平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

マグダラのマリアの謎(1)

2006年05月27日 | Weblog
今週は非常に忙しく、ブログの更新もできませんでした。

『ダ・ヴィンチ・コード』に関連して、マグダラのマリアについて書いておきます。

『ダ・ヴィンチ・コード』のミソは、イエスとマグダラのマリアが結婚していて、二人の間には子供があったという説です。それでは、これが『ダ・ヴィンチ・コード』や、そのネタになったトンデモ本が最近になってでっちあげた妄想かというと、必ずしもそうとは言えないようなのです。

新約聖書には幾人かのマリアという名の女性が登場します。イエスの母はマリアです。

【処刑の場】
イエスの磔刑の場に立ち会ったのは、女の弟子たちです。男の弟子たちはみな、イエスの仲間だと見られるのがこわくて逃げてしまったのです。

それらの女性が誰であるのかというのは、福音書によって若干記述が違います。

「マタイ」によれば、「マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、ゼベダイの子らの母」がいました(27:56)。
「マルコ」では、「マグダラのマリア、小ヤコブとヨセの母マリア、そしてサロメがいた」(15:40)とあります。
「ヨハネ」では、十字架のそばに立っていたのは、「イエスの母と母の姉妹と、クロパの妻のマリアとマグダラのマリア」(19:25)です。
「ルカ」では具体的な個人名はありません。

イエスの母のマリアが磔刑の場にいたと述べているのは、「ヨハネ」だけです。これに対して、マグダラのマリアは、「ルカ」を除く3つの福音書で言及されています。

【埋葬の場】
「マタイ」では、「マグダラのマリアともう一人のマリア」が埋葬の場にいたことになっています(27:61)。
「マルコ」では、「マグダラのマリアとヨセの母マリア」がその場にいました(15:47)。
「ルカ」と「ヨハネ」では名前の記述はありません。

ここにもイエスの母マリアの名前はありません。

【復活の証人】
キリストの復活の証人になったのも、マグダラのマリアです。

「マタイ」では、「マグダラのマリアともう一人のマリア」が墓に来ます(28:1)。
「マルコ」では、復活のイエスが最初に姿を現わしたのは、マグダラのマリアに対してである、と述べられています(16:9)。
「ルカ」では、「マグダラのマリア、ヨハナ、ヤコブの母マリア、そして一緒にいた他の婦人たち」です(24:10)。
「ヨハネ」では、復活のイエスが最初に声をかけたのがマグダラのマリアです(20:14)。

いずれの場面においても、マグダラのマリアの名がいちばん最初にあげられています。これらの記述から、マグダラのマリアが、イエスにとっても初期キリスト教教団にとっても非常に重要な人物であったことが推測されます。