大好き!藁科川

静岡市の西部を流れる清流・藁科川の自然・文化の魅力やイベント等の情報をお届けっ♪

濁流を目の当たりにして

2010年09月09日 | 自然&生き物
「人懐っこい川ですね」

私が進めている絵地図のプロジェクトに関して、今年の七月、流域の視察に訪れていただいたに同業の大先輩が、藁科川を評して、こう語りました。この言葉は私自身が褒められたかのように嬉しく、長年言葉にならなかったこの川に対する想いを、きれいに入った剣道の面打ちのように、ピタリといい当てられたような気持ちで、参りました。

藁科川は人懐っこい川です。大河ではないため流域に点在する集落に近く、茶畑や人家など人の暮らしの中を流れていることや、所々で川べりまで降りれるアクセスのよさがあって、川の水がきれいなことから実際に釣り人や川遊びする人の姿が随所に見られる、そんな親しみやすい川です。

「この波立つ感じも、ぜひ絵に表現してもらいましょうよ」

この言葉もズドーンときました。下流から上流まで川全体通じて、どこを見ても瀬で川面の波立つ感じが見られる川はそうないと言うのです。長年、自然観察と多くの川を見られてきた先輩の、その経験と感受性にひたすら敬服でした。

その通りなのです。藁科川には、いつも光を反射したキラキラした印象があるのです。特に日が傾きかけた晴れた日の夕方には、斜めから入る光を受けて、川全体が輝く感じは、どこか違った世界を映し出したかのように、まばゆく美しい。車での帰り道、大原の夜打島辺りで一瞬垣間見られる風景や、八幡から県道60号の方に入って赤沢の集落を抜けて、連続する茨澤橋、茨澤桟道橋の直線の左手を流れる川の景色は、キラキラ・キラキラと天然の総イルミネーション状態で、おすすめスポットです。この瀬の効果が、川の水に空気を送り込む働きをし、藁科川を清流にしているひとつの要因になっているのでしょう。

その藁科川が豹変していました。

台風の大雨で一気に増水した水が、遮二無二暴走する暴れ馬のように、川岸に濁流の体をのたうちつけて駆け下っていました。別の川です。

なんとか身を寄せやり過ごしているだろう川の生き物たちに思いを馳せながら、そのすさまじい大きなエネルギーのかたまりとなった姿を目の当たりにして、改めて穏やかな川と怒り狂う川、感謝の対象としての川と畏怖すべき川という、川の両面の性質を感じた一幕でした。



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