難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

高齢難聴者の問題とそのデータの在りか

2006年10月01日 23時44分25秒 | 生活

とろいわし缶詰70歳以上になると二人に一人は難聴になると言われているが、そのデータを探して、「耳科学ー難聴に挑む」(鈴木淳一、小林武夫著、中公新書1598)を読んだ。これには、高齢難聴者の問題が何回も指摘されている(P75、P92、P212)。
人間の聴力は、年齢とともに低下するが、このオーディオグラムが紹介されている(P56、P75、P103)。
高齢者の聞こえが低下するのは、年齢的機能低下の他に、環境要因の蓄積、遺伝子の影響が挙げられている。高齢者に問題になるのは、聴力の低下の他に、語音弁別能の低下があると指摘されている(P76〜P77)。つまり、補聴器で増幅された音が入っても聞き分けられないということだ。

音楽家と難聴のテーマでかなりページをさいて紹介しているのも他書には余りなのではないか(P93-101)。
第12章は幼児難聴の問題にページを割いている(P189〜P198)。

前に何かの邦書に、ドイツのデータだかに70歳以上の難聴者比率が書いてあったのを覚えているが、まだ見当たらない。

テレビの視聴における高齢難聴者の問題は、総務省の次世代字幕研究会の中で紹介されている(P6-8)。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/pdf/020424_2_2.pdf
より詳しいデータは、上記報告書にも出てくる全国社会福祉協議会の「補聴器普及および音環境の整備に関わる調査研究報告書」(平成6年3月)に詳しい。これは、時の大内厚生大臣の肝いりで実施された。

ラビット 記
写真は、とろイワシ缶詰


青い字幕(2) ステノキャプショナー

2006年10月01日 11時24分18秒 | 生活

9月11日ニュース青い字幕の投稿をご覧になる方が非常に多かった。国会の速記者の養成が中止になることから、キャプショナーの検索が多くなり、それにヒットしたのかもしれない。

ステノキャプショナーは、聞いた言葉をそのまま記録する技術を持つ人だ。裁判所や議会の発言を記録するために速記が開発されて来た。
その速記符号をキーボードで入力できるようになり、その機械が速記タイプライターだ。

話された言葉を文字で見たいというのは聴覚障害者の誰しもが持つ「夢」だが、それをステノキャプショナーの人々がその技術で支援されて来た。その目指すところは、「聞き誤りや変換ミスのない正確な字幕,そして,タイムラグの少ない速い字幕,この2つを備えた文字通訳を目指しています」(中部はやとくん情報保障のページより)ので、要約筆記の三原則の「読みやすく」がないので、話しことばをそのまま文字表記された場合、すぐに読み取って理解し、その場での行動に移せるかは問題がある。
http://homepage3.nifty.com/chubu-h/jyouhouhosyou.htm

テレビの字幕も読み取る時間を考えると字数に制限があるので、そのまま話された言葉を文字表記は出来ない。NHKのニュースの字幕は音声認識技術や速記入力を活用して、全文字幕になっているが、読み切れないことも多い。
要約筆記者は、リアルタイム字幕制作者、ステノキャプショナーとは別のものだ。要約筆記者は、相手に分かるように言葉を文字に替えて、伝える技術を持つ人で、障害者自立支援法の地域生活支援事業で、社会福祉サービスの一つとして提供される。

アメリカでは、ステノキャプショナーがテレビの生放送の字幕制作に関わっているが、それでも専門的な訓練を長期間受けると聞いている。この場合はそのまま入力されている。アルファベットの漢字仮名まじりの日本語、同音異義語の多いこと等がそのままでは読み取りの早さに違いがあるのだろう。

ラビット 記

青い字幕のコメントに補筆