70歳以上になると二人に一人は難聴になると言われているが、そのデータを探して、「耳科学ー難聴に挑む」(鈴木淳一、小林武夫著、中公新書1598)を読んだ。これには、高齢難聴者の問題が何回も指摘されている(P75、P92、P212)。
人間の聴力は、年齢とともに低下するが、このオーディオグラムが紹介されている(P56、P75、P103)。
高齢者の聞こえが低下するのは、年齢的機能低下の他に、環境要因の蓄積、遺伝子の影響が挙げられている。高齢者に問題になるのは、聴力の低下の他に、語音弁別能の低下があると指摘されている(P76〜P77)。つまり、補聴器で増幅された音が入っても聞き分けられないということだ。
音楽家と難聴のテーマでかなりページをさいて紹介しているのも他書には余りなのではないか(P93-101)。
第12章は幼児難聴の問題にページを割いている(P189〜P198)。
前に何かの邦書に、ドイツのデータだかに70歳以上の難聴者比率が書いてあったのを覚えているが、まだ見当たらない。
テレビの視聴における高齢難聴者の問題は、総務省の次世代字幕研究会の中で紹介されている(P6-8)。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/pdf/020424_2_2.pdf
より詳しいデータは、上記報告書にも出てくる全国社会福祉協議会の「補聴器普及および音環境の整備に関わる調査研究報告書」(平成6年3月)に詳しい。これは、時の大内厚生大臣の肝いりで実施された。
ラビット 記
写真は、とろイワシ缶詰