被災者の皆さんのご苦労は今でも多くのメディアが伝えていますが、福島原発については、若干、報道も減ってきているようです。収束へ向けて、順調に進捗しているのでしょうか。想定外の状況に立ち至らなければ良いのですが・・・
福島原発の事故は、技術力のある日本でも防げなかったと、多くの国々で、反原発運動に加勢する結果となりました。スイス、ドイツ、イタリアで、脱原発の方向になっています。しかし、原子力複合企業・アレバ(Areva)を擁するフランスは、サルコジ大統領自ら、原発の推進を表明しています。
しかし、一枚岩とはならないのが、個性の国・フランス。さまざまな環境団体があるように、反原発、脱原発の動きもそれなりに活発です。ただし、原発の後を考えずに、反原発のお題目を唱えれば良いとは思わないのが、理性の国・フランス。原発を止めるのであれば、代替エネルギーは・・・・
6月27日の『ル・モンド』(電子版)が、地熱の有効利用を呼び掛けています。
チェルノブイリや福島のような重大な事故は、我が国の産業界の将来に想いを馳せるすべての人々にとって、大きな衝撃となっている。原子力エネルギーの利用に伴い、多くの出来事や事故が後を絶たない。しかしチェルノブイリや福島は、その事故の重大性以上に、原発はもはや制御できないということを語っている。最も深刻な問題は、地域全体の放射能汚染だ。正常に機能している場合でも、原発は回収すべき廃棄物を発散させている。
例えば、プルトニウム239は、その放射能を半減するには24,000年必要だと言われている。24,000年前、人類はまだ旧石器時代を生きていたのだ。廃棄物を注意深く監視することが必要であるとともに、長期にわたって監視することが欠かせない。
イギリスのBrennilis原発は停止して26年になるが、汚染物質をどうやって処理すべきか、未だ方法を見いだせないでいる。将来の世代へ重荷として引き渡すことになるばかりだ。こうしたネガティブな面は、原発を盲目的に支持する人々によって否定、あるいは無視されている。
原子力の民間利用は、裏側に巨大な別の一面を併せ持っている。それは原子力の軍事利用だ。民生原子力と同じ原料、同じ技術で造ることができる。軍用原子力が我々の将来に大きな影響を及ぼすという考えは、より根本的な脅威となる。何しろ、この問題は人類の生存そのものに関わってくるのだから。廃棄される予定の核抑止力は、広島型原発4,000個分に相当すると言われている。アメリカとロシアが保有しているそれぞれの核兵器は、数回にわたって地上のものすべてを破壊し、取り壊し、焼き尽くすことができるという。核大国という意識はアメリカ、ロシアから重大な責任を担っているという意識を失わせてしまう恐れがあることを認めざるを得ない。
また、シェールガス(le gaz de schiste)に関しては、岩盤を破壊するために有害物質を使い続けることにより、アメリカの地下にある自由地下水に途方もない量の廃棄物を混入させているという問題が指摘されている。汚染は飲料に供されるべき水にまで広がっており、ニューヨークやバッファローでは市内でのシェールガスのための掘削を禁止しているほどだ。しかも、シェールガスは化石燃料の中で最もひどい汚染を引き起こしている。
こうして危険を伴う原子力やシェールガスがエネルギー源として利用されている中で、豊富にあるにもかかわらず、地熱エネルギーはすべての利用可能なエネルギーの中で今でも冷遇される存在になっている。フランスで地熱エネルギーが開発されているのはアルザス地方北部だ。5kmほどボーリングで掘り進むと、200℃の高温水に達することができる。300バールという気圧のため、この温度でも水分は沸騰しておらず、地表に近づいてはじめて沸騰する。沸騰した水の力で発電所のタービンを回して発電ができるのだ。
断層の上に位置するアルザス北部は、高温の水を容易に見つけることができる地域に属しており、この地域は火山地帯と一致する。アイスランドや他の国々が火山による地下の熱を活用して地熱発電所を作動させているのにはアルザス北部と同じ地理的背景がある。カリブ海にあるフランスの海外県、グアドループでは、火山が町の近くにあるため1kmも掘れば豊富な高温水が得られ、島で必要なエネルギーのかなりの部分をまかなうことができている。
火山から離れた地域では、地殻を1km掘るごとに温度は平均して25℃上昇する。5km掘り進めば温度は125℃になり、この温度の水ならタービンを回すことができる。
しかし、125℃の水も地表近くへ汲み上げられると数十度温度が下がってしまう。そのため、2~3km余分に掘り、200℃ほどの水温に届けば、地表に汲み上げてもタービンを回すことができる温度を保つことができる。こうして、無制限のエネルギーの海に達することができるのだ。しかも地熱エネルギーはあまりコストがかからない。掘削が済んでしまえば、U字型の大きな鋼鉄製チューブを敷設するだけで、腐食の心配のない高温の水と蒸気を地表まで汲み上げることができる。特に蒸気はそのままでタービンを動かすことができ、またチューブに断熱材を巻き付けることで、水温の低下を少なくすることもできる。
ロシアのコラ半島沖にある島では、ロシアの技術者たちが12kmまで掘り進むことができた。しかし、地熱発電所を稼働させるためにこれほど深く掘る必要はない。現在のボーリング技術を少しだけ向上させれば済む話だ。
とは言うものの、技術者たちが急ぎ解決すべく取り組んでいる技術上の課題はまさにこの点にある。人類はすでに航空宇宙における技術的難問に打ち勝ってきている。だがその分野では政治的意思が発揮されていた。一方、地熱利用には政治的決断がまだなされていないが、地熱用ボーリングは、海底でボーリングするほどには難問に囲まれているわけでないことは間違いない。
地熱発電は、環境汚染の心配がより少ないという利点も併せ持っている。地熱発電所は都市や産業集積地などエネルギー消費地域のすぐそばに立地でき、ロスをもたらす長距離送電を避けることができる。安全性は、ほとんど問題を起こしていない現行の火力発電所と同じレベルだ。
地熱エネルギーは、化石燃料の消費を抑えることにより地球温暖化という難問にうまく対応できるというも希望を与えてくれる。地熱など再生可能エネルギーの普及と現在のエネルギー大量消費システムに制限を設けることにより、より安定した経済を創り出すことができる。そして、投機家への依存度が低くなるため、危機に陥りにくい経済を実現することができるのだ。
・・・ということで、原発の代替エネルギーとして地熱に注目しようという提案です。地震の少ないことでも分かる通り、フランスには火山はあまりありません。それでも、地下の地熱を利用しようとしています。
その点、日本は、地熱天国。至る所に火山、温泉があります。こうしたエネルギー源を活用しない手はありません。
温泉を地熱エネルギーとして活用しようとすると、温泉で成り立っている地域、産業から反対が出ることが予想されます。しかし、鉱泉でなくとも、高温水なら出る地域がまだ多く手つかずの状態で残っているのではないでしょうか。温泉でなくとも、エネルギー消費地の近くで、高温水を汲み上げることができないものでしょうか。
火山国・日本には地熱がある。そして、島国・日本には波がある。波による発電も可能です。太陽光、風力・・・克服するべき課題はあるものの、日本は自然エネルギーの宝庫。国策として一時期太陽光発電を推進したように、国と企業が同じ目標を持てば、意外と早く実現できるのではないでしょうか。欧米の後塵を拝することもなくなるはずです。
原子力発電に投じた資金を回収しようとする電力会社、原発団体への天下りを当てにする官僚、原発絡みの利権に群がる政治家・・・技術的問題より、日本ではこうしたことが難問として立ちふさがっているのかもしれないですが、それでも、日本の将来、地球の未来を考えれば、自然エネルギーへ一日も早くシフトしていくべきなのではないでしょうか。
福島原発の事故は、技術力のある日本でも防げなかったと、多くの国々で、反原発運動に加勢する結果となりました。スイス、ドイツ、イタリアで、脱原発の方向になっています。しかし、原子力複合企業・アレバ(Areva)を擁するフランスは、サルコジ大統領自ら、原発の推進を表明しています。
しかし、一枚岩とはならないのが、個性の国・フランス。さまざまな環境団体があるように、反原発、脱原発の動きもそれなりに活発です。ただし、原発の後を考えずに、反原発のお題目を唱えれば良いとは思わないのが、理性の国・フランス。原発を止めるのであれば、代替エネルギーは・・・・
6月27日の『ル・モンド』(電子版)が、地熱の有効利用を呼び掛けています。
チェルノブイリや福島のような重大な事故は、我が国の産業界の将来に想いを馳せるすべての人々にとって、大きな衝撃となっている。原子力エネルギーの利用に伴い、多くの出来事や事故が後を絶たない。しかしチェルノブイリや福島は、その事故の重大性以上に、原発はもはや制御できないということを語っている。最も深刻な問題は、地域全体の放射能汚染だ。正常に機能している場合でも、原発は回収すべき廃棄物を発散させている。
例えば、プルトニウム239は、その放射能を半減するには24,000年必要だと言われている。24,000年前、人類はまだ旧石器時代を生きていたのだ。廃棄物を注意深く監視することが必要であるとともに、長期にわたって監視することが欠かせない。
イギリスのBrennilis原発は停止して26年になるが、汚染物質をどうやって処理すべきか、未だ方法を見いだせないでいる。将来の世代へ重荷として引き渡すことになるばかりだ。こうしたネガティブな面は、原発を盲目的に支持する人々によって否定、あるいは無視されている。
原子力の民間利用は、裏側に巨大な別の一面を併せ持っている。それは原子力の軍事利用だ。民生原子力と同じ原料、同じ技術で造ることができる。軍用原子力が我々の将来に大きな影響を及ぼすという考えは、より根本的な脅威となる。何しろ、この問題は人類の生存そのものに関わってくるのだから。廃棄される予定の核抑止力は、広島型原発4,000個分に相当すると言われている。アメリカとロシアが保有しているそれぞれの核兵器は、数回にわたって地上のものすべてを破壊し、取り壊し、焼き尽くすことができるという。核大国という意識はアメリカ、ロシアから重大な責任を担っているという意識を失わせてしまう恐れがあることを認めざるを得ない。
また、シェールガス(le gaz de schiste)に関しては、岩盤を破壊するために有害物質を使い続けることにより、アメリカの地下にある自由地下水に途方もない量の廃棄物を混入させているという問題が指摘されている。汚染は飲料に供されるべき水にまで広がっており、ニューヨークやバッファローでは市内でのシェールガスのための掘削を禁止しているほどだ。しかも、シェールガスは化石燃料の中で最もひどい汚染を引き起こしている。
こうして危険を伴う原子力やシェールガスがエネルギー源として利用されている中で、豊富にあるにもかかわらず、地熱エネルギーはすべての利用可能なエネルギーの中で今でも冷遇される存在になっている。フランスで地熱エネルギーが開発されているのはアルザス地方北部だ。5kmほどボーリングで掘り進むと、200℃の高温水に達することができる。300バールという気圧のため、この温度でも水分は沸騰しておらず、地表に近づいてはじめて沸騰する。沸騰した水の力で発電所のタービンを回して発電ができるのだ。
断層の上に位置するアルザス北部は、高温の水を容易に見つけることができる地域に属しており、この地域は火山地帯と一致する。アイスランドや他の国々が火山による地下の熱を活用して地熱発電所を作動させているのにはアルザス北部と同じ地理的背景がある。カリブ海にあるフランスの海外県、グアドループでは、火山が町の近くにあるため1kmも掘れば豊富な高温水が得られ、島で必要なエネルギーのかなりの部分をまかなうことができている。
火山から離れた地域では、地殻を1km掘るごとに温度は平均して25℃上昇する。5km掘り進めば温度は125℃になり、この温度の水ならタービンを回すことができる。
しかし、125℃の水も地表近くへ汲み上げられると数十度温度が下がってしまう。そのため、2~3km余分に掘り、200℃ほどの水温に届けば、地表に汲み上げてもタービンを回すことができる温度を保つことができる。こうして、無制限のエネルギーの海に達することができるのだ。しかも地熱エネルギーはあまりコストがかからない。掘削が済んでしまえば、U字型の大きな鋼鉄製チューブを敷設するだけで、腐食の心配のない高温の水と蒸気を地表まで汲み上げることができる。特に蒸気はそのままでタービンを動かすことができ、またチューブに断熱材を巻き付けることで、水温の低下を少なくすることもできる。
ロシアのコラ半島沖にある島では、ロシアの技術者たちが12kmまで掘り進むことができた。しかし、地熱発電所を稼働させるためにこれほど深く掘る必要はない。現在のボーリング技術を少しだけ向上させれば済む話だ。
とは言うものの、技術者たちが急ぎ解決すべく取り組んでいる技術上の課題はまさにこの点にある。人類はすでに航空宇宙における技術的難問に打ち勝ってきている。だがその分野では政治的意思が発揮されていた。一方、地熱利用には政治的決断がまだなされていないが、地熱用ボーリングは、海底でボーリングするほどには難問に囲まれているわけでないことは間違いない。
地熱発電は、環境汚染の心配がより少ないという利点も併せ持っている。地熱発電所は都市や産業集積地などエネルギー消費地域のすぐそばに立地でき、ロスをもたらす長距離送電を避けることができる。安全性は、ほとんど問題を起こしていない現行の火力発電所と同じレベルだ。
地熱エネルギーは、化石燃料の消費を抑えることにより地球温暖化という難問にうまく対応できるというも希望を与えてくれる。地熱など再生可能エネルギーの普及と現在のエネルギー大量消費システムに制限を設けることにより、より安定した経済を創り出すことができる。そして、投機家への依存度が低くなるため、危機に陥りにくい経済を実現することができるのだ。
・・・ということで、原発の代替エネルギーとして地熱に注目しようという提案です。地震の少ないことでも分かる通り、フランスには火山はあまりありません。それでも、地下の地熱を利用しようとしています。
その点、日本は、地熱天国。至る所に火山、温泉があります。こうしたエネルギー源を活用しない手はありません。
温泉を地熱エネルギーとして活用しようとすると、温泉で成り立っている地域、産業から反対が出ることが予想されます。しかし、鉱泉でなくとも、高温水なら出る地域がまだ多く手つかずの状態で残っているのではないでしょうか。温泉でなくとも、エネルギー消費地の近くで、高温水を汲み上げることができないものでしょうか。
火山国・日本には地熱がある。そして、島国・日本には波がある。波による発電も可能です。太陽光、風力・・・克服するべき課題はあるものの、日本は自然エネルギーの宝庫。国策として一時期太陽光発電を推進したように、国と企業が同じ目標を持てば、意外と早く実現できるのではないでしょうか。欧米の後塵を拝することもなくなるはずです。
原子力発電に投じた資金を回収しようとする電力会社、原発団体への天下りを当てにする官僚、原発絡みの利権に群がる政治家・・・技術的問題より、日本ではこうしたことが難問として立ちふさがっているのかもしれないですが、それでも、日本の将来、地球の未来を考えれば、自然エネルギーへ一日も早くシフトしていくべきなのではないでしょうか。