平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

割りばし

2006年05月09日 | Weblog
毎日新聞の2006年5月9日のニュースより――

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[割りばし]輸入先・中国が生産制限 弁当業界などに影響

 使い捨ての代表格として、国内で年間約250億膳(ぜん)が消費される割りばし。その9割を占める輸入先・中国が生産制限を決め、弁当や外食など関連業界に影響が出始めている。安さに飛びつき、国内生産地を切り捨ててきたツケとも言え、業界・消費者双方に農林業生産空洞化の問題を示す一例だ。【小島正美】

 “中国ショック”は2段階で到来した。最初は昨年11月、中国の輸出団体が「原木の高騰」などを理由に、日本割箸(わりばし)輸入協会(大阪市)に50%もの値上げを通告してきた。それでも中国産は1膳約1~2円。国産は同2~20円程度なので、まだ価格面の優位性は動かなかった。

 ところが今年3月、今度は中国政府が「森林保護」を理由に生産を制限し、将来的には輸出も禁止すると決めた。建築には使いづらいシラカバや他の間伐材を主原料にしているが、森林乱伐による洪水や砂漠化などが問題化する中、矛先の一つになった形だ。

 では、日本国内の状況はどうか――。実は20年前まで、割りばし生産量の約半数は国産だった。ところが90年代以降の低価格競争の波の中、安い中国産が急激に増え、気が付けば9割を超えるまでになっていた。

 国内の2大産地は北海道と奈良。高級品主体の奈良は今も命脈を保っているが、中国産と競合した北海道は壊滅状況だ。85年当時、北海道には生産会社が約70社あり、約1900人の従業員がいたが、04年現在で8社約40人にまで激減した。山口晴久・同協会広報室長は「このままだと、いつ割りばしがなくなってもおかしくない状況になってきた」と危機感を抱くが、一度減った生産量は簡単には戻らない。

 外食や安売り店には、既に影響が出ている。

 100円ショップなどに割りばしを卸すアサカ物産(東京都三鷹市)は、1袋80膳入りを50膳入りに変えてコストアップに対応し始めた。

 全国で約760店の居酒屋などを展開するマルシェ(大阪市)は年間約1500万膳を使ってきたが、2月からフランチャイズを含めた全店でプラスチック箸に切り替えた。さらに、直営の約250店では「MY箸」ポイントカードを作り、はしを持参した客には1回50円のポイントを付け、10ポイントで500円分の飲食をサービスするほか、50円を自然保護団体に寄付する活動を始めた。直営の居酒屋「酔虎伝・新宿三丁目店」(東京都新宿区)の石本千貴店長は「割りばし廃止への苦情はありません」と安堵(あんど)する。

 一方、コンビニ業界は「物流コストの削減などで吸収する」(セブン&アイ・ホールディングス)「しばらくは現状のまま」(ローソン)と、推移を見守っている状況。

 輸出禁止は本当にあるのか、あるとすればいつか。今後は中国政府の動きにかかっているが、山口室長は「弁当や外食なども、いずれ消費者がお金を払って割りばしを買う時代がくるのでは」と予測している。
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http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1938226/detail?rd

外貨を得るために輸出を増やしたい中国、安い商品を輸入したい日本――両者の利益があいまって、中国産の安い割りばしの大量輸入が行なわれてきました。しかし、そのツケとして生じたのが、中国の自然破壊と日本の林業と割りばし産業の崩壊です。間伐がなされず荒れたままの杉林は、花粉症の原因である花粉の発生源となります。短期的な経済合理性が、地球環境を含めた、より長期的、より大きな視点からの合理性――地球合理性とでも名づけることができるでしょう――に反するという例です。

森林の育成のためには、適切な間伐も必要だと言われています。間伐材を割りばしに使うのであれば、一木(?)二鳥ですが、中国では、大きな樹木まで割りばしのために伐採されてきたようです。
http://www.hokudai.seikyou.ne.jp/foodserv/waribasi/waribasi.htm

使い捨ての割りばし文化は、割りばしが国内森林の間伐材でまかなわれるのであれば、それなりの存続する意義はあるかもしれませんが、それができないのであれば、地球合理性に反します。割り箸の値段が高くなるのも、やむをえないでしょう。