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Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

Oline

2006年03月18日 | デンマークっぽいもの
 毎朝、キッチンで顔を洗ったり朝ごはんの支度をしながらDanmarks Radio(通称DR)を聴いているのですが、6時55分頃から流れる小コーナー「Oline」が私は大好きです。

 これは5~6才の子供達がテーマにそって語っているのですが、テーマの選び方がおもしろいのと、子供達のどこからとびでるかわからない意外な発想、かわいいしゃべり方に「ふふ」っとつい顔がゆるみます。

 以前これで語っていた女の子は
「でも、そんなもんだよ…(Ja men...saadan er der jo, altsaa...)。私お菓子が嫌いなの。キャンディーとか色がいっぱいで、チョコレートとか黒いし、みんな甘くって、食べるとウッてなっちゃうの。お誕生日会とか学校とかで時々お菓子をもらうんだけど、食べてみるとやっぱりウッてなんて、内緒でトイレに行ってべって出すの。みんなおいしそうに食べてるけど、私は好きじゃない。でも…そんなもんだよ…。」
と、ぼそぼそとたどたどしく語っていて、最初と最後に「でも、そんなもんだよ」とそこだけ妙に大人っぽくくくっているのがなんともかわいかったです。たぶん両親かなんかの口癖なんだろうな…。

 そして今朝は「国旗」がテーマだったようで、子供達がいろんな解釈をしているのがまたおもしろかったです。

「国旗は誰かが家にいるときにそれがわかるようにするんだよ。あとは旅行に行く時に持っていったり。」
「外国で国旗が燃やされてるよ。だってみんなデンマークに怒ってるから。デンマークが描いた絵が上手じゃなかったから。」
「外国で私達の国旗が燃やされてるの。だって他の国の国旗はもっとずっとかっこ良くてすてきだもの。私も他の国の国旗の方がすてきだと思う。」
「もしも国旗がなかったら、お誕生日会のとき困る。」
「外国でたくさん国旗が燃やされちゃったけど、それでもデンマークにはまだたくさん国旗があるよ。」
「国旗は大切だよ!国旗がないとここがドイツだと思われちゃうもん。」

 風刺画問題でのデモで、TVでもデン人の心である国旗が燃やされていたりという映像があれだけ流されていたので、子供達はそれなりに思うところはあるようで、今回そのデモに関することを話す子が多かったです。デンマークの子供にとっては国旗=お誕生日=うれしいめでたいものなので、でもナショナリズムや表現の自由やら民主主義なんて触れもしない子供達の言葉はとてもすなおというか、そのまま、です。(最後のドイツ発言の子はドイツ国境近く、南ユランの子なのか。親に何か吹き込まれたのかもしれませんが…)

 国旗をとことん純粋に愛して、自由にどこででも飾りまくり、うれしい、幸せのシンボルと思ってるデンマーク人。子供たちも然りでしょう?アホな新聞社やジャーナリスト、政治家の大人達はそういう子供たちの気持ちも考えて、ほんと、これからはもっと気をつけてよね、と思いました。

Depeche Modeコンサート in Parken

2006年02月28日 | デンマークっぽいもの
 土曜日にヨナスが心酔してやまないDepeche Modeのコンサートへ行ってきました。

 私は日本にいた時からどちらかというと邦楽よりも洋楽派だったので、いちおう世界の有名バンドの名前くらいはだいたい知っていたのですが、このDepeche Modeのことはヨナスから聞くまでまったく知らず、しかもかなり有名だということも全く知りませんでした。日本でも有名なのでしょうか?
 初めてヨナスに聞かされた時、「うわ!なんだこの80年代サウンドは!」とちょっと恥ずかしい感じさえするほどで、そんなサウンドがまだ生きてるどころか「大人気」というのがまた驚き、ヨーロッパに来てのカルチャーショック?の一つでもありました。

 で、コンサートはデンマーク1大きなサッカースタジアムParkenで行われたのですが、これがすごかった。
相当大きな会場で、私達の場所はピッチではなくスタンドの上方だったのですが、開演の頃にはステージ以外の全てのスタンドおよびピッチが人で埋まり、ものすごいことになってました。こんなにデンマークに人が集まってるのなんて見たことありません。と思ったら会場内でけっこう外国語(英語やスカンジナビア言語など)で話している人もいたので、たぶん近隣の国からコンサートにきた人もあってものすごい人数になっていたようです。ちなみに今日読んだ新聞では観客動員数は40000人以上だそうです。ひえー。

 で、感想ですが、彼らとっても歌がうまいらしく、そのままCDを聴いてる感じでした。ヨナスが持っているアルバムにもライブ版というのが何枚かあり(DVDまである)、それをそのまま聴いている感じで、時々「本当にこれは本物のDepeche Modeのライブなのだろうか…?CD流してんじゃないの?」という疑惑も生じましたが、かなり大掛かりなバックモニターで凝った映像を流しており、そこで一応本人達の顔を確認することはでき、そしてとおおおくに見える実物の彼らのアクションも矢沢永吉のようにでかいので(男くさいところもYAZAWA風だった…)、かろうじて「どうやらあれは本当にDepeche Modeらしい」とわかったので、まあよかったです。

 が!!毎度毎度毎度デンマークでコンサートに行くたびうんざりするのが、
1、デンマーク人酒飲んで酔っぱらい過ぎ。
みんな売店で700mlくらいのカップの生ビールを5つは買って来ています。(おかわりする人多数)そしてそれに付随して…
2、デンマーク人音痴なのに歌い過ぎ&間の悪い(最悪と言ってもいい)かけ声(雄叫びと呼んでもいい)発し過ぎ。
この日、私の後ろにいた人はずっとレイザーラモンのごとく「フォオオオオオオオオ!!!!」を連発(しかも間とか考えなし)。耳を塞ぎつつ音楽を聴く羽目に。
3、デンマーク人タバコ吸い過ぎ。
この日Parkenの天井は閉まっており(-2℃で極寒のため)、とっても広い会場に関わらず熱気&タバコの煙でもくもく、非常に空気が悪かったです。あんな大人数で密集している場所なのに、酔っぱらってるのでタバコ持ったまま踊り狂い、危ないったらありゃしないです。私がアーティストなら絶対コンサート会場は禁煙にします。

 というわけでデン人オーディエンスのせいで、いいコンサートだったのに集中できず、最後の方は早く外に出ることだけ考えてました。え?ヨナス?彼はもーう大満足でしたよ。始終棒立ち(たぶん感動し過ぎて動けなかった)でステージを凝視してましたが。このコンサートで縦ノリなヨナスを見れるかと思ってたけど、やっぱりそこはかとなく禅なヨナスでした。今度クラスメイト達とサルサへ行くのですが、その時のヨナスがDepeche Modeより見物かも?!

DDC&市庁舎探訪

2006年02月18日 | デンマークっぽいもの
 朝目が覚めたらまた雪景色の今日、学校は運良くお休みで、週末課題もなく、ヘレさん家も冬休みでスウェーデン旅行に行ってて、ひさびさにのんびりできる日だったので、ヨナスとDDC(Danish Design Center)で行われている、「日本のデザイン展」へ行ってきました。

 主に1970年代後半からの日本のデザイナーズチェアと小物の展示で、まあ、入場料無料なら見に行って「へ~」くらいの感想が持てる展示でしたが、40kr(約800円)払って見に行った感想は「超しけてる」です。展示といっても1ブースだけ、ただ椅子がならんでるだけ(しかも座れない)、説明書も何もないに等しいほどのさっぱり具合。他の展示はノルウェーのまとまりのない生活用品などでしたが、こちらもとってもおさびし~感じでした。
 私の大好きな、デンマークが誇る彫刻家トーヴァルセンの美術館は、広~い建物2階+地下までで見応え十分なのに入場料たったの20kr!DDCなんてトーヴァルセン美術館のワンフロアにも満たないのに倍の値段取るとは…ぼったくりだ!DDC内のカフェで「本日のランチ」が120krというのもなめてます。ちょっとおされ人気取りの人々が、おされ風にカフェオレ飲んでいるのもちょっと気恥ずかしい感じです。

 お腹空いたというヨナスをDDCから連れて出て、我々が向かったのはストロイエ入口のバーガーキングです。昔、高校の担任が北欧旅行をした時、「北欧のバーガーキングはさすが、キングな大きさだったよ!日本のバーガーキングとは大違い!」と興奮して言っていましたが、時代が変わったのか、初めて食べたデンマークのバーガーキングのハンバーガーは、日本のとほぼ同じサイズでした。

 そうそう、DDCからバーガーキングに向かう途中、コペンハーゲン市庁舎内部に初めて潜入してみました。あの赤煉瓦で古めかしい外観が好きだったのですが、内部はもっとクラシカルでかわいかったです。

 


 通路もこのようにアーチで中世っぽい柄が。


 そして市庁舎裏口の廊下はこんな吹き抜けに。こんなところで働けるなんて、ちょっとすてきです。

「パパがママを殴った時」

2006年02月01日 | デンマークっぽいもの
 これはデンマークのある団体が、Domestic Violence(家庭内暴力、主に夫から妻)を受けている母親を持つ子供に向けて作った絵本です。この絵本の監修などしているのがヘレさんの属する牧師団体だそうです。ちょっと日本では目にしたことのない、珍しい本なので(私のつたない翻訳でですが)ご紹介したいと思います。

 「リーネは震え、とても落ち込んでいます。時々彼女のパパはとても怒り、怒鳴りながらテーブルを叩いたりするのです。そして時々、パパは彼女のママを突き飛ばしたり、顔を殴ったりもします。
 昨日は特にそれがひどく、ママはパパに殴り倒され、ママはパパにむかって泣きわめいていました。するとパパはまたママを殴りママはもっと泣くので、リーネも泣きながらやめてとパパに叫びました。しかししばらくして近所の人が来てベルが鳴ると、パパは出て行ってしまいました。
 いつもがこんな風ではありません。普段はまったく普通の家族なのです。でも時々、昨日みたいなことが起こるのです。リーネはパパのことが大好きです。でもそれはママを殴る時以外。パパが怒るときはとても怖くて、それはどんな怖い映画よりもずっとずっと恐ろしいです。
けんかをするのはなぜ?パパが殴るのはこどものせい?

暴力ってなに?
 大人は時々けんかをします。彼らは悪口を言い合うこともあるけど、それでもまた仲直りもします。あなたも親友とけんかをすることがあるでしょ?でもまた仲良しに戻るでしょ?けんかをして仲が悪くなるのは大人も子供も同じ。
 でも時々、けんかをしててパパがママを殴ることもある。パパがママを壁に叩きつけたり。それは本当に痛いこと。もしかしてそういうのをみた経験、あなたにもある?
 パパや、もしくはママの彼氏がママを傷つけるのは間違っていることです。けんかをするのはいいけど、絶対に傷つけ合ったりしちゃいけない。殴ってやるぞ!と脅すのも、殴るのと同じくらいいけないことです。
 パパやママがけんかをしたり、ママが殴られるのはパパとママの間の問題で子供のせいではありません。子供がなにか困っている時、誰かに相談して助けてもらうのと同じで、そういう時、パパとママも誰かに助けてもらわないといけません。

 「ネイサンはパパが怖くなり、ママが泣いているのを見るのはとても悲しかった。ネイサンはお腹が痛くて、友達と遊びにいくこともできません。今、彼は窓辺に座ってただ外を見ています。もう彼はなにも絵を描くことが出来ない、頭の中の楽しいことはみんなどっかへ行ってしまいました。時々、彼はこんなことを考えています。どこか温かいところへ行きたい、そこは夏で、ママとおいしいアイスを食べるの、パパが来れない遠い、そんなところへママと引っ越そうって。
 でもやっぱりパパもかわいそうとネイサンは思うのです。もし僕とママが出て行ってしまったら、パパは一人ぼっちになっちゃう。どうやってパパはごはんを食べるの?パパはごめん、もう二度とママを殴ったりしないからと謝っていたけど、ネイサンはもうパパとは遊びたくありません。これからママとずっと一緒にいてあげたい、そうすればママを守ってあげられるから。
パパがママを殴る時、子供にはどんなことが起こる?
悲しい時、なにができる?

傷つけられた心
 ママが誰かに傷つけられたりするのは、子供にとってとてもつらくて悲しいことです。子供は怖くて震え、どうしてそんなことをするのか理解できません。
 ママが殴られたりするのはまったく子供のせいじゃありません。もしも子供がしたことがきっかけで大人がけんかを始めたのだとしても、それでもそれは大人の問題で、子供は何も悪くはありません。
 多くの大人は暴力を受けた後、それについて話したがりません。彼らは子供を守るために、そしてそれを話すことはとてもつらいことだから何ごともなかったかのように振る舞いたいのかも知れません。でもそういうとき、両親に子供が怖かったり怒っていることなど、どう感じたか話すことはとても大切です。
 自分のパパがママを殴ったのを見た時、だいたいの子供がこんなのおかしい、普通の家族じゃないと感じます。でもこういう家族はやはりときどきあって、その子供達もみんな同じように悲しんでいます。

 「ママは青い目をしています。いえ、本当の色は茶色だけど、今目の周りが青くなっています。それはママの彼氏がまたママを殴ったからです。
 ラッセは自分の部屋に座って、キッチンから聞こえて来るママの声に耳を澄ましています。ママは彼氏に何か言おうとしてたけど、でも黙ってしまった。ママはいつも何ごともないように振る舞っています。いつかラッセはママに「どうして」と聞いてみようとしたけど、言い出せませんでした。だって、きっとママはそれでもっと悲しくなってしまうと思ったから。
 ラッセは知っています。夜になって、ラッセがもう眠ったと思った頃にママが泣いていることを。もしかしてママは彼が戻ってくるのが怖いのかもしれません。それか彼を恋しいのかもしれない。
 ラッセは彼と土曜日にサッカーの試合を観に行く約束をしていました。けれど彼は出て行ってしまい、もう2度と戻ってはこないかもしれない、そしてママはもう2度と前のように笑うことが出来ないかもしれないのです。
大人が悲しい時、話しかけるほうがいいの?
どうして大人は話したがらないの?

大人はなぜ黙っているのか
 どうしてママは何も言ってくれないの?家庭内暴力をみたたくさんの子供はそう考えています。ママは子供がみんな見てしまったことを知っているけど、それでも何も言いません。それはもしかしてママは子供に悲しい思いをさせたくないから、子供の前で泣き出してしまいそうだから…それかこのまま何もかも忘れてしまえば、と思っているのかもしれません。でもそれは消えてはなくなりません。
 多くの大人はママが殴られた後、子供はそんな話をしたくないものだと思っています。でもそんなことはなく、子供は何でだろうとずっとずっと考えています。
 何でママが殴られなきゃいけないかわかる子供なんて滅多にいません。そしてみんな悔しくて悲しくて、またそれが怒るのを、もっとひどいことが起こるのを恐れています。子供達はその思い出をずっと忘れられないで、長い間じっと座って、誰かが助けに来てくれるのを待っています。

「カトリーヌはママと一緒に保護センターという所にいます。それはもしもパパがママを傷つけたりするような時に助けを求めるところです。保護センターにはたくさんの優しい目と声をした大人がいますが、カトリーヌはまだ落ち込んで元気になれません。パパがママを殴り、ママが悲鳴をあげている時、カトリーヌはベッドの下に隠れていました。カトリーヌは今、パパがママを殺しにくるんじゃないかととてもおびえているのです。
 時々カトリーヌはセンターにいる子供と少しだけ遊びますが、でもどうやって遊んでいいのか全然わからず、ほとんどTVを観て過ごしています。本当はママとずっと一緒にいたいんだけど、ママはほとんど眠っているか、センターの人と話し込んでいるのです。
お家の中でなにか困ったことがあった時、どこで助けてもらえるの?
助けてくれる大人はいるの?

誰が助けてくれるの?
 困っている子供を助けたい大人はたくさんいます。それは例えば友達やその両親、学校の先生、近所の人や学校の保健婦さんで、その人達にどんなに悲しかったか、そして助けて欲しいと相談してみましょう。
 保護センターでは、ママと一緒に助けをもらいながら静かで安全に過ごすことが出来ます。パパやママの彼氏はそこへ来ることは出来ませんが、子供達はパパと会う約束をもらうことができます。また、保護センターには同じような経験を持つママ達や子供達がいて、そういう子供の話を聞くのに慣れている大人達もいます。
 元気になれるには時間がかかることもあるけれど、誰かと話し合い、辛い思い出からこうして少し離れることが大切です。

 「デニスにはヨナスという親友がいます。彼らは学校の後ほとんど毎日ヨナスの家で一緒に遊んでいます。デニスの家にはピーターというママの彼氏がいて、時々彼はものすごく酔っぱらって暴れるのです。
 ある日、デニスは本当に落ち込んでいて、つらかったけど全てをヨナスに打ち明けました。いつもどうやってピーターがママを殴るか、ママとピーターがどんな風にけんかしてわめいているか、そしてその間デニスは隠れていなければならないことを。
 ヨナスはじっと静かにデニスの話を聞いていました。そして家に帰りヨナスはママにそのことを話し、ヨナスのママは長い間話をしっかり聞いてくれて、そしてデニスのことを助けてくれると約束してくれました。デニスはきっとヨナスのママがなにか助けてくれるに違いない、と安心しました。
どうやって他の人に助けを求めればいいの?
なんて友達に話せばいいの?

友達に話してみよう
 まず身の回りのお友達に相談してみましょう。何も恥ずかしがることはありません。また保護センターにいる子供達と話してみるのもいいでしょう。保護センターには同じ経験を持つ子供達のグループもあるのです。おなじ経験をした仲間達となら、きっと話もしやすくなるでしょう。
 でも一番肝心なのはパパがママを傷つけるのを止めることです。それにはいくつかの方法がありますが、両親がしばらく離れて暮らすことや、時には離婚しなければならないこともあります。それはとてもつらいことですが、それでも暴力を受け続けるよりはいいはずです。もし両親が離婚したとしても、子供達はいつでもパパに会うことが出来るし、休日を一緒に過ごすことだって出来ます。

あなたは一人じゃない
 家庭内暴力を経験した子供達にとって、その経験は隠しておきたい問題で、言い表せない、書き表せない、でも重く重く心に残るものです。
 そんな子供達は悲しくて、悔しくて、怖くて、たくさんの「どうして?」に応えてもらいたい、また暴力やけんかのない毎日を望んでいます。この本はそんな子供達の助けになるように作られました。みんなひとりじゃない、たくさんの大人達がそういった子供達を助けるためにいることをおぼえておいてください。