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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ソマリア沖海賊対処任務 第200回護衛任務を完了(2010年12月17日)

2010-12-21 22:49:47 | 防衛・安全保障

◆本日第203回護衛任務を実施中

 防衛大綱潜水艦22隻の話題がNHKニュース9で放映されていましたが本日は海賊の話題。海上自衛隊のソマリア沖海賊対処任務ですが12月17日に第200回護衛任務を完了しました。

Img_9861  海上自衛隊は護衛艦2隻と固定翼哨戒機3機を海賊対処任務の為にソマリア沖のアデン湾に派遣していて、船団を組んでの危険海域航行護衛方式は大きな成果を残し、現在この瞬間も任務は継続中。12月20日には第202回護衛任務を完了しており累積護衛実績は1490隻に達しています。

Img_0406  護衛艦の派遣部隊は現在第6次派遣部隊の第3護衛隊、護衛艦まきなみ、護衛艦せとぎり、が任務に当たっており第7次派遣部隊が交代部隊として今月佐世保基地を出航、アフリカへ向かっているところです。派遣海賊対処行動航空隊は第5次隊がジブチを基地として活動中で、海上自衛官100名、警備へ陸上自衛官50名が派遣されているところです。

Img_6686  海賊事案は先日も日本の商船が襲撃を受け、この商船は海上自衛隊の護衛船団とは別の場所を航行していたため哨戒中の中国海軍駆逐艦により大事に至らず危機を脱しましたが、他方で日本の貨物船が海賊に占拠されたまま外洋での海賊の母船として運用される事案が生じています。

Img_2845  海賊の根拠地は無政府状態のソマリアで、この状況を根本から解決するにはPKO部隊を派遣してソマリアの治安警察機構を始めとする国家再建を行うほかはないのですが、現状では対処療法的な海上での海賊取り締まりを行う各国海軍と護衛を行う海上自衛隊により商船を防護している状況。

Img_2226  海賊対処任務ですが、現在任務中の護衛艦二隻に加えて交代に向かう二隻が任務に当たっている訳でして、海上自衛隊の冷戦期に整備された60隻以上の護衛艦部隊に対し、防衛大綱で定数を47隻とされた現状では、訓練、戦術研究、重整備、補給、警戒監視にあたるローテーションを考えると実はかなりの負担になっています。

Img_7789  新しい防衛計画の大綱では護衛艦定数が47隻から48隻へと1隻強化され、これも当初は陸上自衛隊の重装備を削減して海空自衛隊を強化する、とされていたところからは1隻というのは拍子抜けなのですが、少なくとも現状は維持となりました。他方で海賊対処任務の継続を考えれば不足は否めません。

Img_9081  これは難しく、冷戦後の大綱水準の約50隻、という表記は必要にも思うのですが、護衛艦定数に上限があると、その分護衛艦に求められる能力が大きくなり、結果的に護衛艦そのものが大型化、ひゅうが型19000㌧も、あぶくま型2600㌧も同じ一隻ですので、海上自衛隊の能力全般を考えればこの点は何とも言えないのですよね。

Img_8409  さて、既に200回を超えた海賊対処任務なのですが、今後の出口戦略を考えれば例えば日本がアフリカ連合などに呼びかけ、ソマリアの国家再建を主体的に試みる等、海賊を取り締まる陸上の治安機関をいかに再建するのか、どうソマリアに国家機能を再建するか、という事もそろそろ検討されては良いのでは、と常々感じる次第です。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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普天間飛行場名護市移設問題 菅総理、沖縄訪問するも具体的進展なし

2010-12-20 22:03:38 | 国際・政治

◆現状維持以外選択肢は無くなっているのでは?

 朝鮮半島が緊張しているのですが、ここで一枚岩となるべき日米の間に普天間問題が昨年夏以来横たわっています。打開を試みて、という建前で首相が沖縄を訪問しましたが、しかし。本日はこの話題です。

Img_0029  辺野古粘り強く交渉、首相が移設必要性を強調 普天間移設 ・・・菅首相は18日、2日間の沖縄訪問日程を終えて沖縄県嘉手納町で記者会見し、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題について、「辺野古(移設)案は、多くの点で普天間の危険性を大きく除去することにもなるし、基地負担の軽減につながる」と述べ、日米両政府が5月に合意した同県名護市辺野古への移設が必要だとの考えを強調した。 同時に「(沖縄県とは)いろいろな意見の違いはあるが、丁寧にしっかりと議論を積み重ね、進めていく」と、今後も粘り強く交渉に当たる方針を示した。 普天間問題が日米関係に与える影響に関しては、「来年半ばまでに訪米して、(日米)共同声明を実現したい。普天間(問題)だけに焦点が集まるのでなく、幅広い関係深化の一歩にしたい」と語った。 首相はこれに先立ち、18日、普天間飛行場と移設予定地のキャンプ・シュワブ(名護市辺野古など)を自衛隊ヘリで視察した。(2010年12月19日  読売新聞)http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20101220-OYS1T00223.htm

Img_1780  上に載せた写真のヘリコプターが微妙に違うのはご了承ください。さて、菅直人総理は就任以来初めて沖縄を訪問したのですが、普天間問題が日米間の問題として最も大きな懸案となっている中で、しかも中国による尖閣諸島への圧力を独力ではどうにもする事が出来ずという現与党にとっては対米関係の修復が第一であるのにもかかわらず、その普天間移設問題の現場である沖縄県へ幾度も機会があったにもかかわらず菅総理は不退転の決意でもあるのか、沖縄へは近づこうとはしませんでした。今回の訪問でも住民集会において意見を交換するでもなく、基地を短時間見学したのちには首長に意見を言うだけで、全く成果のないまま東京に戻り、成果があったとの自画自賛という状況です。そもそも、延ばすことが目的化していないのか、普天間固定化が実は最後の解決策になっていないのか、鳩山政権が結論付けた普天間問題の辺野古移転という打開策を実現しようとする意気込みが見えない中、こうした事を考えてしまいました。

Img_1814  普天間飛行場移設問題ですがアメリカ側が提示した期限を超過してから一年が過ぎました。様々な場所が検討されましたが、県外ならばと徳之島を提示したものの面積が狭すぎてヘリコプター部隊や海兵隊戦闘部隊の駐留に適さず、グアム移転案はそもそも沖縄に必ずしも必要でない部隊をグアムに移転するという資料を誤訳して全部移転できるのだと勘違いした事で日米の齟齬が生じ、大村航空基地は海兵隊地上戦闘部隊とその演習場から遠すぎ、関西国際空港なんて言う案も提示されたのですが和歌山県に海兵隊の駐屯地と演習場を建設できる訳が無く、キャンプフジ移転案はそもそも海兵隊が台湾海峡と朝鮮半島を睨む沖縄に駐屯している意味から考えれば出されること自体が異常で、北海道なんて言う案が出つつも、日本側が外交交渉を行い周辺国を説得できる見込みがあった上で費用を捻出出来れば可能性があったフィリピンのスービック・クラークフィールド地区案や、台湾移転案等はそもそも検討された気配も無し。

Img_2528  こうしてみてゆきますと、沖縄県と真摯に対話する姿勢すら見せず、さりとて特別措置法を構築して埋立工事を国の権限で行う施策もなし、という状況なのですから、名護市辺野古の代替基地がいつ完成するのか、目途が全く立ちません。海兵隊の一部グアム移転は辺野古移設を前提としたものなのですから、ここはひとつ、民主党が自民党の沖縄負担軽減策を全てご破産にしたのだという事を素直に認めて、現状のまま普天間基地を運用し続ける方向で調整してはどうなのだろうか、そうすれば少なくとも普天間基地という海兵隊の飛行場一つは維持できるのですし、今後旧式化と老朽化が著しいCH-46は新型で安全性と低騒音が確立されたMV-22等に置き換わる訳ですので普天間基地の危険性、というものは少なからず軽減されます。かつてラムズフェルド国防長官が来日した際に、世界一危険な飛行場として何故日本政府や沖縄県は基地周辺の住宅地認可を行ったのかという事を疑問に思ったとのことですが、周辺地の買い上げ等を真剣に民主党が行うべきでしょう。元々沖縄戦で壊滅した宜野湾市の平坦な部分を戦時飛行場として米軍が使用したという事を考えれば噴飯ものの論理ですけれども、しかし米軍基地の移転策を政府が行うだけの能力が無い以上、安全性を考えればこの方策しかもう消去法で残っていないのではないですか。

Img_2518  民主党政権は、それならば沖縄県の基地負担をどうするのか、という事ですが、一つ考えられるのは沖縄の北部訓練場を自衛隊管理下か日米共同演習場に移管する事です。運用は現状通りのままで良いです、そういう協定も締結して行えば確実でしょう。78k㎡という沖縄県最大の米軍演習場です。在日米軍の面積にして七割以上が沖縄本島に集中、という事例が良く引き合いに出されます。これを自衛隊用地も含めた軍用地、として置き換えれば実は東富士演習場の88k㎡など、決して日本の防衛用地の比率のなかでは大きくないのですよね、本島だけの面積を見れば全く異なるのですが。北部訓練場を自衛隊用地とすれば、在日米軍基地面積に占める沖縄の面積は異なってきます。書類上だけの話で、完全に欺瞞以外何物でもないですが、自衛隊のアフガン派遣を海外出張扱いとしてみたり、南西諸島重視の為に戦車を削減するとして重視しない防衛大綱を画定したり、防衛分野だけでも、現与党はもうすでに欺瞞は重ねているでは無いですか。普天間を維持する方向で、加えて北部訓練場の名目上の管理の防衛省への移管、このあたりに軸を置いて、いまの菅首相に出来る範囲内で行うべきだろう、と。もちろん、実際に行う場合は首相が思いつきで発言することなく、まずは根回しを行う事が重要なのは当たり前以前の話ですが。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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朝鮮半島緊張 ロシアの要望により国連安保理緊急会合開催

2010-12-19 22:12:08 | 国際・政治

◆非常任理事国日本はどう緊急安保理に臨むか

 時事通信によれば北朝鮮の延坪島砲撃事案以来緊張が続く朝鮮半島情勢に対応するべく国連安全保障理事会が緊急会合を開催することが決定したとのことです。

Img_3712  国連安保理が緊急会合へ=朝鮮半島情勢で-ロシア通信社・・・ 【モスクワ時事】タス通信は18日、国連ロシア代表部の話として、国連安保理が同日、朝鮮半島情勢をめぐる緊急会合を開催すると伝えた。 緊急会合開催はロシアが提案したもので、同日午後に開かれる見通しという。(2010/12/19-01:14)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010121900009

Img_3254  ロシア沿海州は北朝鮮北部と隣接しており、北朝鮮での核による何らかの事故や大気圏内に核実験の影響が生じた場合には影響が生じるという位置にあり、加えて朝鮮半島有事に際しては難民発生や米韓軍の大規模行動も考えられることから、この地域での安全保障情勢については強い関心を持っています。今回、ロシアが強く安保理開催を要求した背景には推測の域を出るものではありませんが、必然性があってのことでしょう。

Img_6477  元来から日本は朝鮮半島情勢については、強い影響を受ける位置にありながらも、有事の際にはアメリカを支援するという立場のみを明確にしているだけで、果たして、状況が悪化したと仮定した場合の準備があまり見えてきません。情報収集を行い、沿岸の警戒態勢を強化する、という事までは行えるのですが、これで不充分な緊張状況が生じた場合はどうするのか。

Img_7852  例えば拉致問題解決を第一に北朝鮮政策を展開してきている日本政府なのですが、有事の際にも拉致問題を第一に掲げて交渉を試みるのか、また、在日米軍基地の防衛や弾道ミサイルとゲリラコマンドー対処をどう行うのか、在外邦人の輸送計画は、かつて自民党政権時代に北朝鮮が弾道ミサイル実験や核実験を強行した場合には防衛面と外交面で充分な対応が出来ましたが、与党が主体的に行動を行った結果であり、言い換えれば今回も主体的な行動を行わなければ結果は伴いません。

Img_6454  2010年12月31日まで、日本は国連安保理の非常任理事国として、オーストリア、トルコ、メキシコ、トルコとともに実質的な権限はありませんが参画することが可能です、言い換えれば来年一月から非常任理事国では無くなり、当事国でもない日本の位置づけはかわってきます。拉致問題により六カ国協議を推進することが難しい立場の日本としては、ロシアに先んじて主導権を求めるべきとも考えたのですが、少なくとも今後国連の場では一貫した意思のもとで交渉を行えるよう、意見集約と議論を行うべきでしょう。

HARUNA

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新防衛大綱 戦車数400でも機甲師団は維持、ただし動的防衛力移行の具体策皆無

2010-12-18 23:22:53 | 北大路機関特別企画

◆機動運用部隊に増減なし、しかし基盤的防衛力は放棄
 新防衛大綱ですが、一挙に見てゆきたいところなのですけれども時間の関係もありますので、少しづつみてゆきましょう。
Img_0674_2    戦車数はかつて1200ほど維持されていたのですけれども、これが900となり、600となり、そして新防衛大綱では早い時期から400両とする可能性が示唆されていました。600両を400両として200両削減するのならば、北海道の機甲師団として北方抑止力の主柱であった第7師団が従来編成に戻されるのでは、という危惧があったのですが、新防衛大綱の別表を見ますと機動運用部隊として機甲師団、中央即応集団が維持される事となっていました。そしてあれだけ重装備削減の際に口実としていた動的防衛力への転換ですが、詐欺です、機動運用部隊が増強されていませんでした。
Img_2667_2    そもそも今回の新防衛大綱は全国に部隊を均等配置する基盤的防衛力から、全ての部隊が機動運用され、有事の際には迅速に展開するという動的防衛力に転換される、転換するので戦車を削減してその予算を捻出する、という主眼だったはずなのですが、それならば機動運用部隊として全ての部隊を機械化師団とか、機動旅団とか記載されても良かったようなものなのですが、“平素地域配備する部隊”、・・・、予算削ることしか目的になかったのでは?、本音が出ていません?鳩山総理と同じくいう事を数時間で忘れているのでは?推敲はした?、と心配になってしまいます。
Img_2755_2    動的防衛力を整備するならば、せめて平素地域配備する部隊の中で、例えば8個師団と6個旅団のうち6個旅団だけでも、機動砲や装輪装甲車を装備する機械化旅団や、ヘリコプターを多用途ヘリ、輸送ヘリ、対戦車ヘリで数十機単位にて装備する空中機動旅団に改編して機動運用部隊に含めても良かったのでは?、と、やはり民主党は公言した内容には無責任になるような必然的な何かがあるのではないのか、とこちらも心配。動的防衛力というのは掛け声、実際は機動運用は第7師団と中央即応集団のみ、200両の戦車は削減してその予算はバラマキ福祉にて支持率回復、ということなのでしょうか、これでは日本の防衛ではなく民主党支持率の防衛です。こういうことやって多くの政府は倒れたんでしたか。
Img_2802  さて、戦車200両が削減されたのですが機甲師団が維持されますので、機甲師団を編成する戦車連隊の定数を多少削減する、ということはあるかもしれませんが、約半分を第7師団が維持することとなります。結果的に200両前後の戦車を8個師団、6個旅団が分け合うというかたちになるのですけれども、200両といえば、戦車大隊を2個戦車中隊基幹としても7個戦車大隊を維持するのが限界、これでは有事の際に普通科連隊を中心とした連隊戦闘団を組む事も出来なくなりますし、旅団には戦車とは別の何か機動打撃が可能な装備が必要になります、結局のところ予算は必要になるのでして、脅威を緩和する外交努力と成果が無ければこの状況は不変という訳なのですよね。
Img_5550  機動戦闘車、装輪式の車両に105mm砲を搭載した火力支援用装甲車ですが、開発中です。これを戦車定数外で取得する方針があるようなのですが、イタリア軍やスペイン軍はチェンタウロ装甲機動砲を双方ともに400以上装備していますし、新しい運用ドクトリンを開発すれば、戦車の不足を一定以上は補えるようです。一定以上、というのは戦車が不要な状況か戦車が展開するまでの遅滞戦術の展開で、戦車を置き換えるものではありませんが用途はあるようで、これがどの程度配備されるのか、という事に興味が持たれます。例えば、第2戦車連隊、第9戦車大隊、第10戦車大隊、第4戦車大隊に各50両の戦車大隊を維持して、他は30両程度の機動砲大隊で置き換える、というのは運用として説得力が多少あるやもしれません。
Img_6427  特科火砲にしても、特科連隊のように特科大隊を隷下に持つ編成の維持は難しく、特科隊が主力になってゆくのでしょうか。特科隊編成の最大の問題点は隷下に全て中隊を集中させてしまい、全般支援火力に欠けるという点で、現代戦を展開するのならば中射程の地対地誘導弾か多目的誘導弾が必要になるでしょう。技術革新が行われず、国土の面積が変わらない以上、必要な装備の数量というものはあり、この数値からのがれて国家の維持という事は出来ません。ホーク・中SAM部隊は高射特科は群と連隊に分かれるようですが、これは第15高射特科連隊のことでしょうね。

HARUNA

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新防衛大綱2010&中期防衛力整備計画画定:防衛省HPより全文引用

2010-12-17 22:17:55 | 北大路機関特別企画

◆平成23年度以降に関わる防衛計画の大綱について

平成22年12月17日
安全保障会議決定
閣議決定

 平成23年度以降に係る防衛計画の大綱について別紙のとおり定める。
 これに伴い、平成16年12月10日付け閣議決定「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について」は、平成22年度限りで廃止する。


(別紙)

平成23年度以降に係る防衛計画の大綱

Ⅰ 策定の趣旨

 我が国を取り巻く新たな安全保障環境の下、今後の我が国の安全保障及び防衛力の在り方について、「平成22年度の防衛力整備等について」(平成21年12月17日安全保障会議及び閣議決定)に基づき、「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」として、新たな指針を示す。

Ⅱ 我が国の安全保障における基本理念

 我が国の安全保障の第一の目標は、我が国に直接脅威が及ぶことを防止し、脅威が及んだ場合にはこれを排除するとともに被害を最小化することであり、もって我が国の平和と安全及び国民の安心・安全を確保することである。第二の目標は、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善により脅威の発生を予防することであり、もって自由で開かれた国際秩序を維持強化して我が国の安全と繁栄を確保することである。そして、第三の目標は、世界の平和と安定及び人間の安全保障の確保に貢献することである。
 これらの目標を達成するため、我が国の外交力、防衛力等をより積極的に用い、国際の平和と安全の維持に係る国際連合の活動を支持し、諸外国との良好な協調関係を確立するなどの外交努力を推進することを含め、我が国自身の努力、同盟国との協力、アジア太平洋地域における協力、グローバルな協力等多層的な安全保障協力を統合的に推進する。
 我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を整備するとの我が国防衛の基本方針を引き続き堅持する。同時に、我が国は、国連平和維持活動や、人道支援・災害救援、海賊対処等の非伝統的安全保障問題への対応を始め、国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動(以下「国際平和協力活動」という。)により積極的に取り組む。
 核兵器の脅威に対しては、長期的課題である核兵器のない世界の実現へ向けて、核軍縮・不拡散のための取組に積極的・能動的な役割を果たしていく。同時に、現実に核兵器が存在する間は、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止は不可欠であり、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に協力していくとともに、併せて弾道ミサイル防衛や国民保護を含む我が国自身の取組により適切に対応する。

Ⅲ 我が国を取り巻く安全保障環境

1 グローバルな安全保障環境のすう勢は、相互依存関係の一層の進展により、主要国間の大規模戦争の蓋然性は低下する一方、一国で生じた混乱や安全保障上の問題の影響が直ちに世界に波及するリスクが高まっている。また、民族・宗教対立等による地域紛争に加え、領土や主権、経済権益等をめぐり、武力紛争には至らないような対立や紛争、言わばグレーゾーンの紛争は増加する傾向にある。
 このような中、中国・インド・ロシア等の国力の増大ともあいまって、米国の影響力が相対的に変化しつつあり、グローバルなパワーバランスに変化が生じているが、米国は引き続き世界の平和と安定に最も大きな役割を果たしている。
 我が国を含む国際社会にとって、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、国際テロ組織、海賊行為等への対応は引き続き差し迫った課題である。これらに加え、地域紛争や、統治機構が弱体化し、又は破綻した国家の存在もグローバルな安全保障環境に影響を与え得る課題であり、さらに、海洋、宇宙、サイバー空間の安定的利用に対するリスクが新たな課題となってきている。また、長期的には、気候変動の問題が安全保障環境にもたらす影響にも留意する必要がある。
 こうしたグローバルな安全保障課題は、一国で対応することは極めて困難であり、利益を共有する国々が平素から協力することが重要となっている。
 また、国際社会における軍事力の役割は一層多様化しており、武力紛争の抑止・対処、国家間の信頼醸成・友好関係の増進のほか、紛争の予防から復興支援等の平和構築、さらには非伝統的安全保障分野において、非軍事部門とも連携・協力しつつ、軍事力が重要な役割を果たす機会が増加している。

2 アジア太平洋地域においては、相互依存関係が拡大・深化する中、安全保障課題の解決のため、国家間の協力関係の充実・強化が図られており、特に非伝統的安全保障分野を中心に、問題解決に向けた具体的な協力が進展しつつある。
 一方、グローバルなパワーバランスの変化はこの地域において顕著に表れている。我が国周辺地域には、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が集中しており、多数の国が軍事力を近代化し、軍事的な活動を活発化させている。また、領土や海洋をめぐる問題や、朝鮮半島や台湾海峡等をめぐる問題が存在するなど不透明・不確実な要素が残されている。
 この中で、北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、配備、拡散等を継続するとともに、大規模な特殊部隊を保持しているほか、朝鮮半島において軍事的な挑発行動を繰り返している。北朝鮮のこのような軍事的な動きは、我が国を含む地域の安全保障における喫緊かつ重大な不安定要因であるとともに、国際的な拡散防止の努力に対する深刻な課題となっている。
 大国として成長を続ける中国は、世界と地域のために重要な役割を果たしつつある。他方で、中国は国防費を継続的に増加し、核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化を進め、戦力を遠方に投射する能力の強化に取り組んでいるほか、周辺海域において活動を拡大・活発化させており、このような動向は、中国の軍事や安全保障に関する透明性の不足とあいまって、地域・国際社会の懸念事項となっている。
 ロシアについては、極東地域における軍事力の規模を冷戦終結以降大幅に縮減しているものの、軍事活動は引き続き活発化の傾向にある。
 このような中、米国は、日本、韓国、オーストラリア等の同盟国及びパートナー国との協力を一層重視して、二国間・多国間の枠組みを活用した安全保障関係の強化を図るなど、この地域への関与を強めている。このような取組は、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たすとともに、米国がグローバルな安全保障課題に取り組むための基盤ともなっている。

3 一方、我が国は、広大な海域を有し、外国からの食糧・資源や海外の市場に多くを依存する貿易立国であり、我が国の繁栄には海洋の安全確保や国際秩序の安定等が不可欠である。また、我が国は、四方を海で囲まれ長大な海岸線と多くの島嶼(とうしょ)を有するという地理的要素を持つ一方、災害が発生しやすいことに加え、都市部に産業・人口・情報基盤が集中するうえ、沿岸部に重要施設を多数抱えるといった安全保障上の脆(ぜい)弱性を持っている。

4 以上を踏まえると、大規模着上陸侵攻等の我が国の存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性は低いものの、我が国を取り巻く安全保障課題や不安定要因は、多様で複雑かつ重層的なものとなっており、我が国としては、これらに起因する様々な事態(以下「各種事態」という。)に的確に対応する必要がある。また、地域の安全保障課題とともに、グローバルな安全保障課題に対し、同盟国、友好国その他の関係各国(以下「同盟国等」という。)と協力して積極的に取り組むことが重要になっている。

Ⅳ 我が国の安全保障の基本方針

1 我が国自身の努力

(1)基本的考え方
 我が国の安全保障の目標を達成するための根幹となるのは自らが行う努力であるとの認織に基づき、我が国防衛の基本方針の下、同盟国等とも連携しつつ、平素から国として総力を挙げて取り組むとともに、各種事態の発生に際しては、事態の推移に応じてシームレスに対応する。

(2)統合的かつ戦略的な取組
 以下により、国として統合的かつ戦略的に取り組む。
ア 関係機関における情報収集・分析能力の向上に取り組むとともに、各府省が相互に協力しつつ、より緊密な情報共有を行うことができるよう、政府横断的な情報保全体制を強化する。その際、情報収集及び情報通信機能の強化等の観点から、宇宙の開発及び利用を推進する。また、サイバー空間の安定的利用のため、サイバー攻撃への対処態勢及び対応能力を総合的に強化する。
イ 平素より、内閣官房、防衛省・自衛隊、警察、海上保安庁、外務省、法務省その他の関係機関が連携し、各種事態の発生に際しては内閣総理大臣を中心とする内閣が迅速・的確に意思決定を行い、地方公共団体等とも連携しつつ、政府一体となって対応する。このため、各種事態のシミュレーションや総合的な訓練・演習を平素から実施するなど、政府の意思決定及び対処に係る機能・体制を検証し、法的側面を含めた必要な対応について検討する。
ウ 安全保障会議を含む、安全保障に関する内閣の組織・機能・体制等を検証した上で、首相官邸に国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する。
エ 各種災害への対応や国民の保護のための各種体制を引き続き整備するとともに、国と地方公共団体等が相互に緊密に連携し、万全の態勢を整える。
オ 国際平和協力活動を始めとするグローバルな安全保障環境の改善のための取組においては、関係機関の連携はもとより、非政府組織等とも連携・協力を図ることにより効率的かつ効果的に対応する。
 また、国連平和維持活動の実態を踏まえ、PKO参加五原則等我が国の参加の在り方を検討する。
カ 安全保障・防衛問題に関する国民の理解を得つつ国全体としての安全保障を確保するため、我が国の安全保障・防衛政策をより分かりやすくするための努力を行う。同時に、国際社会における我が国の安全保障・防衛政策への理解を一層促進するため対外情報発信を強化する。

(3)我が国の防衛力―動的防衛力
 防衛力は我が国の安全保障の最終的な担保であり、我が国に直接脅威が及ぶことを未然に防止し、脅威が及んだ場合にはこれを排除するという国家の意思と能力を表すものである。
 今日の安全保障環境のすう勢下においては、安全保障課題に対し、実効的に対処し得る防衛力を構築することが重要である。特に、軍事科学技術の飛躍的な発展に伴い、兆候が現れてから各種事態が発生するまでの時間が短縮化される傾向にあること等から、事態に迅速かつシームレスに対応するためには、即応性を始めとする総合的な部隊運用能力が重要性を増してきている。また、防衛力を単に保持することではなく、平素から情報収集・警戒監視・偵察活動を含む適時・適切な運用を行い、我が国の意思と高い防衛能力を明示しておくことが、我が国周辺の安定に寄与するとともに、抑止力の信頼性を高める重要な要素となってきている。このため、装備の運用水準を高め、その活動量を増大させることによって、より大きな能力を発揮することが求められており、このような防衛力の運用に着眼した動的な抑止力を重視していく必要がある。
 同時に、防衛力の役割は多様化しつつ増大しており、二国間・多国間の協力関係を強化し、国際平和協力活動を積極的に実施していくことなどが求められている。
 以上の観点から、今後の防衛力については、防衛力の存在自体による抑止効果を重視した、従来の「基盤的防衛力構想」によることなく、各種事態に対し、より実効的な抑止と対処を可能とし、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善のための活動を能動的に行い得る動的なものとしていくことが必要である。このため、即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築する。
 一層厳しさを増す安全保障環境に対応するには、適切な規模の防衛力を着実に整備することが必要である。その際、厳しい財政事情を踏まえ、本格的な侵略事態への備えとして保持してきた装備・要員を始めとして自衛隊全体にわたる装備・人員・編成・配置等の抜本的見直しによる思い切った効率化・合理化を行った上で、真に必要な機能に資源を選択的に集中して防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源でより多くの成果を達成する。また、人事制度の抜本的な見直しにより、人件費の抑制・効率化とともに若年化による精強性の向上等を推進し、人件費の比率が高く、自衛隊の活動経費を圧迫している防衛予算の構造の改善を図る。

2 同盟国との協力

 我が国は、これまで、基本的な価値を共有する超大国である米国と日米安全保障体制を中核とする同盟関係を維持しており、我が国の平和と安全を確保するためには、今後とも日米同盟は必要不可欠である。また、我が国に駐留する米軍の軍事的プレゼンスは、地域における不測の事態の発生に対する抑止及び対処力として機能しており、アジア太平洋地域の諸国に大きな安心をもたらしている。さらに、日米同盟は、多国間の安全保障協力やグローバルな安全保障課題への対応を我が国が効果的に進める上でも重要である。
 こうした日米同盟の意義を踏まえ、日米同盟を新たな安全保障環境にふさわしい形で深化・発展させていく。このため、日米間で安全保障環境の評価を行いつつ、共通の戦略目標及び役割・任務・能力に関する日米間の検討を引き続き行うなど、戦略的な対話及び具体的な政策調整に継続的に取り組む。また、情報協力、計画検討作業の深化、周辺事態における協力を含む各種の運用協力、弾道ミサイル防衛における協力、装備・技術協力といった従来の分野における協力や、拡大抑止の信頼性向上、情報保全のための協議を推進する。さらに、地域における不測の事態に対する米軍の抑止及び対処力の強化を目指し、日米協力の充実を図るための措置を検討する。加えて、共同訓練、施設の共同使用等の平素からの各種協力の強化を図るとともに、国際平和協力活動等を通じた協力や、宇宙、サイバー空間における対応、海上交通の安全確保等の国際公共財の維持強化、さらには気候変動といった分野を含め、地域的及びグローバルな協力を推進する。
 こうした取組と同時に、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄県を始めとする地元の負担軽減を図るため、在日米軍の兵力態勢の見直し等についての具体的措置を着実に実施する。また、接受国支援を始めとする在日米軍の駐留をより円滑・効果的にするための取組を積極的に推進する。

3 国際社会における多層的な安全保障協力

(1)アジア太平洋地域における協力
 アジア太平洋地域において、二国間・多国間の安全保障協力を多層的に組み合わせてネットワーク化することは、日米同盟ともあいまって、同地域の安全保障環境の一層の安定化に効果的に取り組むために不可欠である。
 特に、米国の同盟国であり、我が国と基本的な価値及び安全保障上の多くの利益を共有する韓国及びオーストラリアとは、二国間及び米国を含めた多国間での協力を強化する。そして、伝統的パートナーであるASEAN諸国との安全保障協力を維持・強化していく。また、アフリカ、中東から東アジアに至る海上交通の安全確保等に共通の利害を有するインドを始めとする関係各国との協力を強化する。
 この地域の安全保障に大きな影響力を持つ中国やロシアとの間では、安全保障対話・交流等を通じて信頼関係を増進するとともに、非伝統的安全保障分野等における協力関係の構築・発展を図る。特に、中国との間では、戦略的互恵関係の構築の一環として、様々な分野で建設的な協力関係を強化することが極めて重要との認識の下、中国が国際社会において責任ある行動をとるよう、同盟国等とも協力して積極的な関与を行う。
 多国間の安全保障協力については、ASEAN地域フォーラム(ARF)や拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)等の枠組み等を通じ、非伝統的安全保障分野を中心として、域内の秩序や規範、実際的な協力関係の構築に向け、適切な役割を果たす。

(2)国際社会の一員としての協力
 グローバルな安全保障環境を改善し、我が国の安全と繁栄の確保に資するよう、紛争、テロ等の根本原因の解決等のために政府開発援助(ODA)を戦略的・効果的に活用するなど外交活動を積極的に推進する。
 このような外交活動と一体となって、国際平和協力活動に積極的に取り組む。その際、我が国の知識・経験等をいかした支援に努めるとともに、我が国が置かれた諸条件を総合的に勘案して、戦略的に実施するものとする。
 さらに、グローバルな安全保障課題への取組に関し、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)や欧州諸国とも協力関係の強化を図るとともに、海洋、宇宙、サイバー空間の安定的利用といった国際公共財の維持・強化、大量破壊兵器やミサイル等の運搬手段に関する軍縮及び拡散防止のための国際的な取組に積極的な役割を果たす。このほか、大規模災害やパンデミックに際し、人道支援・災害救援等に積極的に取り組む。
 21世紀の新たな諸課題に対して、国際社会が有効に対処するためには、普遍的かつ包括的な唯一の国際機関である国際連合の機構を実効性と信頼性を高める形で改革することが求められており、我が国としても引き続き積極的にこの問題に取り組む。

Ⅴ 防衛力の在り方

1 防衛力の役割
 今後の我が国の防衛力については、上記の動的防衛力という考え方の下、以下の分野において、適切にその役割を果たし得るものとする。その際、平素からの関係機関との連携を確保する。

(1)実効的な抑止及び対処
 我が国周辺における各国の軍事動向を把握し、各種兆候を早期に察知するため、平素から我が国及びその周辺において常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察活動(以下「常続監視」という。)による情報優越を確保するとともに、各種事態の展開に応じ迅速かつシームレスに対応する。また、本格的な侵略事態への備えについて、不確実な将来情勢の変化への必要最小限の備えを保持する。
 その際、特に以下を重視する。
ア 周辺海空域の安全確保
 周辺海空域において常続監視を行うなど同海空域の安全確保に努め、我が国の権益を侵害する行為に対して実効的に対応する。
イ 島嶼部に対する攻撃への対応
 島嶼部への攻撃に対しては、機動運用可能な部隊を迅速に展開し、平素から配置している部隊と協力して侵略を阻止・排除する。その際、巡航ミサイル対処を含め島嶼周辺における防空態勢を確立するとともに、周辺海空域における航空優勢及び海上輸送路の安全を確保する。
ウ サイバー攻撃への対応
 サイバー攻撃に対しては、自衛隊の情報システムを防護するために必要な機能を統合的に運用して対処するとともに、サイバー攻撃に関する高度な知識・技能を集積し、政府全体として行う対応に寄与する。
エ ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応
 ゲリラや特殊部隊による攻撃に対しては、機動性を重視しつつ即応性の高い部隊により迅速かつ柔軟に対応する。特に、沿岸部での潜入阻止のための警戒監視、重要施設の防護並びに侵入した部隊の捜索及び撃破を重視する。
オ 弾道ミサイル攻撃への対応
 弾道ミサイル攻撃に対しては、常時継続的な警戒態勢を保持するとともに、多層的な防護態勢により迎撃回避能力を備えた弾道ミサイルにも実効的に対応する。また、万が一被害が発生した場合には、被害を局限すべく事後対処を行う。
カ 複合事態への対応
 上記の事態については、複数の事態の連続的又は同時的生起も想定し、事態に応じ実効的な対応を行う。
キ 大規模・特殊災害等への対応
 大規模・特殊災害等に対しては、地方公共団体等と連携・協力し、国内のどの地域においても災害救援を実施する。

(2)アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化
 我が国周辺において、常続監視や訓練・演習等の各種活動を適時・適切に実施することにより、我が国周辺の安全保障環境の安定を目指す。
 また、アジア太平洋地域の安定化を図るため、日米同盟関係を深化させつつ、二国間・多国間の防衛協力・交流、共同訓練・演習を多層的に推進する。また、非伝統的安全保障分野において、地雷・不発弾処理等を含む自衛隊が有する能力を活用し、実際的な協力を推進するとともに、域内協力枠組みの構築・強化や域内諸国の能力構築支援に取り組む。

(3)グローバルな安全保障環境の改善
 人道復興支援を始めとする平和構築や停戦監視を含む国際平和協力活動に引き続き積極的に取り組む。また、国際連合等が行う軍備管理・軍縮、不拡散等の分野における諸活動や能力構築支援に積極的に関与するとともに、同盟国等と協力して、国際テロ対策、海上交通の安全確保や海洋秩序の維持のための取組等を積極的に推進する。

2 自衛隊の態勢
 自衛隊は、1で述べた防衛力の役割を実効的に果たし得るよう、各種事態等への対応に必要な態勢に加え、以下に示す態勢を保持する。

(1)即応態勢
 待機態勢の保持、機動力の向上、練度・可動率の維持向上等を行い、部隊等の即応性を高め、これを適切かつ効率的に配置することにより、迅速かつ効果的に活動を行い得るようにする。また、自衛隊が動的防衛力として抑止・対処において有効に役割を果たせるよう、基地機能の抗たん性を確保するとともに、燃料、弾薬(訓練弾を含む)を確保し、維持整備に万全を期すものとする。

(2)統合運用態勢
 迅速かつ効果的な対処に必要な情報収集態勢を保持するほか、衛星通信を含む高度な情報通信ネットワークを活用した指揮統制機能及び情報共有態勢並びにサイバー攻撃対処態勢を保持することにより、統合運用を円滑に実施し得るようにする。

(3)国際平和協力活動の態勢
 多様な任務、迅速な派遣、長期の活動にも対応し得る能力、態勢等の充実を図ることにより、国際平和協力活動を積極的に実施し得るようにする。

3 自衛隊の体制

(1)基本的な考え方
 自衛隊は、2で述べた態勢を保持しつつ、1で述べた防衛力の役割を効果的に果たし得る体制を効率的に保持することとする。
 その際、効果的・効率的な防衛力整備を行う観点から、各種の活動に活用し得る機能、非対称的な対応能力を有する機能及び非代替的な機能を優先的に整備する。具体的には、冷戦型の装備・編成を縮減し、部隊の地理的配置や各自衛隊の運用を適切に見直すとともに、南西地域も含め、警戒監視、洋上哨戒、防空、弾道ミサイル対処、輸送、指揮通信等の機能を重点的に整備し、防衛態勢の充実を図る。
 さらに、各自衛隊に係る予算配分についても、安全保障環境の変化に応じ、前例にとらわれず、縦割りを排除し総合的な見地から思い切った見直しを行う。
 また、統合運用の推進や日米共同による対処態勢構築の推進等の観点から、陸上自衛隊の作戦基本部隊(師団・旅団)及び方面隊の在り方について、指揮・管理機能の効率化にも留意しつつ、総合的に検討する。
 なお、本格的な侵略事態への備えについては、不確実な将来情勢の変化に対応するための最小限の専門的知見や技能の維持に必要な範囲に限り保持することとする。

(2)体制整備に当たっての重視事項
 自衛隊の体制整備に当たっては、次の事項を重視する。
ア 統合の強化
 統合の強化に向け、統合幕僚監部の機能の強化を始め、指揮統制、情報収集、教育訓練等の統合運用基盤を強化する。また、輸送、衛生、高射、救難、調達・補給・整備、駐屯地・基地業務等、各自衛隊に横断的な機能について、整理、共同部隊化、集約・拠点化等により、統合の観点から効果的かつ効率的な体制を整備する。
イ 島嶼部における対応能力の強化
 自衛隊配備の空白地域となっている島嶼部について、必要最小限の部隊を新たに配置するとともに、部隊が活動を行う際の拠点、機動力、輸送能力及び実効的な対処能力を整備することにより、島嶼部への攻撃に対する対応や周辺海空域の安全確保に関する能力を強化する。
ウ 国際平和協力活動への対応能力の強化
各種装備品等の改修、海上及び航空輸送力の整備、後方支援態勢の強化を行うほか、施設・衛生等の機能や教育訓練体制の充実を図ることにより、国際平和協力活動への対応能力を強化する。
エ 情報機能の強化
 各種事態の兆候を早期に察知し、情報収集・分析・共有等を適切に行うため、宇宙分野を含む技術動向等を踏まえた多様な情報収集能力や情報本部等の総合的な分析・評価能力等を強化し、情報・運用・政策の各部門を通じた情報共有体制を整備する。また、自衛隊の海外派遣部隊等が円滑かつ安全に任務を行い得るよう地理情報等の情報収集能力を強化するなど、遠隔地での活動に対する情報支援を適切に行う体制を整備する。さらに、関係国との情報協力・交流の拡大・強化に取り組む。
オ 科学技術の発展への対応
 高度な技術力と情報能力に支えられた防衛力を整備するため、各種の技術革新の成果を防衛力に的確に反映させる。特に、高度な指揮通信システムや情報通信ネットワークを整備することにより、確実な指揮命令と迅速な情報共有を確保するとともに、サイバー攻撃対処を統合的に実施する体制を整備する。
カ 効率的・効果的な防衛力整備
 格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、一層の効率化・合理化を図り、経費を抑制するとともに、国の他の諸施策との調和を図りつつ防衛力全体として円滑に十全な機能を果たし得るようにする。このため、事業の優先順位を明確にして選択と集中を行うとともに、Ⅵの取組を推進する。

(3)各自衛隊の体制
ア 陸上自衛隊
(ア)各種の機能を有機的に連携させ、各種事態に有効に対応し得るよう、高い機動力や警戒監視能力を備え、各地に迅速に展開することが可能で、かつ国際平和協力活動等多様な任務を効果的に遂行し得る部隊を、地域の特性に応じて適切に配置する。この際、自衛隊配備の空白地域となっている島嶼部の防衛についても重視するとともに、部隊の編成及び人的構成を見直し、効率化・合理化を徹底する。
(イ)航空輸送、空挺、特殊武器防護、特殊作戦及び国際平和協力活動等に有効に対応し得るよう、専門的機能を備えた機動運用部隊を保持する。
(ウ)作戦部隊及び重要地域の防空を有効に行い得るよう、地対空誘導弾部隊を保持する。
イ 海上自衛隊
(ア)平素からの情報収集・警戒監視、対潜戦等の各種作戦の効果的な遂行による周辺海域の防衛や海上交通の安全確保及び国際平和協力活動等を実施し得るよう、機動的に運用する護衛艦部隊及び艦載回転翼哨戒機部隊を保持する。また、当該艦艇部隊は、ウ(ウ)の地対空誘導弾部隊とともに、弾道ミサイル攻撃から我が国全体を多層的に防護し得る機能を備えたイージス・システム搭載護衛艦を保持する。
(イ)水中における情報収集・警戒監視を平素から我が国周辺海域で広域にわたり実施するとともに、周辺海域の哨戒を有効に行い得るよう、増強された潜水艦部隊を保持する。
(ウ)洋上における情報収集・警戒監視を平素から我が国周辺海域で広域にわたり実施するとともに、周辺海域の哨戒を有効に行い得るよう、固定翼哨戒機部隊を保持する。
(エ)我が国周辺海域の掃海を有効に行い得るよう、掃海部隊を保持する。
ウ 航空自衛隊
(ア)我が国周辺のほぼ全空域を常時継続的に警戒監視するとともに、我が国に飛来する弾道ミサイルを探知・追尾するほか、必要とする場合に警戒管制を有効に行い得るよう、航空警戒管制部隊を保持する。
(イ)戦闘機とその支援機能が一体となって我が国の防空等を総合的な態勢で行い得るよう、(ア)の航空警戒管制部隊に加え、能力の高い新戦闘機を保有する戦闘機部隊、航空偵察部隊、国際平和協力活動等を効果的に実施し得る航空輸送部隊及び空中給油・輸送部隊を保持する。
(ウ)重要地域の防空を実施するとともに、イ(ア)のイージス・システム搭載護衛艦とともに、弾道ミサイル攻撃から我が国全体を多層的に防護し得る機能を備えた地対空誘導弾部隊を保持する。

主要な編成、装備等の具体的規模は、別表のとおりとする。

Ⅵ 防衛力の能力発揮のための基盤

 防衛力の整備、維持及び運用を効率的・効果的に行うため、以下を重視する。

(1)人的資源の効果的な活用
 隊員の高い士気及び厳正な規律の保持のための各種施策を推進する。社会の少子化・高学歴化と自衛隊の任務の多様化等に的確に対応し得るよう、質の高い人材の確保・育成を図り、必要な教育訓練を実施するとともに、隊員の壮健性維持に資する衛生基盤等を整備する。また、安全保障問題に関する研究・教育を推進し、同問題に係る知的基盤を充実・強化する。さらに、過酷又は危険な任務の遂行に対して適切な処遇が確保されるよう、制度全般について見直しを行う。
 同時に、自衛隊全体の人員規模及び人員構成を適切に管理し、精強性を確保する。その際、自衛隊が遂行すべき任務や体力、経験、技能等のバランスに留意しつつ士を増勢し、幹部及び准曹の構成比率を引き下げ、階級及び年齢構成の在り方を見直す。さらに、人員配置の適正化の観点から自衛官の職務の再整理を行い、第一線部隊等に若年隊員を優先的に充当するとともに、その他の職務について最適化された給与等の処遇を適用するなど、国家公務員全体の人件費削減の方向性に沿った人事施策の見直しを含む人事制度改革を実施する。以上に加え、民間活力の一層の有効活用等により、後方業務の効率化等、人員の一層の合理化を進め、人件費を抑制することにより、厳しい財政事情の中で有効な防衛力を確保する。この際、社会における退職自衛官の有効活用を図り、公的部門での受入れを含む再就職援護や退職後の礼遇等に関する施策を推進し、これらと一体のものとして早期退職制度等の導入を図る。また、官民の協力や人的交流を積極的に進める。

(2)装備品等の運用基盤の充実
 装備品等の維持整備を効率的かつ効果的に行い、可動率を高い水準で維持するなど防衛力の運用に不可欠な装備品等の運用基盤の充実を図る。

(3)装備品取得の一層の効率化
 契約に係る制度全般の改善や短期集中調達・一括調達等効率的な調達方式の一層の採用を図るなど、調達価格を含むライフサイクルコストの抑制を更に徹底し、費用対効果を高める。また、外部監査制度の充実を進め、調達の透明性を向上させる。

(4)防衛生産・技術基盤の維持・育成
 安全保障の重要性の観点から、防衛生産・技術基盤について、真に国内に保持すべき重要なものを特定し、その分野の維持・育成に注力して、選択と集中の実現により安定的かつ中長期的な防衛力の維持整備を行うため、防衛生産・技術基盤に関する戦略を策定する。

(5)防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策の検討
 平和への貢献や国際的な協力において、自衛隊が携行する重機等の装備品の活用や被災国等への装備品の供与を通じて、より効果的な協力ができる機会が増加している。また、国際共同開発・生産に参加することで、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応することが先進諸国で主流になっている。このような大きな変化に対応するための方策について検討する。

(6)防衛施設と周辺地域との調和
 関係地方公共団体との緊密な協力の下、防衛施設の効率的な維持及び整備を推進するため、当該施設の周辺地域とのより一層の調和を図るための諸施策を実施する。

Ⅶ 留意事項

1 この大綱に定める防衛力の在り方は、おおむね10年後までを念頭に置き、防衛力の変革を図るものであるが、情勢に重要な変化が生じた場合には、その時点における安全保障環境、技術水準の動向等を勘案し検討を行い、必要な修正を行う。

2 この大綱に定める防衛力へ円滑・迅速・的確な移行が行われるよう、計画的な移行管理を行うとともに、事後検証を行う。また、1の見直しに資するため、あるべき防衛力の姿について不断の検討を行う。


(別表)

陸上自衛隊

編成定数
常備自衛官定員
即応予備自衛官員数

15万4千人
14万7千人
7千人

基幹部隊

平素地域配備する部隊

8個師団
6個旅団

機動運用部隊

中央即応集団
1個機甲師団

地対空誘導弾部隊

7個高射特科群/連隊

主要装備

戦車
火砲

約400両
約400門/両

海上自衛隊

基幹部隊

護衛艦部隊

潜水艦部隊
掃海部隊
哨戒機部隊

4個護衛隊群(8個護衛隊)
4個護衛隊
6個潜水隊
1個掃海隊群
9個航空隊

主要装備

護衛艦
潜水艦
作戦用航空機

48隻
22隻
約150機

航空自衛隊

基幹部隊

航空警戒管制部隊


戦闘機部隊
航空偵察部隊
航空輸送部隊
空中給油・輸送部隊
地対空誘導弾部隊

4個警戒群
24個警戒隊
1個警戒航空隊(2個飛行隊)
12個飛行隊
1個飛行隊
3個飛行隊
1個飛行隊
6個高射群

主要装備

作戦用航空機
うち戦闘機

約340機
約260機

弾道ミサイル防衛にも使用し得る
主要装備・基幹部隊

イージス・システム搭載護衛艦

6隻

航空警戒管制部隊
地対空誘導弾部隊

11個警戒群/隊
6個高射群

注1: 「弾道ミサイル防衛にも使用し得る主要装備・基幹部隊」は海上自衛隊の主要装備又は航空自衛隊の基幹部隊の内数。
注2: 弾道ミサイル防衛機能を備えたイージス・システム搭載護衛艦については、弾道ミサイル防衛関連技術の進展、財政事情等を踏まえ、別途定める場合には、上記の護衛艦隻数の範囲内で、追加的な整備を行い得るものとする。

◆http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2011/taikou.html

◆http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2011/chuuki.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)について

平成22年12月17日
安全保障会議決定
閣議決定

 平成23年度から平成27年度までを対象とする中期防衛力整備計画について、「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成22年12月17日安全保障会議及び閣議決定)に従い、別紙のとおり定める。


(別紙)

中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)について

Ⅰ 計画の方針

 平成23年度から平成27年度までの防衛力整備に当たっては、「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成22年12月17日安全保障会議及び閣議決定) に従い、即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築するため、以下を計画の基本として、防衛力の整備、維持及び運用を効果的かつ効率的に行うこととする。

1 実効的な抑止及び対処、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化並びにグローバルな安全保障環境の改善のための各種の活動を迅速かつシームレスに実施できるよう、複合事態への対応にも留意しつつ、即応態勢、統合運用態勢及び国際平和協力活動を積極的に実施し得る態勢を整備する。この観点から、統合の強化、島嶼しょ部における対応能力の強化、国際平和協力活動への対応能力の強化、情報機能の強化、科学技術の発展への対応を重視する。

2 防衛力の整備に当たっては、統合運用の実効性向上の観点も踏まえ、自衛隊が保有すべき各種の機能のうち、各種の活動に活用し得る機能、非対称的な対応能力を有する機能及び非代替的な機能を優先整備すべき機能として重点化し、適切な資源配分を行う。なお、本格的な侵略事態への備えについては、不確実な将来情勢の変化に対応するための最小限の専門的知見や技能の維持に必要な範囲に限り保持する。

3 装備品等の導入に当たっては、能力の高い新たな装備品等の導入と既存の装備品等の延命、能力向上等を組み合わせることにより、質の高い防衛力を効率的に整備する。

4 防衛力の能力発揮の基盤を効果的に整備するため、人事制度の抜本的な見直しにより、人件費の抑制・効率化を図るとともに若年化による精強性の向上等を推進し、人件費の比率が高く、自衛隊の活動経費を圧迫している防衛予算の構造の改善を図る。また、装備品等の取得改革をより一層推進し、部隊の運用水準の向上を図るほか、関係機関や地域社会との協力の強化を図る。

5 日米安全保障体制は、我が国の平和と安全にとって必要不可欠であり、また、米軍の軍事的プレゼンスは、地域の平和と安定の維持に不可欠である。新たな安全保障環境にふさわしい形で日米同盟を深化・発展させていくため、各種の協力や日米協議を推進するほか、在日米軍の駐留をより円滑かつ効果的にするための取組等を積極的に推進する。

6 格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化・合理化を図り、経費を抑制する。その際、各自衛隊に係る予算配分についても、安全保障環境の変化に応じ、前例にとらわれず、縦割りを排除した総合的な見地から思い切った見直しを行う。また、自衛隊全体にわたる装備・人員・編成・配置等の抜本的な効率化・合理化を行った上で、事業の内容を精査の上、真に必要な機能に資源を選択的に集中して防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源でより多くの成果を達成する。

Ⅱ 基幹部隊の見直し等

1 陸上自衛隊については、部隊の編成及び人的構成を見直し、効率化・合理化を徹底する中で、戦車及び火砲の縮減を図りつつ、即応性、機動性等を一層向上させるため、5個の師団及び1個の旅団について改編を実施する。また、1個高射特科群を廃止し、これに伴い1個の旅団内に高射特科連隊を新設するとともに、即応性、航空輸送力等を一層向上させるため、1個の旅団について改編を実施する。
 平素からの情報収集・警戒監視及び事態発生時の迅速な対処に必要な体制を整備するため、南西地域の島嶼部(とうしょぶ)に、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新編し配置するとともに、初動を担任する部隊を新編するための事業に着手する。
 統合運用の推進や日米共同による対処態勢構築の推進等の観点から、指揮・管理機能の効率化にも留意しつつ、作戦基本部隊(師団・旅団) 及び方面隊の在り方について検討の上、必要な措置を講ずる。

2 海上自衛隊については、情報収集・警戒監視、対潜戦等の各種作戦の効果的な遂行による周辺海域の防衛や海上交通の安全確保等に有効に対応するとともに、国際平和協力活動に柔軟に対応できるよう、護衛艦部隊( 地域配備) を機動運用化する。その際、5個の護衛隊からなる護衛艦部隊( 地域配備) を4個護衛隊とする。また、潜水艦増勢のために必要な措置を講ずる。

3 航空自衛隊については、南西地域における即応態勢を充実するため、那覇基地に戦闘機部隊1 個飛行隊を移動させ、2個飛行隊とする改編を行うとともに、1個航空団を新設し、これに伴い既存の1 個航空団を廃止する。また、米軍とのインターオペラビリティを向上するため、横田基地を新設し、航空総隊司

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平成二十二年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報3

2010-12-16 22:36:59 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 九州から戻ってくるとこの寒さは身にしみます、いやあ、帰路に広島で一呼吸おいて寒さに慣らせたので大丈夫でしたが、皆様如何お過ごしでしょうか。

Img_0200  エセックスが一般公開されます!、12月19日の0900~1500に行われるアメリカ海軍佐世保基地一般公開では、強襲揚陸艦エセックス、ミサイル護衛艦こんごう、が一般公開されます。毎週、海上自衛隊の倉島桟橋では一般公開が行われるのですが、警戒厳重な米海軍の立神桟橋が一般公開されるのは貴重な機会です。

Img_2315  ただし、佐世保基地には身分証明が必要で、免許証か旅券もしくは住民基本台帳カードか学生証が必要です。強襲揚陸艦エセックスは満載排水量40000㌧を超える怪物のような揚陸艦で、海上自衛隊の、おおすみ型と比べて2.5倍の大きさ、第1ヘリコプター団をそっくりそのまま輸送できる強力な両用戦艦です。

Img_0096  海上自衛隊の倉島桟橋も土曜日曜と一般公開予定で、18日土曜日には護衛艦はるゆき、19日日曜日にはミサイル護衛艦しまかぜ、が上甲板を一般公開されます。佐世保駅から徒歩10分、米海軍佐世保基地の正門からはやや距離がありますが、日曜日に立神桟橋と倉島桟橋を見学して回ってみるのもどうでしょうか。

Img_0439  新田原基地航空祭2010!、九州最大の航空自衛隊行事が今週末に行われます!!、今年は口蹄疫災害の復興祈念航空祭という位置づけで、航空自衛隊最強と呼ばれ戦略予備やトップガンとも讃えられる飛行教導隊と要撃飛行隊がF-4を運用する南九州防空の要衝がこの新田原基地。

Img_0356  新田原基地航空祭は0900にUH-60J,U-125とF-15戦闘機6機、F-4戦闘機5機、T-4練習機3機による航過飛行がOPフライトとして実施、0905からF-4による機動飛行、0940より飛行教導隊、23飛行隊による戦闘機が機動飛行、1015より救難展示が行われ、続く1035より外来機のF-2が機動飛行を行います。

Img_0832  緊急発進展示が1050よりF-4により実施されて1100からはF-4が4機編隊により口蹄疫復興祈念飛行、1120より米空軍F-16の機動飛行、1300からは空挺降下展示、1400にブルーインパルスが飛行展示を行う予定です。自衛隊関連行事としては今年最後の行事という位置づけになります。

Img_2815  海上自衛隊の基地一般公開ですが、佐世保基地のほかに呉基地と舞鶴基地が一般公開されます。呉基地の一般公開は19日日曜のみ、護衛艦や輸送艦の上甲板一般公開は行われません、1000,1300,1500三回行われ、各一般公開前20分、船堀正門で手続きを行う必要があります。また、1030と1400に呉地方総監部第一庁舎が一般公開されるようです。

Img_7532  舞鶴基地一般公開、海上自衛隊の基地の中で舞鶴基地ほど一般公開による広報に熱心な基地を私は知りません。舞鶴基地は今年の大晦日と来年の元日も一般公開が予定されていまして、今週末は18日と19日に北吸桟橋一般公開がやはり予定されています。海軍記念館なども公開されていますので、併せて足を運ばれてはいかがでしょうか。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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新防衛大綱 日本の主権を示すのならば、戦闘機定数を350機に戻すべき

2010-12-15 23:29:20 | 防衛・安全保障

◆佐世保基地をみて、日本防衛は日本で担いたい

 今回、九州を佐世保、大村、長崎と周り、帰路、呉に寄りました。いせ、何処に配備となるのか、回ってみて実感したのですが、その途上、新防衛大綱の自衛官定数削減の話を聞きました。

Img_2628  ラジオが陸自定員1000名を削減する、という放送を行っていたのを、私は長崎のグラバー園から駅に向かう途上、あのエレベータの近くにある花屋さんから聞こえてきまして、知った訳です。あきづき、の次世代を想わせる頼もしい艦容をグラバー園から俯瞰した直後ではあったのですけれども、九州は、これからどうなるのか、という事に関心が涌くとともに、さて、護衛艦定数と戦闘機定数はどうなったのか、増強するという話だったのが配置転換で終わりそうではないか、と少々不安になりました次第。

Img_0127  護衛艦定数は大型化により質で量を補う余地があるのでともかくとして、戦闘機定数は真剣に検討されるべきではないのか。佐世保基地の立神桟橋を弓張岳から一望し、米軍基地の中に海上自衛隊の桟橋がある、という事を痛感した上で、米軍が日本防衛の主力であってはならない、という事を改めて考えました。倉島桟橋という自衛隊専用の桟橋はあるのですが、大型艦が停泊する立神桟橋は米軍基地の中を通り抜けねばならず、これでは自衛隊基地が外地にあるようではないか、せめて埠頭を中間で日米が共用し、海上自衛隊専用の正門が立神桟橋にも欲しい、と感じた訳です。しかし、揚陸艦などの大きさを考えれば、海上自衛隊の護衛艦はどうしても米軍から見れば、相対的に小さい、という印象はぬぐえず、現状のようになっているのではないか、と。逆に大型艦が多数を占めていれば状況は違ったのでしょう、終戦時の状況を考えると無理ではあるのですが。

Img_9731  航空自衛隊。さて、戦闘機定数ですが、260機程度で維持される方向のようです。かつては350機あった事を考えれば随分と少なくなったのですが、他方で米軍の平時の水準、在日米軍の航空戦力を見ますと、嘉手納基地で約50機、岩国基地で約30機、厚木基地で約60機、三沢基地で約40機。ざっと180機になります。嘉手納の航空団は三個飛行隊から二個飛行隊に削減されていますが、一個飛行隊の編成は18機から24機になっているので総数では縮減数は6機、厚木の空母航空団は攻撃機が戦闘攻撃機になっていますから戦闘機数は増加している訳でして、有事の際にはこれが更に増強されるというかたち。ううむ、そうした状況下であっても、日本防衛は日本が主力であり、米軍の支援を受けて、という体制を維持しなくては、主権が示せないのではないか、と思ってしまう訳で、どうにかならないものか。米軍基地が主力で、その基地を防空する自衛隊、という枠組みにはなってほしくない。

Img_9713  嘉手納基地だけで有事の際には300機以上の戦闘機を収容して後方の一大戦略拠点として運用するという構想で、かつて普天間基地の嘉手納統合案が否定された事があるのですが、この数字を見るだけで有事の際の主導権はすぐに米軍に移管してしまう事が見えてしまう訳です。米運を信用していない訳ではありませんが、自国民は自国の防衛力でなんとか、主体的に守りたい、と、まあ、この考えは今日の日本でも異常扱いなのかもしれませんが、そう考えますと航空自衛隊の全戦闘機が嘉手納基地に収まってしまう規模、というのはどうにかならないものなのか、と考えてしまう訳です。

Img_2489  多くの方が警鐘するのですが、航空自衛隊は予備戦力というものが無いのですよね。これも350機は必要、と考えるゆえんです。航空自衛隊の戦闘機部隊は全て対領空侵犯措置に当たっていますから、有事の際にどこか航空団が損害を被った場合には、他の飛行隊から引き抜いてしまうと引き抜いた地域の防空が空白地帯になってしまう、という状況がありまして、これは現在、新田原基地の飛行教導隊が、かつては松島基地の高等練習機が担っていましたが、予備機が簡単に底を尽くような状況では、米軍からの増援にかなり依存しなくてはならないという実情に。編成定数によりますが、350機あれば、24機編成の飛行隊で14個飛行隊は編成出来る訳で、機動運用部隊と地域防空部隊を分けて、自衛艦隊と地方隊のような住み分けが出来るようにもなります。

Img_2314  今回は佐世保基地の写真ばかりを貼ってきましたが、横須賀以上に佐世保は米軍基地という印象が大きい基地でした。イージス艦の保有数等では佐世保は3隻と多いのですが、基地の配置が、ね。まあ、横須賀にしても横須賀鎮守府の建物は返してほしい、ニミッツ通りは三笠通りにしてほしい等々思うのですが、とにかく佐世保はそれ以上でした。ですから、帰路、呉基地に立ち寄った時はホッとしましたね、これが海上自衛隊の基地なのだ、と。艦船も多数、見渡す限り頼もしい風景でした。日本防衛は日本が担うのだ、という事をアメリカに示す手段こそ、戦闘機定数の増勢なのかな、と。財政難なのだから、面子なんてアメリカに渡してしまえば、とか、自主防衛なんて軍国主義だからアメリカに任せるべき、という声もあるやもしれませんが、しかし主権は示したい、佐世保を見てそう思いました。まあ、良い街で楽しかったですがね。正直、米海軍なんて佐伯か錦江湾あたりに新基地を建設して押し込み、佐世保にはDDHを量産してズラリ並べたい、とか思ったりもしました。

HARUNA

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菅首相:拉致被害者救出、朝鮮半島有事に際し自衛隊特殊部隊での救出を検討

2010-12-14 23:47:10 | 防衛・安全保障

◆無責任な発言、韓国在留邦人はどうなる

 志は高く、という言葉はあるのですが、明らかに能力上出来ないものを、しかもやり遂げる意思も無いまま発言する、というのは無責任の代名詞ですが、それを一国の首相が行ったという出来事があります。

Img_9505  有事の際、拉致被害者救出で自衛隊派遣も:< 2010年12月11日 1:34 >ブックマーク       ・・・ 菅首相は10日、拉致被害者家族との懇談会で朝鮮半島有事の際、北朝鮮にいる拉致被害者を救出するため、自衛隊を派遣する可能性を議論していることを明らかにした。 菅首相は「北朝鮮が韓国領に攻撃をするという事件が勃発して、ある意味での南北朝鮮の間、場合によってはアメリカ軍も含めた一触即発の状況も生まれてきて、今日に至っている。こういった状況も踏まえながら、万一の時には、北朝鮮にいる拉致被害者を、いかにして救出することができるのか考えておかねばならない」と述べ、自衛隊を派遣することができるかどうか、その可能性について議論していることを明らかにした。 その上で、「救出に直接自衛隊が出ていって、向こうの国の中を通って行動をできるかどうかというところまでいくと、ルールはきちんとは決まっていない。日韓の間におけるそういった決めごとなどもしっかりとしていきたい」と述べ、韓国側から救出に向かう可能性も視野に、日韓での取り決めをしたいと述べたhttp://news24.jp/articles/2010/12/11/04172190.html

Img_6283  優先順位としては数万人規模の韓国在留邦人救出について考える方が先だと思うのですが、しかも短湾海峡有事の際の台湾在留邦人救出など、自衛隊の装備は輸送艦や輸送機、ともに不足している状況なのにもかかわらず、数万の邦人救出をさておき、重要ではあるのですが達成には非常な覚悟が必要な自衛隊による拉致邦人強行救出を検討と公言するとは・・・、優先順位を考える能力に非常な疑いを持ってしまいます、しかも望遠予算は削減傾向のまま、そんあ米軍でも実現が難しいレベルの任務を検討するとは。有事の際の韓国在留邦人救出はこれまで検討された事例があるようで、森野軍事研究所”邦人救出”という本も出ているのですが、有事の際に韓国国内の一定箇所に集合した邦人を自衛隊や海上保安庁が協力して救出するというものでした。

Img_5926  在外邦人保護は外務省の管轄で、その密接な協同により日本国内に脱出させるこの方策は、かつてインドネシアでの暴動に際して海上保安庁巡視船が展開した事例がありますし、邦人救出は具体的に検討、第1空挺団や東北方面隊等では邦人誘導訓練も報道公開されています。これまで問題となっていたのは戦闘地域に展開して自衛隊が邦人救出を行う事は出来ない、という事でした。戦闘地域に展開しての自国民救出はアメリカ海兵隊などが繰り返し訓練しているところなのですが、自衛隊がこれを行う場合、自衛以上の戦闘を強いられる可能性があるという事で慎重に表現が避けられた、ということがあります。北朝鮮の拉致邦人を救出させるには、まず自衛隊に戦闘地域に取り残された邦人を、MV-22のような航空機を取得して救出できる体制を構築して、その能力で以て、と階段を踏まなければなりません。こうした発言は、子供手当実現や高速道路無料海上に無責任で、来年までに財政赤字を解消するとか、赤字国債を次の総選挙までに零にする、とかいうくらいの大風呂敷。

Img_6017  北朝鮮国内での在留邦人、拉致されたという邦人を救出する、ということは相当な能力強化を行わない限り、実質的に不可能です。例えば、平壌空港等に邦人を集合させる事でも出来れば別ですし、北朝鮮国内に領事館を建設できるのならば、また話は違ってくるのですが、北朝鮮は交戦状態にある訳ですし、日本は確実に北朝鮮に対して軍事行動を執る国側にあるわけですので、日本の自衛隊機の展開に好意的な行動を採る保証は限りなく低いです。なにか、日朝関係がこういう面でうまくいくようなアテでもあるのでしょうかね、民主党は個人外交が好きという事で外務省はずしをやってましたので、相当な人脈を北朝鮮国内にでも持っているのではないか、とか、実は次の後継者と留学時代の飲み友達が代議士でいるのだとか、そう考えてもしまうほど。困難な部分はいくつもあるのですが、大きなものだけで二つあります、この二つもかなり大きな問題なのですが、これが出来なければまず話そのものが始まりません。

Img_6095  第一に、政府は拉致邦人が現在、北朝鮮の何処に在住しているのか、という情報があるのでしょうか、もしくは拉致邦人の位置に関する情報を得られるだけの情報収集が可能であるという何かの確証や自信があるのでしょうか。例えば北朝鮮国内情報について通信傍受や工作員、協力者等による確度の高い情報収集の体制を構築できる見込みはあるのか、政府情報機関の抜本的な強化を行う覚悟はあるのか、ということです。まさか、場所も分からないままに救出部隊を投入しても、全土をしらみつぶしに捜索するというような行動をとらない限り、見つけることは難しいでしょう。もちろん、情報収集機関を人的面や施設面で抜本的に強化し、というのならば反対はしません、莫大な予算がかかりますが賛同します。

Img_6134  第二に、北朝鮮国内にいきなり自衛隊を派遣するのです、確実に戦闘となるのでしょうが、部隊を確実に投入して確実に撤収させる能力を自衛隊にどのように付与させるのでしょうか。多人数で所在位置が不明の邦人を自衛隊之能力で日本に輸送することは、変な話北朝鮮の指導者に近い高官を拉致するよりも大変な事です。進入には内陸部であればヘリコプターや輸送機を使用しなければなりませんし、拠点基地も臨時のものではあっても構築する必要があるでしょう。通信の確実な維持でさえも大きな課題です。特殊戦用のヘリコプター、輸送機、特殊戦車両、それを北朝鮮全土に散在する可能性がある拉致被害者を同時救出に必要な規模で構築するためには、・・・、一体、特殊作戦群が何個連隊、航空機は何百機必要なのでしょうか。NATOのコソボ空爆で墜落した米軍パイロット救出には300機以上の航空機が協力した、と聞くのですが、もちろん反対はしません、予算をつけられるのならば政府の義務として行うべきです。

Img_62351  しかし、ここで難しいのは、自衛隊の出動も検討しなければならない、という事を一国の指導者が発言してしまった訳です。ここで、撤回することは拉致邦人救出に全力を傾注するという国家の姿勢を撤回することになりますので、大きな失言です。もっとも、北朝鮮全土に自衛隊を展開させ、邦人を救出できるような規模で緊急展開能力や長距離作戦能力を付与させる、ということは南西諸島防衛にも寄与しますし、北海道への直接武力侵攻に対しても本土から部隊を展開させる能力にも繋がり大きな抑止力となります。米海兵隊のヘリコプター保有数は将来計画で1500機ぐらいだったでしょうか、これくらいを整備する覚悟で進めれば可能でしょうし、情報収集機関の能力を充実させることが出来たのならば、武力紛争の発生を的確に予想する事が出来、予防外交の展開が可能、世界平和にも寄与するでしょう。

Img_62871 邦人救出手順検討「一切承知していない」 仙谷氏が首相方針を否定:2010.12.13 12:43 ・・・このニュースのトピックス:菅内閣:仙谷由人官房長官 仙谷由人官房長官は13日午前の記者会見で、菅直人首相が朝鮮半島有事を想定し、自衛隊機の派遣を念頭に邦人救出の手順を策定する意向を示していることについて、「一切承知していない。まったく検討されていない」と述べた。 菅首相は朝鮮半島が戦闘状態に入り、危険を伴う状況でも韓国などから自衛隊機などにより邦人輸送できるよう、自衛隊法改正を検討する姿勢を示しており、仙谷氏も「頭の体操としてはやっておかなければならない」と指摘したhttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101213/plc1012131246003-n1.htm

Img_6318  早速否定か、・・・、と思い恐ろしい事に気付きました、韓国国内からの邦人救出を官房長官は否定しているのです。見殺しにされる邦人の数はざっと五万ほどと昔言われていましたが、韓流ブームが続いているので、この倍程度は一時的に在留している事もあるでしょう、延坪島砲撃を見ても分かるように奇襲で来れば外務省の退避勧告は間に合いません。ざっと地方都市の人口に匹敵する人数なのですが、官房長官は“韓国”からの邦人救出を否定したという事になります。隣国に在留する、しかも数万単位の自国民を、見殺しにする。見殺し・・・。・・・。危険の伴う状況と言いますが、これまで想定されていた状況でもソウルであれば戦術ロケットの射程内ですから危険は伴います、しかし戦闘が継続している戦闘地域以外であれば可能でした。しかし、危険の伴う、という言葉で固めてしまえば、弾道ミサイルが飛んでくる日本国内でも該当してしまう訳ですね。

Img_9552  自国民の生命すら万単位で切り捨てられる事を発言した政府というのはどういうものなのでしょうか。国軍がゲリラ討伐程度しか能力が無いフィリピンでさえ、有事の際には韓国から日本へ自国民を退避させる検討を行っています。失言とはいえ、あんまりだ、かつて自民党では原爆投下の犠牲を戦争だったので仕方が無いと諦めるしかない旨の発言で辞職しましたが、過去の犠牲以前に将来の数万単位への生命への危険に対して放棄する発言をした訳です、ここまで人命を粗末にするのは戦時中以来。失言も続いてきましたが、ここまで来るとどうなのだろう、と真剣に考えてしまいます。彼らには日本国民とは党員だけなのでしょうか。少なくとも有事の際の邦人保護は、能力的や外交的に不可能ならばアメリカに土下座してでも実現しなければなりません、それは国家の責任、最低限の責任なのだと考えますがどうでしょうか。

HARUNA

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ヘリコプター護衛艦ひえい 最古参の護衛艦は母港呉基地に憩う

2010-12-13 20:20:05 | 海上自衛隊 催事

■@N700系のぞみ号

 本日は、京都への帰路、広島県に立ち寄り、あまり時間はなかったのですが呉基地周辺を散策してまいりました。

Img_3029  護衛艦ひえい、はるな型護衛艦の二番艦、最後の一隻です。マック形状など、はるな、との違いもあるのですが、現在海上自衛隊最古参の護衛艦で、年度末には新しく就役するヘリコプター搭載護衛艦いせ、にその任務を譲り除籍されることとなっています。1974年就役、満載排水量6900トン、ヘリコプター3機を搭載し、対潜任務を重視する海上自衛隊にあってはその中枢を担った一隻です。

Img_3034  潜水艦桟橋の潜水艦。クリスマスには少し早かったですが夜景特集は三日目の本日が最終日となります。例によって例の如く、今回も夜の帳が下りたころの時間帯の写真を選んで掲載しました。夕方に撮影した写真の中で、まだ明るい時間帯のものもありますが、現在は新幹線N700系のぞみ号にて山陽新幹線で京都へと全力疾走中、撮影した写真は未整理という状態ですので、そちらは別の機会に紹介します。

HARUNA

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護衛艦あきづき(DD-115 AKIZUKI) 長崎での建造状況最新情報

2010-12-12 22:51:57 | 先端軍事テクノロジー

■本日2010.12.12撮影

 護衛艦あきづき、その建造中の様子を長崎で撮影してきましたので本日はその写真を紹介します。

Img_2711  護衛艦あきづき、その隣にはミサイル護衛艦あしがら、が入渠しているのがみえます。2012年3月の就役に向けて三菱重工長崎造船所で建造されている様子で、去る10月13日に進水式を迎えました。あしがら、満載排水量10000トンと比較すると小さく感じますが満載排水量は7000トンに達する汎用護衛艦としては最大の護衛艦です。

Img_2712  長崎での写真、昨日掲載の佐世保基地での写真とともに、何故夜なのか、ということを疑問にもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、単に趣味です。佐世保基地、長崎護衛艦、共に明るい時間帯の写真も撮影していますので、現在出先、写真整理もできていませんので、こちらは日を改めて紹介したいと思います。

HARUNA

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