平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

『ダ・ヴィンチ・コード』というトンデモ本(1)

2006年05月19日 | 最近読んだ本や雑誌から
『ダ・ヴィンチ・コード』という本が世界中で4000万部、日本だけでも400万部という大ベストセラーになっているそうです。そして、その本をもとにした同名の映画も作られ、日本でももうじき封切りになります。

この本や映画が今、大きな物議を醸しています。

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 【ニューヨーク17日共同】中絶反対運動などをしている米カトリック系団体「ヒューマンライフ・インターナショナル」のアイテナウア代表は17日、映画「ダ・ヴィンチ・コード」に抗議し、関連会社が映画を配給しているソニーの全製品の不買運動を映画公開に合わせ19日から始めることを明らかにした。
 不買運動がどこまで広がるかは不明だが、同団体の広報担当は「映画はカトリックを敵視している。世界のカトリック信者10億人規模のボイコットにしたい」と述べ、インターネットやメディアで参加を呼び掛けると話した。
 キリストが子どもをもうけ、教会はその事実を隠してきたという筋の同映画をめぐっては「うそと中傷に満ちている」などの批判が出ている。
 代表は「映画を機にソニー製品ボイコットを訴えるのはわれわれが初めてだと思う」としている。
(共同通信) - 5月18日12時36分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000089-kyodo-bus_all

本や映画のあらすじは詳しくは書きませんが、物語のもとになっているのは、「イエス・キリストはマグダラのマリアと夫婦関係にあって、両者の間には子供が生まれ、その子の血脈が現代まで続いている。その秘密をレオナルド・ダ・ヴィンチが有名な「最後の晩餐」の絵や「モナリザ」の絵に封印した」という思想です。

単なるフィクションと銘打っているのであれば、それはそれでかまわないのですが――それでもキリスト教諸国では大きなスキャンダルになるでしょう――、著者のダン・ブラウン氏が、「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」と宣言しているので、これはキリスト教徒にとっては見過ごせない問題になるのです。

実際、『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだり観たりした人の60%は、イエス・キリストには子供がいた、と信じているそうです。

私はキリスト教徒ではありませんから、イエスに妻子がいようがいまいが、どちらでもいいと思いますし、妻子がいたからといってイエスの偉大さにいささかも傷がつくとは思いません。仏教の開祖ゴータマ・シッダールタは妻子を捨てましたし、イスラム教の開祖ムハンマドも結婚して子供がいましたし、親鸞もあえて戒を破り妻帯し子供をもうけました。イエスの女性関係が事実なら、事実は明らかにされるべきです。

しかし、それが虚偽であるならば、そういう嘘を大勢の人々が信じ込むことは危険です。イエスが過去の人物であるとはいえ、イエスに関する虚偽の風説の流布、イエスに対する名誉毀損になります。

ダン・ブラウン氏がそれを「事実」として世界に広めるのであれば、それなりのしっかりとした根拠をあげなければなりません。ところが、ちょっと調べてみると、氏の叙述はまさに「トンデモ本」としか言いようがないものなのです。