平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

原発危機一髪

2007年07月18日 | Weblog
7月16日に起こった中越沖地震の被災者の皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

赤十字を通して義援金を送ることができます。
http://www.jrc.or.jp/sanka/help/news/1247.html

郵便局の口座番号は 00510-5-26 です。

現在わかっている範囲で、この地震では343戸以上が全壊し、9人が死亡しました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070718-00000008-mai-soci

マグニチュード6.8で343戸の全壊にもかかわらず、9人という死者は、驚くほど少ない数です。亡くなった方、被災した方には申し訳ないのですが、本当に大難を小難にしていただいたという感が強くします。

今回の柏崎刈羽原発の事故について知ると、ますますその感を深くします。実は、今回の地震では、巨大な原発事故が起こる可能性がありました。

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原発の耐震安全性は根底から崩れた

2007年7月17日 原子力資料情報室

7月16日午前10時13分ごろ中越沖地震が起きた。この地震の揺れによって稼働中の柏崎刈羽原発4基が自動停止した。停止したのは2号炉、3号炉、4号炉、7号炉で、うち2号炉は定期検査の最終段階の調整運転のために原子炉を起動中だった。他は定期検査中で原子炉を停止していた。

震災にあわれた方々の苦痛はさらに続くだろうが、原子炉が緊急停止したのは不幸中の幸いというほかない。仮に停止に失敗していたら、放射能が大量に放出される原発震災に至る怖れもあった。

停止に続いて3号炉では外部電源を取り込む変圧器で火災が起きた。絶縁油が漏れ、何らかの理由で引火したためだろう。原因について詳細な発表はないが、漏れは地震により機器・配管に亀裂が入ったことで起きた可能性が高い。鎮火までに2時間近くもかかったのは、消火剤の調達に時間がかかったからといわれている。油火災への備えがなかったことは深刻な不備と言わざるを得ない。

変圧器が機能しなければ、外部電源喪失事故という特に沸騰水型原発では恐れられている事故となる。直ちに非常用のディーゼル発電機が起動することになっているが、この起動の信頼性は必ずしも高くなく、地震により起動しない恐れもある。炉心燃料は自動停止した後も高熱を発しているため冷却を続ける必要があり、これに失敗すると燃料は溶融して高濃度の放射能が環境に放出されることになる。場合によってはその後に爆発を伴うこともあり得る。それほど重要なことを内包する火災だったが、東京電力は変圧器が機能し続けていたか、非常用電源が起動したかなどの重要な情報を発表していない。

さらに東電は6号炉で放射能を含んだ水が放水口から海に放出されたと発表した。発表では6万ベクレルである。この発表がそのとおりとすれば、放射能による環境や人体への影響はほとんどないと言えるかもしれないが、そう言うには放射能の種類ごとのデータが不可欠だ。

また、漏れの原因については十分に調査されるべきである。使用済燃料プール水が揺れで溢れだした可能性は高いが、例えば、プールに亀裂が入っていることも、プール水循環装置からの漏えいも考えられる。このような場合、漏えいは止まらず、早急な対策が取られなければならない。水漏れから放射能の確認まで6時間近くたっており、原因究明が急がれる。使用済燃料プール水の溢れだしは地震のたびにおきていることからすれば、海への放出にまで至ったのは明らかな対策の不備である。

建屋内の情報が公表されないので被害状況が分からないが、機器や壁などがさまざまな影響をうけているに違いない。今回の地震の揺れは設計用限界地震(実際には起こらないが念のために想定する地震動)として想定した値を超えていた。東電の発表によれば、最も厳しい場合が1号炉でおよそ2.5倍に達している。今回の地震は東西30㎞、深さ25㎞の断層が破壊されたという。そして、原発建設時にはこの断層は検討されなかった。検討されていたのは20㎞も先の中越地震を起こした断層の一部だ。耐震設計の甘さが否めない。想定外の場所で想定を超える地震が発生したことから、陸域・海域を含め周辺の地盤や地層の十分かつ厳密な調査を欠くことはできない。東電はまずこれを進めるべきである。

2005年8月16日の宮城県沖地震、07年3月25日の能登半島地震、そして今回の中越沖地震、わずか2年ほどの間に3回もそれぞれの原発での設計用限界地震を上回った地震が発生している。原子力安全委員会は06年9月に耐震設計審査指針を28年ぶりに改定し、電力各社は既存原発に対して新指針に基づく耐震安全性チェックを進めているが、ほんらいはすべての原発を止めておこなうべきことであろう。原発を稼働しながら数年内にチェックを終えればよしとしている原子力安全・保安院の現在の姿勢は根本的に見直されるべきである。
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http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=550

原発事故でいちばん恐ろしいのは、原発の停電です。

「変圧器が機能しなければ、外部電源喪失事故という特に沸騰水型原発では恐れられている事故となる」。

「炉心燃料は自動停止した後も高熱を発しているため冷却を続ける必要があり、これに失敗すると燃料は溶融して高濃度の放射能が環境に放出されることになる。場合によってはその後に爆発を伴うこともあり得る」。

おかしな話に思えるかもしれませんが、電気を作っている原発は、他の電源によって動いているのです。地震で原発が停電すると、炉心の冷却ができなくなります。そうなると、これはチェルノブイリ原発事故のような大規模な爆発事故につながります。柏崎刈羽原発は世界最大の原発基地で、そこに蓄積されている放射性物質は、チェルノブイリ原発の数倍、広島・長崎の原爆の数百倍と思われます。今回、火災にまでなりながら、そのような大規模災害にいたらなかったのは、まさに「不幸中の幸い」、僥倖以外の何ものでもありませんでした。

想定最大震度6.5で耐震設計をしているところに、6.8の地震が起こりました。よくもこれだけの被害ですんだものです。これが7.5の地震だったら? 東電や政府首脳、そして日本国民は、自分たちが今回、「偶然」によって救われたのだ、ということを認識しなければなりません。でも本当は「偶然」などないのです。その背後には目に見えない「大いなる力」が働いているのです。その「大いなる力」が日本を救ってくれたのです。

しかし、貧弱な耐震設計で、いつまでも「偶然」に安全を頼っているわけにはいきません。

いくつもの断層が走っているこの地域には、過去から何度も大きな地震が起こっていますが、それは大自然からの警告ではないでしょうか。このような場所に原発を設置していてよいのでしょうか。柏崎刈羽原発は全面停止・廃棄したほうがよいと思います。

各電力会社は、今回の事故を徹底的に検証し、すべての原発の安全性を高めなければなりません。想定最大震度を大幅にアップしなければなりません。これまでもたびたび事故情報の隠蔽を行なってきた東電は、すべての情報を開示しなければなりません。

最終的には、原発というエネルギー源は放棄されねばなりません。放射性廃棄物の処理方法が確立されていないからです。省エネを進める必要があります。太陽光や風力や地熱や潮力などの自然エネルギーやバイオ・エネルギーなどの利用をできるだけ拡大する必要があります。ただし、こうしたエネルギー源には限界があります。いずれ宇宙空間のゼロ・ポイントフィールドから無尽蔵のエネルギーを取り出す科学・技術が生まれることでしょうが、それまでは現在の技術を改善して、大規模原発震災が起こらないように、原発の安全性を高めて利用するしかありません。

柏崎刈羽原発がこのまま長期間停止したら、冷房によって電力消費が増える夏場には、首都圏では電力不足が起こる可能性があります。原発は危険ですが、すぐに全廃することもできないのです。

完全に自然調和型ではないけれど、現在の原発の代替案として私が関心を持っているのは、古川和男博士が提唱するトリウム型「原発」です。この「原発」は、小規模で安全に運行でき、しかも環境中に放射性物質を放出する危険性がないし、核兵器の原料となるプルトニウムも作れません。理論も基本技術も完成していると言われています。政府や電力会社は、過去の行きがかりにとらわれず、この新しい「原発」の可能性を検証してもらいたいものです。


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