エンバイロメント):水道
Vinci(バンシ):建設
Vivendi(ヴィヴェンディ):メディア
カタカナは、日本で一般的になっている表記にしましたが、どうですか、いろいろありますね。CAC40には入っていないものの、政府がほとんどの株を保有しているAreva(アレヴァ)などという巨大な原子力複合企業もありますし、産業もそれなりにしっかりしていますね。フランスをビジネス面から研究してみるのも面白いのかもしれませんが、40社を記入するだけで疲れているようでは、どだい無理なようです(がっかり)。