大好き!藁科川

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渕の名前

2010年10月04日 | 歴史&文化
「今日は○○渕で遊ぼうか」「明日は××渕で魚とりだ」

子どもの頃の遊びを地元の方に聞くと、川遊びに行く際は渕の名前を言い合い、その渕ごとに遊び方も決まっていたそうです。

「○○渕で、アユをたくさん採った」「××渕では、でっかいウナギがかかったこともあった」

と昨日のことのようの語ってくださる様子には、ほんとうにそんな川で遊んでみたかったなぁ、と思わせられます。

それぞれの渕や瀬に名前がついていたことは、川と暮らしがつながっていた昔の方にとっては当たり前のことなのでしょう。けれども、近くの川と言えば、人を遠ざける三面護岸のコンクリートで、瀬も渕もなくまっすぐな上、“遊んではいけない”川のそばで育った私としては、そのこと自体も、とても貴重なことと思えるのです。

昨日、日頃懇意にしていただいているお隣のトシさんが「よぉっ」とやってきたので、日向近辺に残る渕の名前を伺ってみました。すると「ニヤリ」と頬をゆるませ、すらすらっと上流側から渕の名を紹介してもらいました。
忘れないうちに記録しておきます。


【ネコ渕】
諸子沢川との合流点の下流側で、県道60号線沿いに建っている小さな祠よりやや上流にある渕。トシさんもその名の由来は分からないとおっしゃっていましたが、東北地方などの河川の渕名に残る“猫”渕か、幼い子どもが落ちて亡くなった“ねんねこ”渕が短くなったものでしょうか?

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・・・・また(日向・道光渕の)近くに、嫁さんが自殺した嫁とり渕、子どもが落ちて死んだねんねこ渕もある。ねんねこ渕には大きな穴があり、これがやまさ渕にある穴と通じていると言われ、川を流していた材木がねんねこ渕で消えてしまい、やまさ渕に現れたという話しもある。

『安倍川流域の民俗』静岡県立静岡高等学校郷土研究部.昭和55年
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【マラ渕】
小さな祠の横にある渕。車道側からはよく見えませんが、河道からだと大きな石が斜めに立ち上がっているとのことで、その様子を男根に擬してついた名前だそうです。


【イノ渕】
ガソリンスタンドを過ぎて、日向の集落が途切れ、湯ノ島に向かう県道が左に大きくカーブする地点にある渕(写真参照)。近くの川岸には、親水式の階段が整備されていて、車道の対岸は、地名に城山と残るかつての山城跡があります。
トシさんのお話しだと、その昔、この城山と現在の大川中学校の裏山の高台にある「矢上げ辻」というところで、矢を放ちあった戦があり、中学校の体育館あたりに矢が落ちたことにちなみ、そこを「矢下」と呼んでいたそうです。


【シロダイ渕】
やはりお城と関係しての名前でしょうか、イノ渕よりやや下流側にある渕の名前です。


【カマ渕】
以前、このブログでも紹介した不動沢との出合いにある渕で、現在大川小学校の川開きはここで行われています。
かつては、この渕の上流側の左の岸に「タタミ石」という、子どもが10人ほど寝そべることができるような大きな平べったい石があったそうで、トシさんもその上にのって遊んだと教えていただきました。



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