大好き!藁科川

静岡市の西部を流れる清流・藁科川の自然・文化の魅力やイベント等の情報をお届けっ♪

サワガニの谷

2010年09月07日 | 自然&生き物
藁科川の流域には「一色(いしき)」と呼ばれる地名のところが2箇所あります。
かつての荘園で、年貢だけを納めればよい田んぼの“一色田”が地名の由来とされていますが、今回は藁科川の中ほどに注ぎ込む支流・新間谷川の上流の一色を訪ねました。

バスに横付けで終点の広場に車を止めると、すぐ目の前に吊り橋がかかり、その対岸のこんもりとした森の木陰に神社がひっそりとたたずんでいました。

ここ一色天満宮では、410年以上の歴史を重ねる“秋の例大祭”が毎年10月に開催されます。
当日は、売店が立ち並び、打ち上げ花火や和太鼓の演奏をバックにして地元“一色煙火保存会”による手筒花火のお披露目など、勇壮なお祭りに大賑わいとなるそうですが、その爆発に向かって静かにエネルギーを蓄えているのでしょうか、吊り橋をわたって鳥居をくぐり、夏の終わりの空に音が吸い込まれてしまったかのような、とてもひっそりとした境内にお邪魔して、ご神殿に手を合わせました。

帰りに、小川に足を踏み入れてみる。清んだ水に見え隠れするサワガニの姿。

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「やまなし」 宮沢賢治

二疋(ひき)の蟹(かに)の子供らが青じろい水の底で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンは跳(は)ねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
 上の方や横の方は、青くくらく鋼(はがね)のように見えます。そのなめらかな天井(てんじょう)を、つぶつぶ暗い泡(あわ)が流れて行きます。
『クラムボンはわらっていたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『それならなぜクラムボンはわらったの。』
『知らない。
 つぶつぶ泡が流れて行きます。蟹の子供らもぽっぽっぽっとつづけて五六粒(つぶ)泡を吐(は)きました。それはゆれながら水銀のように光って斜(なな)めに上の方へのぼって行きました。
 つうと銀のいろの腹をひるがえして、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。
・・・・(後略)

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赤いサワガニの姿をあるところに見つけ、あるところは隠れ、石の間を横走りする様子を見ていると、なんだか「かくれんぼう」をしているようで、そんな連想から、宮沢賢治の「やまなし」というお話を思い出したりします。小さな子どもの川遊びにも安心な河原で、石の上にはヨシノボリの赤ちゃん、そして時に、お話のように大きめの魚が銀色のお腹をひるがえして、川面を走っていきました。

何もなくても全てがあるような、そんな素敵なサワガニの谷・新間谷川の上流です。


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2 コメント

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Unknown (ピエール)
2010-09-16 08:52:22
葉茶さま 暑い夏もはじけて 楽しんでおられる様子が伝わってきます!
蓼科川 いいところですね~
秋のイベントも 楽しみにしています。

サワガニさん、そちらは赤いのが多いですか?
うちの近くの湧水では、青い(青灰色)です。
シックざんしょ?
食べ物の影響なのでしょうか 
イチゴとブルーベリー (葉茶)
2010-09-16 22:14:45
★ピエールさん

コメントありがとうございまーーーーす!
朝食のパンにつけるジャムの違いでしょう、たぶん・・・。

インターネットで調べたところ、サワガニの体色には、青色と黒褐色と甲羅の前方が黒褐色、後方がオレンジ色のの3系統があるとのこと。

なんでだろう・・・?

イチゴとブルーベリーではなかったら、周りの主な環境の色によって違うとか・・・そちらは青っぽい石が多いですか?

ついでに青色サワガニ君がいるところは、静岡県の東南部の他に、千葉県南部(房総半島)、神奈川県南部、熊本県西部などに生息しているとありました。

なんでだろー???随分遠いところにもお友達がいらっしゃるのですね。謎です。

でも、サワガニ色を見るのが、楽しみになりました!!

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