ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

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ベルギーから、国王退位の噂。

2010-10-28 20:33:01 | 政治
火の無い所に煙は立たぬ、と言います。ベルギーから届いた「国王退位」の噂には、信じるに足るどのような根拠があるのでしょうか・・・19日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。「噂の真相」や、いかに。

オランダ語を話すフランデレン地域とフランス語を話すワロン地域の対立は根深く、国を二分する論争はとどまるところを知りません。その激しさから、大幅な自治を認める連邦制へと1993年に移行し、今では連邦立憲君主国となっていますが、それでも不十分で、完全な分離独立を求める声が特にフランデレン地域から起こっています。

連邦制と言っても、国の政府(連邦政府)はひとつですから、組閣の際にはもめにもめる。特に2007年以降は、泥沼のような状態に陥っています。今年行われた総選挙から4カ月。新たな内閣ができていません。調停を行うのは、もはや国家としての最後の砦、最後の接着剤となっている国王。

しかし、現国王・アルベール2世(Albert Ⅱ)もさすがに疲れ果て、うんざりしてしまったのか、ベルギーがEU議長国の立場にあり(今年の7月から12月まで)、国内政局が表面上安定しているこの機会に、息子のフィリップ皇太子に王位を譲って退位したいと漏らしている、というのが今回の噂です。

ベルギーでは、王位の譲位というのはまれだそうで、前回は、1951年にレオポルド3世(Léopold Ⅲ)が、第二次大戦中の行動を批判され、その復位を巡って国を二分する大論争、挙句に暴動にまで発展したのを受けて、息子のボードゥアン1世(Baudouin Ⅰ)に王位を譲った例があります。

そのボードゥアン1世は1993年、スペインに滞在中に心不全で急死しましたが、子供がいなかったため、弟のアルベール2世が即位しました。しかし、アルベール2世に対する国民の一般的なイメージは、その息子フィリップ皇太子が即位するまでのつなぎ役。実際、しばらくは暫定王(roi de transition)と言われていたようですが、最終的に正式に国王として君臨することになりました。

しかし、度重なる政治の空白と混乱する政局、うんざりしてしまったのでしょう、譲位の噂が出てきたわけですが、こうした情勢に各政党はどう反応するのでしょうか。今年の総選挙で第1党になったフランデレン地域の新フラームス同盟(N-VA)は、元来、君主制に反対で、少なくとも国王の権限を極力小さくしたいと思っていただけに、もし国王が譲位すれば、その機に乗じて、念願の分離独立の動きを一気に加速するだろうと思われます。

とは言うものの、国王の存在は一般国民の間では、まだ過半数に支持されているだけに(特にワロン地域)、アルベール2世としても国家のさらなる混乱を招きかねない譲位は思いとどまらざるを得ないのではないか、と見られていますが・・・

アルベール2世は19日、政党間の対話が可能かどうかを確かめるよう、もはや何回目か分からないほどの同じ指示を出したそうです。しかし、それに先立ち、分離独立派の新フラームス同盟のデ・ウェーフェル党首はフランス語圏の4政党に敵意丸出しの声明を出しています。

ベルギーの混乱、いつまで続くのでしょうか。あるいは、本当に分裂してしまうのでしょうか。分離独立するにせよ、しないにせよ、あくまで話し合いで決めてほしい。内乱のような暴力沙汰にはなってほしくない・・・ベルギーには、「騒乱の国」よりも、「チョコレートとビールと小便小僧の国」が似合っています。しかも、EU本部のあるブリュッセルを首都とするベルギーだけに、その動向はEUのイメージや今後の動きに影響を与えずにはおかないでしょう。一カ国の内政問題では済ませられないと思います。ここは「欧州の知恵」の出しどころです。
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1 コメント

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Unknown (名前)
2013-07-05 08:51:06
3年後の昨日、ついに退位表明

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