平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

耐震偽装隠蔽事件(2)

2006年10月21日 | Weblog
「きっこの日記」に、「安倍総理殿、国家に巣食う者を弾劾致します」という藤田東吾氏の新しい告発文が掲載されました。

ここでは、「エグゼプリュート大師駅前」という川崎市内のマンションの耐震偽装について告発されています。

藤田氏の主張によれば、このマンションは以下のように建設されたと言います(藤田氏の説明がわかりづらいので、整理して書きます)

(1)平成17年8月12日
 構造計算書などの書類が審査され、建築確認が降りた。
 確認済証番号 eHo.05.A-01003000-01号
 (構造計算の確認はイーホームズが行なったが、偽装を見抜けなかった)

(2)平成17年10月17日
 工事着工
 (当然、耐震性に問題のある設計図に基づいての工事)

(3)平成17年11月2日
 計画変更届けが出され、確認書が降りる。
 確認済証番号 eHo.05.A-01003000V-01号
 藤田氏は「この11月2日の計画変更は、杭の変更(現場造成杭から既製杭への変更)である。工事は10月17日に着手しており、杭の変更以外の建築計画は、当然に、(1)の確認図面通り進行しているものと考えるのが常識である」と述べています。

(4)平成18年1月24日
 再び、計画変更図面が川崎市に対して申請され、この計画変更の確認は同日付で川崎市が下ろしている。
 (この計画変更の内容はわかりません)

(5)平成18年1月26日
 川崎市が現場の中間検査を行い、合格とした。
 藤田氏は、「この規模の、中間検査とは、建物の2階部分の構造躯体までが終了した時点で行われる。よって、2日前に計画変更された図面が、現実の工事に反映されているとはまずもって考えられない。」と主張している。

(6)平成18年2月
 イーホームズは「上記建築計画の構造計算図書に偽装を認識しました。この通報を川崎市に行ないましたが、計画変更で処理したとして、それ以上の調査も追及もしませんでした。国に通報しても、関知しない、特定行政庁との間で処理してくれと言われました。田村水落が関与した多くの物件の再調査を行なうように、田中政幸課長補佐に電話で僕から話しましたが、国は動きませんでした。結果的に、構造計算が偽装されたままのマンションが、今では完成間近に到ってしまいました。被害を発生させ、拡大させてしまったわけです。」と藤田氏は主張している。

問題は、(1)の偽装されたままの構造でマンションが建設されたのか、(4)の計画変更で構造計算がやり直されて適法な構造になったのか、ということですが、それは、実際に建物を調べてみなければわかりませんが、常識的に考えると欠陥マンションである可能性が高いと思われます。

最大の問題点は(6)です。2月にイーホームズが構造計算の偽装に気づき、それを川崎市に連絡した時点で、川崎市は当然、工事をストップさせ、建物の耐震強度の再調査をするべきでした。ところが、川崎市は「計画変更」が出されているので、その必要はない、として何も行動しなかったのです。また、国土交通省住宅局建築指導課の小川冨吉課長と田中政幸課長補佐も何の対応もしなかったのです。

2月というと、姉歯物件の耐震偽造がまだマスコミの話題になっていたころです。そういう時期に別の物件で、話題のイーホームズによって耐震偽造が指摘されたのに、市や国は問題のマンションをなぜ調査しなかったのでしょうか? そのため、耐震性に疑念のあるマンションがほぼ完成し(平成18年11月完成予定)、42戸のうちすでに30戸以上が成約しているといいます。このマンションを買ってしまった人はどうなるのでしょうか? 入居前であることがせめてもの救いで、解約できれば最善です。

契約者がすべて解約したら、建築主の伸明ハウジングは大損失ですが、その賠償はどこに請求することになるのでしょう? イーホームズにはできませんね。偽装設計をした田村水落氏でしょうか? もちろん、藤田氏の告発が正しければ、田村氏は責任はまぬがれません。しかし、2月にイーホームズからの指摘があったにもかかわらず、何もしなかった行政側も責任をまぬがれません。

今回の藤田氏の告発がなければ、行政はこの疑惑マンションをそのまま買い手に買わせてしまうつもりだったのでしょうか? 入居のあとで耐震偽装が発覚したら、誰がその責任をとるのでしょうか? 姉歯とヒューザーに責任を押しつけたように、田村氏と伸明ハウジングに責任を押しつけるのでしょうか? それとも、黙っていれば、どうせ大地震が起こるまで誰にもわからない、起こったら起こったで、すべて地震のせいにすることができる、とでも考えていたのでしょうか?

行政が一般国民の生命と財産を守ろうとしないことは恐ろしいことです。これは不作為の悪ではないでしょうか? こんなことがいつまでもまかり通るようでは、誰も国を信じることができなくなります。

マスコミはこの問題をなぜ報じないのでしょう? 新聞・テレビはこの問題を徹底的に追求し、解明してもらいたいと思います。

こういう問題が徹底解明されるまでは、マンションは買わないほうがいいですね。