Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

引ったくりに遭いました。

2006年08月01日 | わたくしごと
 日曜日、早朝7時からの老人ホームバイトに自転車で向かっていて、大きな交差点で信号待ちをしていた時、一人の中東系の女の子が「Vesterbrogadeという道はどっちですか?」と聞いてきました。それはコペンハーゲンの街中の大きな道なので、そんなのをなんで外国人の私なんかに聞くんだろう?とちょっと不思議に思いつつ、正反対の道だということを説明すると、「他の人にはあっちだと言われたんだけど」と彼女が指し示した方を向いた途端、彼女が自転車のカゴに入れておいた私のカバンをひったくって走って逃げました。一瞬何が起きたのかわからず、「ちょっと!それ私のカバン!」と叫ぶも、こっちを振り向きもせず10mくらい前方に止まっている仲間の車に向かって走り、私も自転車を捨てて「助けて!」と必死に叫びながら走って追いかけたのですが、彼女は車に乗り込み、そのまま車は走って逃げてしまいました。

 早朝6時半、周りには車も人もほとんどおらず、たぶんそういう時間帯を狙ってのことでしょう。車が走り去った後愕然としていると、交差点横のアパートの住人で、一部始終を見ていた女性(出勤前だった)が来て、「警察に電話しようか?」と言ってくれて、パニックだった私はそこで泣き崩れてしまい、それを彼女はハグして「大丈夫、悪いことはすぐに過ぎるから…」と慰めてくれ、そして彼女のアパートへ行って警察へ電話をしました。
 でも警察にはなかなか電話がつながらず(盗難窓口やら窓口が色々あってたらい回しにされる)、結局警察署へ向かった方が早いということで彼女が付いて来てくれると言ったのですが、彼女も出勤前だし、私もまずクレジットカードを止めたりしなければならなかったので、彼女にお礼を言って別れ、家へ戻りました。

 家へ戻ってからはまずカード会社に電話し、カードを止めた上で引き落としがされていないか確認し、続いて銀行のキャッシュカードも止め、そしてヨナスに警察へ電話してもらいました。私は逃げた車のナンバーを覚えていたのでそれも伝え、一通りの手続きを電話で終えました。
 老人ホームにはひったくりに遭った事を電話で伝えていたのですが、休むとは伝えていないので仕事へ行かねばならなかったのですが、同じ道をまた通って行くことも、犯人と同じような中東系の、やっぱりちょっと不良っぽい若者がたむろしているノアブロ駅から電車に乗って行くこともできず、しかももう、ショックとストレスで腹痛胃痛めまいで動けず、非常識で大迷惑とは思いつつ、でもどうしても休まずにはいられませんでした…。

 その後横になって休んでいる間も、たびたび警察からどんな人相だったかなど確認の電話がヨナスの携帯にかかり、それの対応に追われ、それも一段落し疲れでうとうとしていると、今度はまったく知らない女性から電話がかかってきました。
 なんと彼女は、朝近所をランニングしていた時、道ばたに私のカバンが捨てられていたのを見つけ、中に入っていた手帳の、アドレス欄のヨナスの名前と番号を見て電話をくれたのでした。電話を切って彼女の家まで引き取りに行き、中身を確認すると、案の定、現金とバス回数券、古い定期、携帯、キーケース、そしてi Podが盗まれていました。
 でも幸いなことに、財布とクレジットカードなどはそのまま残っていたし(止めたので使えないけど)、携帯も私のは通話料が無くなったらチャージしていくタイプなので、買った分以上に使われることはないし、本体もスーパーで購入した超安物です。i Podだって初期のめちゃくちゃ古いのだし、音楽データはPCの中にあるし、現金だって100kr(2千円くらい)しか入っていなかったので、被害は最小限だったと言えます。
 これが日本だったら、もしくはもうちょっと知能のある犯人だったら、カードやIDを悪用されかねないのですが、これまた幸いにも彼らは単純な物取りだったようで、カードを銀行などで試した様子もありませんでした。
 
 私は今回、つい焦ってひったくりの犯人が逃げるのを追いかけてしまいましたが、冷静に考えてそれも非常に危なかったなと。あの時、彼女が車に乗り込んだ時、車にもっと近づこうとしたのですが、もうどうしようもないという諦めで近づくのをやめると同時に、もしこれ以上近づいたら黙らせるためにひかれるかもしれない、もしくは中に座っている大きな身体の男が出てくるかもしれない、ナイフなど出して来るかもしれない、という不安がよぎり、もしそうなったら物を盗られた程度じゃ済みません。悔しいけど、でも命あってのことだし、抵抗しないに限るのかも…。そういう意味で、今回私は生まれて初めて「殺されるかも」と本気で感じました。そして、今こうして家で座っていてもその思いがずっと離れません。

 端から見ればよくありがちなひったくり事件だし、怪我をさせられたわけでもないし、物もだいたい返って来たんだから幸運と言う他ないんですが、もう完全にトラウマ完成です。

 その日の夕方、前々から会う約束をしていたお友達に会うため、具合もだいぶ良くなったし、街中へ行って来たのですが、その帰り道、沿道を中東系の店がずっと並び、やはり中東系の通行人が、犯人と似たタイプのちょっと不良っぽい若者もいる中、お友達と歩いて帰って来たのですが、ものすごく怖かった。なんでそんなに怖いのかわからないけど、とにかく怖い。またふっとした隙にカバンを盗られるような、そんな気がして神経質になっています。目が合う人みんなが怖い。犯人の女の子に似たちょっとギャルっぽい、ティーンエイジャーっぽいデンマーク人の女の子でも怖い。
 家に帰って来てからも、窓が閉まっているのに誰かが入ってきそうで怖い。鍵を盗まれていても私の住所は知らないはずだから、追いかけてくることもないだろうけど、でも不安。コペンハーゲンは狭いし、事件があった場所も家からそう遠くはないし、なによりそういう若者が多く住んでいるエリアなので、またいつ出会うかもしれない、警察に早く捕まえて欲しいけど、でも捕まったことで逆恨みされて、出会った時に何かされるんじゃないか、とか妄想膨らみ過ぎと思ってはいても止まらないのです。ぼーっとしていると話しかけて来た時の犯人の女の子の、不自然に無表情な顔とか平坦な声がずーっと頭から離れないし、そうして考えているとものすごく気分が悪くなる。お腹も空いてるはずなのに食欲も湧かない。
 今週は連日早朝出勤ですが、老人ホームへ行くにはどうしても危ない、暗い駅から電車で行くか、自転車で同じような道を通って行くしかありません。ちょっと道を変えたところで、住んでいるところが住んでいるところなので、あまり代わり映えはしないし、早朝の人気がないのを狙った犯行なので同じことです。ああ…、ものすごく嫌だ…。

 前は、若者や移民系若者に「中国人!」などとからかわれても、日本語で言い返したりしていましたが、もうそういうことも今後出来るかどうか。人を見た目やなんかで判断することはいけないし、みんながみんな悪いことはないとわかってはいるけど、どうもまだそんな気分になれません。
 物を盗られたというショックではなく、こういうことが自分にも起こりうるんだというショック、別に信じていたわけでもないけど、周りの人(特に外国人)をもう信じられないことで生じる恐怖感、そしてそういうエリアに住んでいるということ、自分がひったくり程度でここまで動揺するとは思いませんでした。

 とにかく、コペンハーゲン(および他の地域も)にお住まいのみなさま、自転車のカゴの荷物には十分気をつけて下さい。そして他の老人ホームのスタッフ(みんな早朝出勤をするので)も言っていたのですが、早朝は人気がないことからこの手の犯罪が多いのだそうです。特に土曜日曜など週末の早朝は、飲んだ帰りの酔っぱらいが破壊行為に及んだり(よくバス停や街頭掲示板のガラスが割られているのはそういう人達の犯行が多い)、絡んで来たり、このように引ったくりだったりが頻発し、警察も夜ほどパトロールをしていないので危険度は夜より高いかもです。みなさんも十分に気をつけて下さいね!

 あと どうか、これを読んで下さっているお友達(と思って下さってる)のみなさま、今回の事件でみなさんの携帯および自宅番号がすべてなくなってしまったので、申し訳ないのですが、もう一度教えて下さい。

こちらへ→solvej45@hotmail.com