ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

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“Adieu”か“I’ll be back”か・・・EU首脳会議のサルコジ大統領。

2012-03-04 20:50:00 | 政治
再開を期待しない別離の時には“Adieu”で、“Au revoir”にない重みがありますね。3月1日・2日にブリュッセルのEU本部で行われた欧州理事会が、サルコジ大統領にとっては、任期最後のEU首脳会議でした。大統領に再選されれば、再びやってくることになりますが、世論調査では、第1回投票での投票意向こそ社会党のオランド候補に肉薄してきたようですが、決選投票ではまだ大きく引き離されています。

ブリュッセルでの記者会見は、“Adieu”という挨拶になったのか、それとも『ターミネーター』のシュワルツネッガーよろしく“I’ll be back”という決意表明だったのか・・・2日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。

「私の声を今後も聞くために皆さんにできることは、私を再選させることです」・・・1日・2日に行われた任期最後の欧州理事会(le Conseil européen)を終えて、記者会見で、サルコジ大統領はこのように語った。大統領は、再選されない場合でも、欧州でのポスト、例えば欧州理事会議長とか欧州委員会(la Commission européenne)委員長といった職責を求めることはないと表明した。「心底から、そう思っています。いかなる場合にしろ、いかなる方法にせよ、現在も、将来においても、そうすることはありません」と述べた。

こうした声明には、背景がある。サルコジ大統領は、その前日、欧州理事会常任議長に再任されたヘルマン・ファン・ロンパウ(Herman Van Rompuy)のような控え目で妥協の術に長けた人物に取って代わることはできないと自ら述べている。「バローゾ(Jose Manuel Durao Barroso)委員長にしても、私は自分をなぞらえることはできません。国家元首という、まさに情熱を傾ける対象であり、困難も付きまとう責任ある地位で働くことの名誉や栄光に浴した後では、どんなポストも自分に相応しとは思えないものです」と大統領は続けて語っている。しかし、こうした発言は、まさに戦術的なものだ。すべてのメディアが世論調査で劣勢を伝えられているサルコジ大統領は新しいポストを探しているようだと伝えているが、そのことと全く逆の内容を述べたということだろう。

ブリュッセルで、サルコジ大統領は、あくまで大統領として振る舞った。候補者であるということを忘れさせることはなかったが。財務危機をせき止めた実績を持つ候補者、欧州の中心にいて、ヨーロッパを自分で思うように造り変えるには二期目がどうしても必要な候補者だ。彼が思い描くのは、財政・経済においていっそう統合されたユーロ圏、移民・通商・産業に関して再考を進める一種の連邦、ヨーロッパ連邦となるEUだ。

サルコジ大統領は、この記者会見で、欧州各国の財政を救済する基金の創設に関して意思表示をしない社会党を激しく非難した。30人ほどの記者を前に、形だけのオフレコで、「もし自分が左派だったら、恥ずかしくてたまらないでしょう。ミッテラン(François Mitterrand:元大統領)やドロール(Jacques Delors:元欧州委員会委員長)などといった偉大な欧州人のことを考えれば、左派と言えども彼らが判断を留保するとは思えません」と述べた。

ニコラ・サルコジが再選された場合、(イギリスとチェコを除く)EU25カ国が署名し、フランソワ・オランドがもし自分が当選したら再交渉すると言っている新しい欧州予算条約(財政規律条約)をどのように批准することになるのだろうか。サルコジ大統領は、「社会党はまた棄権することになるのではないか」と揶揄した。そして、「新しい条約は、欧州はそう簡単にはくたばらないと言う信念を呼び起こすに違いない」と述べた。

記者会見は反英国のとげのある言葉なくして終わることはなかった。キャメロン(David Cameron)首相は欧州経済を活性化することを目的とし、スペイン、イタリア、オランダ、ポーランドなど11カ国が共同署名した、自由主義的な新たな提案を携えてEU本部にやって来ていた。

12カ国の提案を自分の提案であるかのように語っているキャメロン首相に対して、サルコジ大統領は、「欧州各国が共通署名するほどに、イギリスが欧州を愛してくれていて満足しています。イギリスが条約に署名しないと決めた後に、キャメロン首相から書簡をもらいましたが、引っ込んでいるつもりはないという意思表示のようなものでした。欧州にイギリスは不可欠です、いつもはそう言いませんが」と述べ、イギリス人記者に(苦手な)英語で“We need you”と語りかけた。

・・・ということで、“Adieu”でも“I’ll be back”でもなく、いわばいつものようなサルコジ節と思えたのですが、『ル・モンド』の記者には、別れの言葉と聞こえたようです。何しろ、ご紹介した記事のタイトルが、“Les adieux de Sarkozy à Bruxelles”ですから。

ところで、何らかのポストなり、地位なりを辞する時、「立つ鳥跡を濁さず」と言いますね。『広辞苑』によれば、「立ち去る時は、跡を見苦しくないようによく始末すべきである。また、退き際はいさぎよくあるべきである」ということで、実践されてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 昭和18年(1943年)の秋、彼(ポール・クローデル)はパリのある夜会に招かれ、次のようにスピーチしました。
 「私がどうしても滅びてほしくない一つの民族があります。それは日本人です。あれほど古い文明をそのままに今に伝えている民族は他にありません。日本の近代における発展、それは大変目覚しいけれども、私にとっては不思議ではありません。日本は太古から文明を積み重ねてきたからこそ、明治になって急に欧米の文化を輸入しても発展したのです。どの民族もこれだけの急な発展をするだけの資格はありません。しかし、日本にはその資格があるのです。古くから文明を積み上げてきたからこそ資格があるのです。」
 そして、最後にこう付け加えた。「彼らは貧しい。しかし、高貴である」
(出典不明、ご容赦を)

そう、我らの先人たちは高貴であったのです。去り際も、潔かったのでしょう。そしてポール・クローデル(Paul Claudel:作家・外交官、1921年~27年に駐日大使)のスピーチから70年近く、今日、同じ日本社会をフランス人が次のように評しています。

 アンドレ・キャラビ(Andre Calabuig)氏は、1927年フランス生まれの84歳。同国ペンクラブの会員だ。日本では『目からウロコのヨーロッパ』などの著書がある。日本在住 40年以上の親日家だが、どうも最近、このニッポンで目に余る出来事が多い。マナー、お金、日本語、女性、子供……。そのキャラビ氏が、いまの日本人に向 けて、箴言集で発する痛烈な「キャラビズム」。さて、あなたはどう受け止めるか? 今回は、「政治」編である。
 * * *
●Les promesses des politiciens s’évaporent le lendemain des élections.
 政治家の約束は選挙の翌日には蒸発する!
(略)
●De nos jours les gens veulent avoir des droits,mais pas de responsabilités!
 最近、人間は権利だけを求めるが、責任は要らぬと思っている!
(3月3日:NEWSポストセブン)

ここで、ちょっと、思い出すのは、鴨長明の『方丈記』の一節。

 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。

時代とともに、人は変わっていきます。人が変われば、社会も変わる。仕方のないことです。ただし、どう変わるかが問題。よい所は残し、改めるべきは勇気を持って改める。そうしたいものですが、これが実践するとなると難しい。しかも、逆方向に進むのはたやすい、ときていますから、ますます世の中ままならないようです。
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