Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

看護学校始まる。

2006年08月12日 | デンナースへの道
 といってもまだ医療デンマーク語講座だけなのですが。今日から始まってしまいました。Studie skolenから気持ちを切り替える間もなく、なのですが、始まっちまったものはしょーがなし。

 朝8時半、場所はHellerup sprog center(Hellerup語学センター)内の教室に集合とのこと。でも前日「送る」と言われていた案内の手紙が届かず、電話で伝えられていた場所へ直接向かうことに。行く前にインターネットで場所を調べてみると、なんとそこはヘレさん家へ向かう、老人ホームへ向かう時にいつも通る道(引ったくりに遭った現場の道沿いでもある)でした。
 そこを通るたび、「あの建物はなんだろう?」とは思っていて、外観からして何かの企業だろう、と思っていたのですが、でもそこはミッション系の老人ホーム、ホスピスなどが集まった場所でした。重ーい木のやけに頑丈なゲートのような門(ご丁寧に門番のシスターもいる)を抜けて中に入ると、外の大通りからは隔離された、自然いっぱいのエリアが広がります。公園のような、庭のような。とてつもなく大きな木がいくつも並び、よく整備されたその庭?の中にはレンガの建物が何棟もぐるりと囲んでいます。
 とにかく広大な敷地の中は、雨がしとしと降っていたこともあり妙にひっそりとしていて、しかもナイチンゲールのようなかーなーり古風な格好をしたシスター達が建物の中でなにやら働いているのが窓から見えたり、なんだかちょっと「世にも奇妙な物語」的不思議な怖さがありました…。語学センターのオフィスで案内された通りに教室へ行くと、そこはなんと薄暗い地下。不気味さ倍増です。

 教室へ行くと、クラスメイトが既にそろっていました。今回のコースではクラスメイトは8人。一人は今日来なかったのですが、他はタイ人(在デン5年。母国で看護大卒、助産師資格保有。デン語最高レベルのStudie Proevenにも合格しているという超頭いい人。デン人男性と結婚していて2才半の双子の母。)、フィリピン人(在デン8年、デン人のような完璧なデン語を話す。デン人男性と結婚し、老人ホームや訪問看護のヘルパーとして働いていた)、オーストラリア人(在デン3年?、豪人のだんなの仕事でデンマークへ。母国での看護師キャリアは10年近くだけど、デン語が苦手なのでデン病院の採用まで届かず。)、イラン人(米人のだんなさんと共に在デン5年?。美人で頭よさそう。)、イラン人(在デン5年くらい?。なぜかデンマークの永住権を持っており、コミューンからの援助でラボの看護助手として働いていた。母国での看護師経験は1年ちょっと。)。
 そして!出ました!今回も難ありな人物が!ボスニア・ヘルツェコビナ出身の女性。悪い人ではなさそうなのですが、どうにもこうにもしゃべりすぎ。彼女がしゃべりだすとほぼ「ワンマンショー」状態。しかもなんだか奇妙な一人芝居(時には一人3役とかで)でしゃべるしゃべる。ロシア語系巻き舌の発音で語る語る。どこで息継ぎしてるんだろう?というくらいだーーーーーっとしゃべり続けるので、集中して聞いてるとこちらの方が窒息しそうです(誰かに「あなた早口よね」と言われ、「早くしゃべるように心がけているんだ」と応えていた。何のために…)。彼女はきっと誰かに止められるまで、一生しゃべり続けていることでしょう。
 今日も「なぜ看護師の道を選んだか、何が看護師を続ける上で支えになっているか」というお題で一人一人しゃべる時も、彼女はまず初めに、やや含みを持たせた言い方で「なぜ私が看護師を選んだか…それは、まず私の幼少時代の頃からお話ししなければなりません…(以降15分間のワンマンショー)」と、私の全集中力を80%消費させる語りを続け、もう、ヘトヘトです。しかもそんだけ語っててもイマイチ何が言いたいのかよくわからない。長々話すうちに脱線してテーマはいずこ?な状態へ。誰か止めてーーーー!!
 後半、彼女の語りを聞くのも諦め、ぼーっとしながら彼女のタイムを計っていると、なんと一発言毎にだいたい10分は話してくれます。のんびりな語りででも長いと感じるけど、マシンガントーク(その上よくわからない)です…。

 しかも、彼女の脱線話からなぜか「ここが変だよデン医療&ナース!」という話に火が付き、クラスメイトみんなでデン医療&ナースのバッシング大会に。デン人の先生一人それを黙って聞いており、ちょっと気の毒。語学学校ではよくありがちな展開ですが(デンマークバッシングとか)、そして今回も含めいつも思うのですが「じゃあなんでみんなここにいるの?」って…。自国を誇るのはいいけれど、デン人相手にそこまでぶつけるのもどうなのかと。

 とにかく、クラスメイトはタイ人の女性以外みんな私よりだいぶ年上で、しかも在デン歴も長い。デン語もよくしゃべれる人々だし、ラテン語の医療用語もなぜかみんなよく知っています(英語圏では英語とラテン語ほぼ同じなのでよくできて当たり前だけど)。PD3というデン語検定に受かってないのは私だけ、デンマークでの福祉&医療現場での労働経験がないのも私だけ。すべてにおいてビリです。
 ディスカッションをしていて拒食症とか、肝炎とか、耐性菌とか結核とか(微妙にラテン語だけどデン語な言葉もあり)、わからない言葉だらけで、その都度「それ何?」と恥を忍んで聞かねばなりません。ビリなんだから恥も何もないんだけど。

 ちなみに今日のグループワークでの問題は、
1、ヨーロッパで最も多い疾病は?
2、ヨーロッパで最も多い死亡原因(疾病)は?
3、1の原因は?
4、かつて病気は完治するまで入院することが当然だったが、それがなるべく早く退院へ向けるようになったのはなぜ?
5、毎年約3百万人が結核に感染しているのに、エイズの方が重大だと扱われるのはなぜか?
6、あなたの母国とデンマークの治療方法などでの違いはありますか?
7、風邪に対し、医師がペニシリン(抗生物質)投与するかの様子を見るのはなぜか?
でした。
 頭ではわかってるので、日本語でだったらいくらでも説明できるような簡単なことなのですが、それがデン語となると…。しかも例のボスニア人のトークのせいで割り込む隙もありません。初日から存在感薄い私…。ラテン語やデン語もだけど、まずはディスカッションに加わる(もしくは強引に割り込む)術を学ばなければならないかもです。でも日本人として(?)他人を押しのけてまでしゃべりたいとは思わないのよね…。

 学校が始まる前は「同職種で、同じ外国人で、同じ目的で、すごくいい友達ができるかもしれない」と期待していたのですが、まだ初日だけどちょっとそんな雰囲気でもなく、ちょっと残念(私以外はみんな年が近いのでけっこう打ち解けてるけど)。Studie skolenが懐かしい…。

 8月中はこのミッション系の建物内での医療デン語の授業のみですが、9月からはもっと中心部に近い国立病院付属看護学校での授業が始まり、そして12月には臨床実習(半年間)が始まる予定です。